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20代から意識したい、ホルモンバランスを整える食生活やライフスタイルのヒント

  • 2024.8.19

ホルモンが女性に与える影響

Young woman lights a Palo Santo stick from a candle before meditation.

ホルモンが月経周期と密接に関係していることは知っていても、実際どれくらい理解しているだろうか。気分、エネルギー、性欲、空腹感などのあらゆる面で、ホルモンは考えているよりもはるかに大きな役割を果たす。

「女性の私たちは、ホルモンバランスによる直接的、長期的な影響について十分に理解していないと思います」と、栄養士で統合医療科フェロー、そして『Hungry Woman: Eating For Good Health, Happiness And Hormones』の著者であるポーリン・コックスは言う。「イライラや羞恥心など自己破壊的な感情を和らげるのに、生理現象を理解することは欠かせません。対峙ではなく、納得してどうやって付き合うかというプロセスなのです」

さらにエストロゲンやプロゲステロンのような女性ホルモンだけでなく、インスリンのような血糖調節ホルモンも私たちの健康を左右する。「20代、30代、40代と、更年期前の時期にこそホルモンと上手に付き合いたいですね。この時期をどう過ごすかが、更年期の症状、そして寿命に影響を与えます。アルツハイマー病や心臓病などのリスクを下げるために、エストロゲンレベルが低下し始める閉経前にできることはたくさんあります」

ホルモンバランスに欠かせない睡眠と食生活

では、ホルモンバランスを取り戻すにはどうすればいいのだろうか? まずは日常生活の中でどうやってバランスをとれるかを考えてみよう。今を生きる私たちは、現代特有のさまざまなストレスに対処しなければならないにもかかわらず、遺伝子レベルでは原始時代から変わっていない。「ホルモンバランスを整える基本は睡眠です」とコックス。

「できるだけ早く、よい睡眠と目覚めのパターンを確立しましょう。朝に散歩して光を目に取り込み、サーカディアンリズム(24時間を周期とした体内時計)を整えると、セロトニンレベルが上がり、(夜間の)メラトニン合成を促すので、安眠につながります」

食事もまた、ホルモンバランスを整えるのに不可欠な要素であることは言うまでもない。私たちが体内に摂り入れるものが、体内での処理を促進する燃料となる。このような背景から、更年期障害やPMS(月経前症候群)の症状は適切な食事とライフスタイルで改善できるとコックスは言う。

「私たちの体には生まれつきの知性があります。ライフステージに合わせて、私たちをサポートする驚異的な生理機能が備わっているのです。例えば、高糖質で加工食品ばかりを摂って主要な栄養素が欠乏すると、炎症を起こしてPMSの症状が強くなります」。彼女はまた、ホルモン補充療法(HRT:Hormone Replacement Therapy)は人によって効果があるが即効性はなく、長期的な健康のためには食生活を見直すことが何より重要、と付け加える。

ホルモンバランスを整える食事のヒント

Red,green tomatoes, carrots and green beans on the beige background

1. 血糖値のバランスに気をつける

血糖値は血糖調節ホルモンであるインスリンを支配するだけでなく、女性ホルモンにも大きな影響を与える。「身体が高血糖にさらされ、インスリンが本来の働きをしなくなる(例えばインスリン抵抗性が悪化する)と、閉経前期や更年期障害の症状が長引くようになります」とコックスは説明する。「また、生殖器系など組織の劣化速度の炎症レベルにも大きく関わり、あらゆる健康状態に影響が出ます。血糖値のコントロールがうまくいかず、インスリン抵抗性が鈍くなると、閉経前期に入る女性は二重の打撃を受けることになるのです」

そこでまず、植物性食品や野菜、良質なタンパク質を多く含む、バランスのとれたバラエティ豊かな食生活を心がけて血糖値のバランスを保つことを意識したい。加工食品、砂糖や炭水化物を多く含む食品など、血糖値を急激に上昇させる食品は避けること。上昇したものは下降しなければならず、気分のダウン、過食、炎症を招くからだ。さらに睡眠、ストレス管理、定期的な運動も忘れないようにしたい。

2. 炭水化物の種類を変える

不当に悪者扱いされる炭水化物だが、摂取する炭水化物の種類を意識すればホルモンバランスを整えるのに役立つ。パスタやクラッカーを控え、代わりに野菜から炭水化物を摂るように。コックスはカラフルなもの、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、カブなどのアブラナ科の野菜や、発酵野菜を積極的に摂るようにすすめる。

3. タンパク質をたくさん摂る

「30代以降、これまでと同じレベルで成長ホルモンが分泌されなくなります。そこで、より多くのプロテインを摂取して筋肉をつけましょう。十分なタンパク質を摂らずに筋肉量が減っていくと、血糖値が上昇し始めます。普段の筋肉はブドウ糖を大量に使っているんです」。筋肉量が減り、筋肉でブドウ糖が使わなくなると、脂肪に変換される。コックスによれば、食事も運動量も変わらないのに、30代から40代にかけて多くの女性が体重が増え始める嫌な時期があるという。「タンパク質は、セロトニン、ドーパミン、GABAといった神経伝達物質の材料にもなるので、優先して摂りたいですね」

4. 断続的断食(インターミッテントファスティング)を取り入れる

基礎代謝を最適化し、気分を安定させて体重を保つために、彼女がすすめるのが断続的断食(インターミッテントファスティング)だ。「脳細胞にブドウ糖を取り込むのに役立つエストロゲンがプレ更年期に入り減少すると、突然、脳細胞は“燃料”がないと心配します。そして記憶障害、頭の中がモヤがかり記憶障害や集中力の低下などの症状が出るブレインフォグ、長引く空腹感、ほてりや寝汗などの血管運動症状とともに、感情の起伏が激しくなるのです。この時、脳に代替燃料を提供できれば、ブドウ糖を運び込む必要がなくなります。ここで別の燃料源であるケトン体が登場するのです」

体に一定期間、継続的に食事を取らない時間を与えると、体は自身の脂肪源に目を向け、燃料を燃焼してケトン体を放出する。これにより、脳はこの即座に利用可能な燃料源を受け取ることができるのだ。

断続的断食は、自分に合った時間帯を見つけ、無理のないように行うことが大切だ。「例えば、夜7時に食事を終えて翌朝9時まで空腹期間を設けてみましょう。身体がインスリンに対してより敏感になり、耐糖能が向上して脂肪が燃焼されやすくなります」

5. 栄養価の高い食品を摂る

コックスのおすすめの食材は、ビーツやヤギのチーズ、カリフラワーなど。「ビーツには硝酸塩がたっぷり含まれていて、女性の健康にとても重要な一酸化窒素を作ります。骨盤内臓器への血流を助け、心臓血管と皮膚の状態を改善すると言われているんですよ。また、ヤギのチーズにはMCT(Medium Chain Triglyceride:中鎖脂肪酸)がたくさん含まれていて、ケトン体レベルを上げるのを助けてくれます。それから私が好きなアブラナ科の野菜、カリフラワーは低炭水化物で食物繊維とビタミンCが豊富。肝臓の働きをサポートします。ホルモンバランスを整える食事には、これらの食材を取り入れるといいでしょう」

Text: Hannah Coates Translation: Moe Ideishi

From VOGUE.CO.UK

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