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シーズン折り返しの第5戦、前戦で揺らぎが生じた岩佐歩夢の自信は復活するのか【スーパーフォーミュラ】

  • 2024.8.23
岩佐歩夢とJuju(C)前田利幸
SPREAD : 岩佐歩夢とJuju(C)前田利幸

スーパーフォーミュラは今週末、シーズンの折り返しとなる第5戦(8/25決勝)をモビリティリゾートもてぎで迎える。前半4戦の勝者は野尻智紀(MUGEN)、牧野任祐(ダンディライアン)、坪井翔(トムス)の3人で、2勝を挙げている野尻が現在ランキングトップ。坪井が9.5ポイント差、牧野が14ポイント差で追う展開だ。3人の強さは昨シーズンの戦いぶりから十分予想できたことで、後半戦でも優勝争いの中心となるだろう。

■岩佐の初優勝&タイトル争いの行方は……

さらにここに加わってほしいのがF1へのステップアップのためにヨーロッパから一時帰国し参戦している岩佐歩夢(MUGEN)だが、第2戦でポール獲得、第3戦では予選、決勝ともに2位と徐々に実力を発揮しはじめたものの、第4戦は予想外の11位。ランキングでは牧野に1.5ポイント差の4位とタイトル候補と言って良い位置にまだいるが、気がかりなのがその自信に揺らぎが生じていることだ。
「今のうちのチーム力は最低レベルにある」。第4戦決勝後のインタビューでまず、岩佐はこう言い切った。国内でのレース経験がほぼないながら“チャンピオンを獲る”と自信満々に語っていた、その背景にあったのが、MUGENの持つチーム力の高さだった。したがってこの一言は、かなり予想外だった。
富士スピードウェイで行われた第4戦、土曜日午前のフリー走行はセッティングをはずしてしまいチームメートの野尻とともに下位に沈んだ。だがここからがMUGENの真骨頂。予選に向けた驚異の修正力をこれまで何度も見てきている。その通り、1台は急伸を見せ17/1000秒という超僅差で予選2位。それが岩佐だった。岩佐は同じ富士で事前に行われたテストでロングランの手ごたえを掴んでおり、決勝では優勝を争うものと予想していた。
ところがその決勝は、意外な展開となった。岩佐はまず、スタートでエンジンストールし13位まで後退。その後のレースペースも「クルマに違和感があった」と万全ではなく、集団から抜け出せず、結局セーフティカー導入に一縷の望み望みを賭けてピットインをギリギリまで遅らせる苦肉の策に。このギャンブルはあえなく失敗し、セーフティカーは入らないまま11位で決勝を終えた。一方でチームメートの野尻は、7番手スタートからミニマム周回でピットインし、後半フレッシュなタイヤでプッシュする作戦を見事に成功させ3位表彰台に到達。「思い描いたとおりのレースができた」と、対照的な流れとなった。
野尻の方は修正できたことから、MUGENのチーム力は依然高いと思えた。岩佐も気持ちを切り替えて、次戦以降は再び優勝争いをしたいといった旨のコメントをするかと思った。だが、出てきたのは“最低”のコメント。事態は深刻だった。“最低”は、スタートシステムのセッティングを指しており、ここに根深い問題を抱えているのだという。オーバーテイクシステム採用などで他のカテゴリーよりもレース中の追い抜きが比較的しやすいスーパーフォーミュラとはいえ、やはりスタートで“順位を上げる、順位を守る”ことの重要度はかなり高い。
「スタートは今回だけでなく、開幕戦から一度も決まっていない。このままでは勝てない。もっとチームで集中して取り組んで改善しないと」。初優勝は時間の問題だと思っていたが、そうではなかった。第4戦からの約1ヵ月間でチームはこの問題をどこまで改善できているのか、第5戦は後半戦での岩佐の初優勝&タイトル争いの行方を占う重要な一戦となる。

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