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死んだ後、モノになって“戻れる”としたら?「死んでも生きられる」切なさと温かさあふれる『とりつくしま』を山崎ナオコーラら絶賛

  • 2024.8.22
死んだ後、モノになって“戻れる”としたら?「死んでも生きられる」切なさと温かさあふれる『とりつくしま』を山崎ナオコーラら絶賛
(C)ENBUゼミナール

『とりつくしま』に山崎ナオコーラ、蓮舫らから絶賛コメント到着

母・東直子の小説を娘の東かほり監督が映画化した『とりつくしま』より、山崎ナオコーラ、蓮舫ほか各界著名人18名の絶賛コメントが到着した。

本作は、東直子の小説「とりつくしま」を原作に、娘である東かほり監督が脚本・監督した“特別な映画”だ。2007年に発行された原作小説は、すでに失われた人生のかけがえのない記憶がよみがえり、切なさと温かさと哀しみ、そして少しのおかしみが滲み出る11篇の短篇集。海外も含めファンも多く、シネマプロジェクト作品として映画化が発表された際には様々なところから多くの反響があった。

人生が終わってしまった人々の前に現れる“とりつくしま係”は、「この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ」と告げる。夫のお気に入りのマグカップになることにした妻、だいすきな青いジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになった祖母、ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージンになった母。人生のほんとうの最後に、モノとなって大切な人の側で過ごす時間。

東かほり監督は、⻑編デビュー作『ほとぼりメルトサウンズ』(21年)が、第17回大阪アジアン映画祭、第22回ニッポン・コネクション(ドイツ)などに選出、その後に劇場公開もされた今大注目の監督。母が生み出した原作の11篇の中から、「トリケラトプス」「あおいの」「レンズ」「ロージン」の4篇を紡ぎ、オリジナルストーリーを加えて映画化した。

本作は、ENBU ゼミナール「シネマプロジェクト」の第11弾作品となる。本プロジェクトは、社会現象にもなった上田慎一郎監 督『カメラを止めるな!』(17年)をはじめ、今泉力哉監督作『退屈な日々にさようならを』(16年)や、昨年1館から公開し80館以上に拡がりスマッシュヒットとなった外山文治監督作『茶飲友達』(23年)など、ワークショップからキャスティングされた魅力的な俳優たちと共に、商業映画とは一線を画す刺激的な映画を世に届けてきた。

本作のワークショップには、応募総数399名の中から選ばれた71名のキャストが参加し、橋本紡、櫛島想史、小川未祐、磯⻄真喜、安宅陽子、志村魁など23名が出演。そして、小説で重要な役割となる“とりつくしま係”として、小説のファンである小泉今日子が出演している。

今回、一足早く『とりつくしま』を鑑賞した各界著名人18名の絶賛コメントが到着した。山崎ナオコーラは「世界はこんなにも切なくて温かい。私たちが住んでいるのはこういう世界なのだから、明日も生きられる。死んでも生きられる、と思いました」、東かほり監督の前作『ほとぼりメルトサウンズ』に出演し、本作では声の出演をしている鈴木慶一は「目の前のモノを見つめればきっとそこに居ると思う、そんな気持ちになる素敵な映画です。昨日生きてしまったら今日が来て、今日を生きたら明日が来る。大事な、大切な、憧れたみんなと一緒に」、そして蓮舫は「舞台のような映画でした。モノになっても想いを残し続けたい、そんな声が聞こえる物語をありがとうございます」とそれぞれコメント。

また、9月2日、渋谷のLOFT9 Shibuyaにて『とりつくしま』公開直前記念イベントが開催されることが決定した。同イベントは、本作の主題歌「陽だまりの夢」を作詞・作曲したカモシタサラによるアコースティックミニLIVE、東かほり監督短編2作品の上映、そして本作の魅力を紐解くトークイベントにて構成される。トークイベントには、東監督ほかキャストなどのトークゲストが登壇予定だ。当日は、本作の主題歌「陽だまりの夢」のミュージックビデオも特別上映される。

■山崎ナオコーラ(作家)

世界はこんなにも切なくて温かい。私たちが住んでいるのはこういう世界なのだから、明日も生きられる。死んでも生きられる、と思いました。そして、親が原作、子が監督という、夢のような映画があるもんなんだなあ、と驚きました。この映画が生まれて良かった。ここは素敵な世界です。

■蓮舫

舞台のような映画でした。モノになっても想いを残し続けたい、そんな声が聞こえる物語をありがとうございます。小泉今日子さん、素敵です。

■俵万智(歌人)

本歌取りだ、と思った。 元の歌の一部を受け継ぎながら、さらに展開を加える和歌の技法である。『とりつくしま』という原作の卓抜なアイデアを活用しつつ、映像には新しいリアルと味わいが息づいていた。 死を扱いながらも、温かくユーモアのある世界。 とりつく側の視点をこんなふうに描くのかという驚きとともに、残された側にも踏みこんでいるところが魅力だった。見送ったばかりの父を思うとき、笑顔になれたことにも感謝している。たぶん私ではなく、母の何かにとりついていることだろう。

■鈴木慶一(ミュージシャン/moonriders)

東かほり監督が脚本を送ってきてくれました。声の出演をとのことで。脚本を読んで悲しい涙ではない、暖かい涙を堪えてぜひ声を録音しようと思いました。大事な家族、大切な友人、会ったことのない憧れの方々、いなくなってしまった人たちとはもう会えないんだなと思ってました。でも、その人たちのことを思い浮かべれば会えたんだ、目の前のモノを見つめればきっとそこに居ると思う、そんな気持ちになる素敵な映画です。昨日生きてしまったら今日が来て、今日を生きたら明日が来る。大事な、大切な、憧れたみんなと一緒に。そして、とりつくなら音に。

■市井昌秀(映画監督)

こんなの切ないに決まってる! 喪失であり、余白を描くことこそが映画だと思ってます。「あおいの」と「ロージン」にやられました。

■伊藤さとり(映画パーソナリティ・映画評論家)

現世に未練があるから「とどまる」だろう、間違いなく「居残る」だろうと今なら思える。愛しい人を見守りたいからそばに居たい。 そんな純愛を愛おしいくらい可愛らしく具現化して、モノへの愛着は人への愛情なんだと伝えてくれる。なんて、多幸感に満ちた死生観の映画なのだろう。大好きだ。

■大墻敦(映画監督)

人間は死後の世界に関与できない、という当たり前のことを映画を見ながら感じて、 すこし悲しくなり、すこしほっとした。 それは、この映画が、こころの奥底で「私」という存在を支える 「たましい」とも呼んでもいいなにか大切なものが、 この世の中に静かに満ちていることを、 映像と音声で見事に表現しきっているからだと思う。

■小川あん(俳優)

小さいころに、よく星を見上げながらこう思ってた。 「自分が消えてしまったら…お星様になって、大切なみんなを見守ってたい」って。でも『とりつくしま』だったら、もっともっと近くにいられる。 人を想う、この世で一番温和で尊いお話。

■金子岳憲(俳優)

親が子を見守るように優しい。その優しさに少し反抗したくなる。ふと、孤独に気づかされる。そのシーンの俳優がとても良い。気づいたら寄り添っていた。優しい気持ちのまま映画を見終えた。反抗しようとした自分が恥ずかしい。優しくて良いじゃないか。よかった今日もまだ優しいままだ。

■小林エリカ(作家・アーティスト)

死んでしまったものから、いま生きているものたちへ。親から、子へ。小説から、映画へ。失われてしまったものたちが形を変えながらとりついて、この映画ができているということ、俳優たちひとりひとりの存在が、眩しくて愛お しいものでした。

■佐藤尚之(コミュニケーションディレクター)

週末の夕方にぼんやり見て、幸せを感じて、明日も生きていこうと思えます。

■シブヤメグミ(”浮かぶ”二代目店主)

言葉をかけられなくても、返事を受けとれなくても、 約束ができなくても、もう「またね」って言えなくても、誰かは誰かを思っている。 どこかから聴こえてくるハナウタのような柔らかさで紡がれた物語。 抱きしめて、抱きしめられてた。

■田川恵美子(俳優)

大切な誰かを失った時、どうしたって悲しみや寂しさや、悔いが、残る。そんな気持ちで俯いていた私の背中に、両手をそっとあててくれる映画でした。今、目の前にある奇跡を、噛みしめて、抱きしめて生きていくことを、 肯定された気がしました。また誰かを失ったり、愛する誰かを置いて自分が消えてしまう未来があるとしても、どんなとりつくしまがあるのか、を思い描いて生きていきます。そしてそんな時は「いしやきいも」も思い出すと思います。

■辻凪子(俳優)

いつもの生活の愛おしい瞬きを映し出す東さんの空気が好きです。俳優は肩の荷を下ろして、その人らしい姿で存在する。今作は永遠なんてない世界で、大切な人と一緒に居させてくれた。お守りのような映画だなあ。

■中島京子(小説家)

東直子さんの傑作小説を、娘のかほりさんが映画化し、小泉今日子さんが「とりつくしま係」を演じるという奇跡のような作品。死を 扱った物語なのに、湿っぽさがなくて、諦観の横に温かさがあって、あれっ? と思うような展開もあって。孫にプレゼントしたカメラの「レンズ」にとりついたおばあさんの数奇な運命がとくに好き。ああ、いいなあ、もっと見ていたいなあ、と思った。

■根矢涼香(俳優)

この目で見えなくてもそこに在る、生と死とやさしさの距離。 東さんの映画は、わたしたちの日常の輪郭の層をひとつ広げてくれる。こんな眼差しに溢れた世界なら独りぼっちなんてこと、決してないかもしれない。

■眞鍋卓嗣(劇団俳優座 演出家/舞台作品『とりつくしま』演出)

その絶妙な距離感。まるで、私たちが私たちを眺めているようだ。 ふわりとした空気感でありながら、人生の辛辣さや人間のおかしみが混在していて、なんとも言えない気持ちになった。 そして、観てから数週間たっても心に住み着いて、日常のふとした瞬間に思い出している。ああ、そうだった。これが「とりつくしま」の魅力であった。親子の親和性によるものだろうか。東かほり監督が撮られたことの意味を感じる。そっと大切にしたくなる映画。本当にうれしい。

■山内ケンジ(劇作家・映画監督)

なんとまあ、優しい映画であることよ いくつもの感心してしまうディテイルがあるのだが、その中でも最も優れているのは小泉今日子の起用であります。この役は彼女以外にはあり得ない 東かほり監督の慧眼、周到さに感服しました。

『とりつくしま』は9月6日より全国順次公開。

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