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「シカはつらいよ」全ページ“シカしかいない”はずが、よ~く見ると…? 大人気絵本作家キューライス氏新作絵本

  • 2024.8.20
ダ・ヴィンチWeb
『シカしかいない』(キューライス/白泉社)

自然と頬がゆるむ。可愛すぎる。見渡す限りシカだらけ。たったそれだけなのに、見れば見るほど発見があって、どのページにも見入ってしまう。そんな本が、『シカしかいない』(キューライス/白泉社)。タイトルの通り、シカしかいない、不思議な魅力の絵本作品だ。

作者は、マンガ家、絵本作家、アニメーション作家として大活躍のマルチクリエーター・キューライスさん。X(旧Twitter)フォロワー数は29万超、Instagramは21万超(いずれも2024年8月時点)。これまで絵本作品として「ドン・ウッサ」シリーズ(白泉社)や『ニンジンジン』(白泉社)、マンガ作品では『ネコノヒー』(KADOKAWA)や『スキウサギ』(秋田書店)、『悲熊』(LINE Digital Frontier)と、数多くの作品を生み出してきたが、今回の作品は、「これまで描いた全ての絵本の中で一番描くのがたいへんだった」のだという。どうして大変だったか。それは、本作の各ページに本当にたくさんのシカが登場するためだろう。

公園、銭湯、レストラン……。この絵本ではどこを見てもシカばかり! シカたちは皆、ぼてっとした体型、愛らしい短足。だが、その一頭一頭はそれぞれかなり個性的で、いろんなシカのいろんな姿に思わずクスッと笑わされてしまうのだ。たとえば、公園にはハチマキを巻いてジョギングをしているぽっちゃりシカがいるし、子どもがブランコや鉄棒で遊ぶのを見守る親シカ、泥まみれになった我が子に困惑する両親シカもいる。噴水が直撃して大笑いしているシカがいれば、巨大なシカ型遊具で滑り台を楽しむシカ、まったり寝転ぶシカも。それぞれのシカに物語が感じられて、見れば見るほど面白い。

「シカさん、メガネかけてる」「ねんねしてる」「にんじん、おいしそう」……。実際に、言葉を覚えたての2歳の子どもと読んでみると、あらゆるシカを指差しながら、楽しそうにページをめくっていた。もう少し成長すれば、「ボールで遊んでいるシカはどこかな?」などと、探し絵みたいにも遊べそうだ。……それにしても本当にシカしかいないのだろうか。と思いながら読み進めていくと、「シカしかいない?」というページも。子どもも「あれ? シカじゃない!」と思わずニコニコ。親子で楽しい読書時間を過ごすことができた。

だが、この絵本は子どもが楽しめるだけではない。大人も楽しめる。というか、大人こそ、この絵本の魅力を存分に味わうことができるに違いないのだ。特に、私がツボだったのは映画館。館内に貼られた「シカラ」「シカはつらいよ」「スタンド・バイ・ディアー」「シーカー」なるポスターに思わず吹き出す。何なんだ「スタンド・バイ・ディアー」って!? 客たちが、ポップコーン代わりに草を食べているのもいい。そう、このシュールさがキューライス作品の魅力だ。

シカといえば、奈良県。ということで、奈良県の一部書店では、キューライスさんが描き下ろした奈良県限定POPが飾られているらしい。さらに、近鉄奈良駅(東改札前・構内)と近鉄大阪難波駅(西改札側・構内)には、「シカしかいない」駅貼りポスターが8月20日(火)~26日(月)に掲出されるという(※編集部注)。掲出場所は各駅構内となるため、入場券または乗車券が必要とのこと。「シカの街で『シカしかいない』ポスターを見てみたいなぁ」と思った私のような人は、実際に現地に見に行くといいだろう。ただし、ポスターを撮影する際は、周りの人に配慮しながら行ってほしい。

※編集部注 駅係員への問い合わせはご遠慮ください。駅業務や駅利用者に対して支障が出る場合、途中で掲出が中止される場合があります

ページをめくればめくるほど、ニヤニヤ、クスクス。この一冊でこんなに何度も楽しめるなんて、なんて贅沢な絵本なのだろうか。読めば、あなたもシカの虜。大人も子どもも楽しめるこのシカ絵本、家族みんなで読むシカない!

文=アサトーミナミ

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