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最上級ホテルでもサステナブルな取り組みが!モルディブリゾートの水上ヴィラの秘密をご紹介

  • 2024.8.23

高級リゾート地として知られるインド洋のモルディブ。美しい海に囲まれた贅沢なリゾートホテルでは、近年モルディブのローカル島の人々の暮らしを振り返り、環境負荷の少ないサステナブルなリゾート運営が進められています。ここではモルディブの3つの人気リゾートと、その環境への取り組みを紹介していきましょう。

ギリ・ランカンフシ(Gili Lankanfushi Maldives)

ラグジュアリーと洗練されたサービスを約束する5ツ星ホテルの「そこにある環境保全」

メインプールでは水質保持フィルターに市販のシリカ砂の代わりに島内で造られた粉砕ガラスを利用している
メインプールでは水質保持フィルターに市販のシリカ砂の代わりに島内で造られた粉砕ガラスを利用している

日本にもファンが多いギリ・ランカンフシ。広いブルーラグーンに囲まれた全室スイート仕様の水上ヴィラはまさにハネムーナーの憧れです。

そんなギリ・ランカンフシの環境への取り組みは実にさりげない。なのに、なかなかハードコアな徹底ぶり。
徹底ぶりが進んですっかり浸透した…という表現がしっくりきます。

客室の水はどこからきてどこへいく?

廃材をうまく利用した水上ヴィラのリビング。海との一体感がすごい(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)
廃材をうまく利用した水上ヴィラのリビング。海との一体感がすごい(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)

まずゲストが滞在する水上ヴィラ。

扉を開けるとそこは海と一体化した窓のないリビング。廃材を利用した建物や家具、リサイクル製品を使用した備品、アメニティもプラスティック製品を使用しないなど、細部に至るまで環境への配慮が感じられます。バスルームはモルディブのアイランドスタイルを取り込み、オープンエアのシャワーブースが設けられています。

プールやバスルーム等の水はすべて島内からパイプを通って送られている(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)
プールやバスルーム等の水はすべて島内からパイプを通って送られている(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)

「水上ヴィラの水ってどうなっているの?」

これはよく聞かれる質問のひとつです。きれいな水は桟橋の下とヴィラの床下に配されたパイプを通って島から洗面台やバス&シャワー、トイレに供給されています。汚水も同様に、別のパイプを通って圧力をかけて島へ戻されます。

ギリ・ランカンフシではゲストルームやレストランで提供される水や炭酸水も島内で製造。高い品質管理が求められる
ギリ・ランカンフシではゲストルームやレストランで提供される水や炭酸水も島内で製造。高い品質管理が求められる

小さな島々から成るモルディブでは、そもそも水の確保は重要な課題です。モルディブのすべてのリゾート施設では、デサリネーションシステム(海水淡水化装置)を使って海水から淡水を作っています。ギリ・ランカンフシでは島から約15m離れた地点から海水を汲み、3つのタンクと高性能フィルターを経て、バクテリアを取り除くなどして最終的にデサリネーションシステムを通して淡水化しています。

いくつもの工程を経て海水を飲用に適した淡水に変えている
いくつもの工程を経て海水を飲用に適した淡水に変えている

もちろん島内に汚水処理施設もあり、バクテリアを利用した汚水処理がなされています。飲用レベルまでに処理された水は再度塩を加えて海に戻されていますが、ギリ・ランカンフシでは処理水のリサイクルも進められていて、将来的には処理水をトイレに再利用するといった計画もあるそう。

小さな島で電気はどこからくるの?

太陽光ジェネレーターは島の内側の防音室の中に並ぶ
太陽光ジェネレーターは島の内側の防音室の中に並ぶ

水の確保だけでなく、発電も小さな島の中で行われています。最近モルディブでは太陽光発電が大きな割合を占めていますが、ギリ・ランカンフシでは蓄電できない太陽光電力を効率的に活用すべく、日中の11~18時にデサリネーションシステムといった主要な機械を稼働させています。

またどうしても使用せざるを得ないディーゼルエンジンによる発電もあります。その際に発生する熱を利用して水を約60℃に温め、客室のシャワーなどに活用するというヒートエクスチェンジが行われているそうです。

プラスティックは持ち込まないで!島のごみはどこに行く?

エコセンター。上は1日500kgの処理能力がある巨大コンポスト。たい肥は隣接するオーガニックガーデンで使われる。左下はプレスされた缶。下中央の粉砕されたガラスを利用して右下のようなコンクリートが造られる
エコセンター。上は1日500kgの処理能力がある巨大コンポスト。たい肥は隣接するオーガニックガーデンで使われる。左下はプレスされた缶。下中央の粉砕されたガラスを利用して右下のようなコンクリートが造られる

小さな島ではごみ問題も大きな課題です。近年モルディブの多くのリゾートでペットボトルやプラスティック製品を極力使用しない流れになっていますが、ギリ・ランカンフシでの取り組みはさらに一歩踏み込んでいます。

島内に造られた「エコセンター」はゲストも訪れられるリサイクル施設。缶をリサイクルに回すための空き缶プレス機、ガラスを粉砕してコンクリートを作る粉砕機、生ごみをたい肥化するコンポストなどが揃い、ゲストも実際にリサイクル&リユースの現場を見学できます。横には広いオーガニックガーデンがあり、実際にリゾートで利用されるハーブや野菜が育てられています。いずれキッチンで出た廃油をバイオディーゼルとしてリユースする計画もあるそうです。

廃材を利用したスタッフの工芸品の数々。オーガニックガーデンで披露された(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)
廃材を利用したスタッフの工芸品の数々。オーガニックガーデンで披露された(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)

モルディブのリゾートのごみは、一般にはティラナフシとよばれるごみの島に運ばれ、そのまま埋め立てされるのが現状です。ごみの排出を減らしリゾート内で処理・循環させることにより、ギリ・ランカンフシはモルディブの環境保全にも大きく貢献するのです。

高い問題意識をもったスタッフが実現する当たり前の環境保全

スタッフがワンチームとなり環境への取り組みが行われているからこそ美しいモルディブの自然が守られている(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)
スタッフがワンチームとなり環境への取り組みが行われているからこそ美しいモルディブの自然が守られている(Photo / Gili Lankanfushi Maldives)

ごみの分別やこのような取り組みはスタッフエリアでも徹底されています。継続的なスタッフ教育の成果もあり、環境に対するスタッフの意識が高いのもギリ・ランカンフシの特徴です。長く務めるローカルスタッフが多く、モルディブの環境について自分事としてとらえているように見受けられました。こういった草の根の活動が未来のモルディブをよりよいものにしていくのだと感じます。

網の目のように環境保全への取り組みが張り巡らされ、それはリゾートゲストにとってはあえて意識する必要がないほど当たり前のこと。まさにそこにある環境保全。モルディブの小さな島から私たちも多くのことを学びます。

■ギリ・ランカンフシ・モルディブ
住所:North Male Atoll
TEL:960-664-0304
アクセス:ヴェラナ国際空港からスピードボートで約20分
料金:ヴィラ・スイートUS$1556~
客室数:45室
URL: https://gili-lankanfushi.com

ソネバフシ(Soneva Fushi)

オープンから約30年。モルディブ人の意識を変えた先駆者

さまざまな環境への取り組みが展開される最高級リゾート(Photo / Soneva Fushi)
さまざまな環境への取り組みが展開される最高級リゾート(Photo / Soneva Fushi)

1995年にオープンしたソネバフシはモルディブでも1、2を争うラグジュアリーリゾート。意識の高い富裕層の間で支持され、開業から約30年、一貫して環境への負荷を最小限にとどめることをリゾートの最優先事項として掲げてきました。

近年は環境への取り組みと社会貢献の一環として、近隣のローカル島でごみゼロ活動を行うなど、地元の人々への環境教育、雇用の創出にも力を入れています。

近隣のローカル島で開催されたソネバフシ主催のクリーンアップ・デー(Photo / Soneva Fushi)
近隣のローカル島で開催されたソネバフシ主催のクリーンアップ・デー(Photo / Soneva Fushi)

環境保全に関する難しい話をすることなく、ゲストが自然と興味を持ち、手軽に達成感を得られるような「ちょっとおしゃれなエコアクティビティ」は、日本の社会や教育の現場でも見習うべき点がたくさんあります。

■ソネバフシ
住所:Baa Atoll
TEL:960-660-0304
アクセス:ヴェラナ国際空港から水上飛行機で約30分
料金:クルーソー・ヴィラ・スイート・プール付きUS$2111~
客室数:71室
URL: https://soneva.com/resorts/soneva-fushi/

ココ・ボドゥヒティ(Coco Bodu Hithi)

モルディブ人オーナーの自然への愛が詰まったナチュラルなリゾート

メイン桟橋の横に広がるメインプール。ラグーンに溶け込むようなデザインが美しい
メイン桟橋の横に広がるメインプール。ラグーンに溶け込むようなデザインが美しい

モルディブを愛するモルディブ人がオーナーのリゾート。過度なリゾート開発を行わず、その島にある自然を大切にし、モルディブらしさを保つことを大切にしています。高級リゾートでありながらどこか肩肘張らず居心地がいいのは、そのおかげでしょう。

ゲストによる移植活動の成果が出て、美しいサンゴ礁が再生し始めた
ゲストによる移植活動の成果が出て、美しいサンゴ礁が再生し始めた

ボドゥヒティは美しいサンゴ礁に囲まれた島ですが、近年海水温の上昇からサンゴの白化現象がおこり、少なからずサンゴがダメージを受けています。そこでサンゴの再生を促すために常駐するマリンバイオロジストが開催しているのが、サンゴの移植活動です。

これはハネムーナーや子供たちにも人気があるそうで、一生の思い出に残るアクティビティになりますね。同様の取り組みは多くのリゾートで開催されています。興味がある方はぜひダイビングセンターやマリンラボを訪ねてみてください。

■ココ・ボドゥヒティ
住所:North Male Atoll
TEL:960-664-1122
アクセス:ヴェラナ国際空港からスピードボートで約40分
料金:ウォーター・ヴィラUS$1180~
客室数:100室
URL:https://www.cococollection.com/en/bodu-hithi

いかがでしたか?モルディブには約120の個性的なリゾートホテルがありますが、1回の訪問で宿泊できるリゾートは基本ひとつです。リゾート選びもモルディブ旅行の楽しみのひとつですが、その参考に環境に対するリゾートの取り組みもぜひチェックしてみてくださいね。

それではよいモルディブ旅を!

text & photo: Hikaru Arasawa

●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。

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