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松田元太の芝居が最高値…教師の芝居合戦にも負けない”神シーン”とは? ドラマ『ビリオン×スクール』第7話考察レビュー

  • 2024.8.20
『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ

山田涼介主演のドラマ『ビリオン×スクール』は、日本一の財閥系企業のトップである億万長者が、身分を隠して高校教師となり、生徒と様々な問題を通して成長する痛快・学園エンターテインメント。今回は、第7話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ

【写真】Travis Japan・松田元太のキレが半端ない…最高値を更新した劇中カット。『ビリオン×スクール』劇中カット一覧

『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)第7話は卒業後の進路が主題。加賀美零(山田涼介)は、進路希望票の提出率が0%だったゼロ組の生徒たちに採用テストでも使用されている適職診断テストを受けさせる。それを受けて就職を希望する生徒に、個性豊かな講師陣による一風変わった面接練習に参加させるのだった。

面接練習でめきめきと成長していく生徒たち。中でも人一倍、真剣に練習と向き合っていたのが紺野直斗(松田元太)だ。そんな直斗を成功事例の第一号とすべく、いち早く実際の面接を設定する零。だが、その矢先、吹奏楽部の金庫から部費が盗まれる事件が発生し、放課後まで学校に残って面接練習に励んでいた直斗が疑われてしまう。

校長の東堂真紀子(水野美紀)は無実が証明できるまで、面接は受けさせられないとの判断を下し、零は直斗に待機を命じるのだった。不安が広がる中で、「これでわかったでしょ?教師なんてこんなもんだって」と同級生たちの気持ちを揺さぶりにかける東堂雪美(大原梓)。

そんな雪美に、直斗は「あいつはできるって言ってくれたんだよ」と訴えかける。親友の鈴木司(柏木悠)が監督、自分が俳優として映画を撮り続けたい気持ちと、就職して一人前の社会人になりたい気持ちとで葛藤していた直斗。

才能もなく勉強ができるわけでもない自分に仕事と夢の両立なんか不可能だと思い込んでいた彼に、零だけは「どっちもできる」と言ってくれた。

そんな零への感謝と信頼をみんなの前で語る直斗。涙がこぼれないように必死に瞬きを我慢しているが、やがて涙が頬を伝う。その熱い思いに心を動かされ、他の生徒たちも零に対する思いを吐露する。

光るものはすでに存在していたが、今回で最高値を叩き出した松田の演技が生徒役のキャストたちを牽引しているように見えた。

『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ

吹奏楽部の部費を盗んだのはもちろん直斗ではなく、光井ひかる(志田未来)の元教え子である嶋沙里奈(工藤遥)だった。

光井といえば、「生徒たちには愛が必要」という熱い想いを持っており、少々理想主義が行き過ぎているところもある教師。自身が高校の時、生徒思いだった担任の先生みたいになりたいという気持ちが強く、現役の学生はもちろん卒業生の相談にも親身に乗っていた。

けれど、週の労働時間は法定時間を悠に超えており、過労は必至。バーの経営が上手くいっていないという沙里奈のために、光井はお金まで渡していた。沙里奈がお金を盗んだところを目撃していたが、それでも理想の先生像に囚われ、真実を打ち明けられないでいる。

そんな光井に、零は「理想を下げろ」と語りかける。それは零自身が亡くなった母から言われたことだった。理想を追い求めること自体は良いことだが、それに自分が押しつぶされてしまったら元も子もない。

「届きそうな理想を追い続けることで、いつかは本当の理想に近づける」「安心しろ。高すぎる理想と比較しなければ君は十分良い教師だ」という含蓄のある零の言葉は光井の心にしっかりと届いた。

教師だって人間だ。自分の手を離れてまで、ましてや自分を都合よく扱う生徒にまで心を割く必要はない。三井いな人生、自分でなんとかしなさいよ!」と一見突き放しているようで、愛ある叱咤を沙里奈に飛ばす。

『探偵学園Q』(日本テレビ系)で共演した当時はまだ14歳だった山田と志田。そんな二人が時を経て、大人の深みを増した芝居合戦を見せた。

『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第7話 ©フジテレビ

今週から新章に突入し、零を排除しようとする真紀子の動きも顕著になっていく。印象的だったのは真紀子と芹沢一花(木南晴夏)が対峙する場面だ。

零が失っている記憶の中に真紀子にとって都合が悪い真実が隠されており、一花を使って零を学校から追い出そうとする真紀子。一花が断ると、「だったら私も容赦しない」と途端に好戦的な態度に出る彼女は恐ろしく見えた。

一方で、「可愛い加賀美くんの手伝いもしてあげたい。でも、娘とも丁寧に向き合わなければいけない」という言葉に嘘はないように思える。

雪美のスマホに保存されている入学式の写真ではピースサインを見せる娘の隣で穏やかに微笑んでいる真紀子。直斗を吹奏楽部の部費を盗んだ犯人扱いしたことも、娘の前で素直に頭を下げて謝罪するなど、完全な悪人には思えない。

にもかかわらず、親子関係を歪めてしまったものはなんなのか。城島佑(奥野壮)は雪美の苦しみを理解しているようで、零を貶めるためにどんどん手段を選ばなくなっている。そして、気になるのは真紀子と零の関係だ。

屋上で花に水をやっている最中に、転落した過去がフラッシュバックした零。自ら飛び降りたのか、誰かに突き落とされたのかはまだ定かではないが、いずれにせよそのことに真紀子が深く関わっていることは間違いない。前半戦は生徒一人ひとりの問題を扱い、後半戦はより零の過去に焦点が当たっていくのだろう。

(文・苫とり子)

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