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横浜で老舗と呼ばれるお店の歴史ストーリー♪食パン発祥のベーカリーや洋館カフェのレトロな魅力

  • 2024.8.19

明治時代のはじめ文明開化に沸いた横浜は、諸外国の文化をいち早く取り入れ、アイスクリームや石ケン、写真など日本でのはじまりとなっているものが多く、横浜から日本全国に広まっていきました。横浜にはその歴史を今なお引き継ぐ商店や、時代のニーズに合うよう形態を変えながら営業を続けるお店がいくつも点在し、過去と未来をつなげる役割を果たしています。今回はそうした歴史のある老舗や往年の様子を物語る洋館カフェなどをご紹介します。

横浜で老舗と呼ばれるお店の歴史ストーリー♪食パン発祥のベーカリーや洋館カフェのレトロな魅力
横浜で老舗と呼ばれるお店の歴史ストーリー♪食パン発祥のベーカリーや洋館カフェのレトロな魅力

日本人がはじめて食パンを売り出したベーカリー「ウチキパン」

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イギリス風山型食パン「イングランド」(410円)

食パン発祥の地といわれる横浜の元町で、日本人が初めて食パンを焼いて売り出したという歴史を持つ「ウチキパン」。初代の打木彦太郎氏が明治21年に創業し、130年以上の歴史があるベーカリーです。当時の元町では、食パンはイギリス人が経営するベーカリーで販売されていて、そこで修業をしていた打木氏がそのお店の暖簾を譲り受けて新しくベーカリーをオープンさせたのだそう。それが今の「ウチキパン」で、日本人が営む食パンのお店がここからはじまったといわれています。

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焼きたてのパンは焼く60種類並ぶ

はじめて売り出したのはイギリス風山型食パンで、ホップを使った発酵種は4日間かけてじっくりと発酵させます。この技法を今も変わることなく受け継ぎ「イングランド」というネーミングで棚に並びます。手間と時間がかかるものの、ここでしか焼くことのできない伝統の味は、モチモチとしていてほんのりとした甘みも感じます。

明治時代に創業した家具店が前身のテーブルウェアショップ「タカラダ 元町本店」

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落ち着きのある店内

買い物客でにぎわう元町商店街は、開港当時は日本に居留する外国人向けの日用品を販売する商店が軒を連ねていました。今はテーブルウェアの専門店の「タカラダ 元町本店」もそうした商店の一つで、オーダーメイドの家具店として明治15年に創業した老舗です。当時は図面を持ち込まれて見たこともないヨーロッパ家具を作っていたのだとか。その後は食器などを扱うようになり、今は国内外のブランドに加えてオリジナルデザインの食器も扱います。

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「ビフォー&ナウ」のマグカップ(3080円)とカップ&ソーサー(4180円)

オリジナル食器の中で注目を集めているのが「ビフォー&ナウ」というシリーズです。これは開港当時の横浜と現在の横浜をデザインしています。ロングドレスを着た貴婦人のモチーフの横に横浜ベイブリッジの図柄が並ぶといった横浜の今と昔が描かれ、明治時代の元町の貴重な写真もモチーフの一つになっていて、当時の宝田商店も写っています。

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色合いも素敵な「フェニックス」シリーズのカップ&ソーサー(4400円)

元町商店街には街の両端にフェニックス・ゲートがあり、買い物客を迎えます。そのフェニックスをモチーフにしたシリーズの磁器は曲線を描いたフォルムが素敵です。カップ&ソーサーのソーサーもおしゃれな楕円形で、優しい雰囲気に。このエリアのカフェでは、この2つのシリーズのカップ&ソーサーでお茶を淹れるカフェが増えているので、ふらりと入ったカフェで出会うことがあるかもしれませんよ。

旧外国人居留地に建つ洋館のリビングをカフェにした「えの木てい」

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庭には大きな榎木が生い茂る洋館

昭和2年に建てられた英国式の洋館をカフェにした「えの木てい」は、今のオーナーのご両親が自宅として使っていた1階のリビングをカフェとして解放したことから始まりました。建築当時から使われてきた家具やレトロなシャンデリア、薪をくべる暖炉、アーチを描いた上げ下げ窓など、クラシカルな西洋建築が歴史を物語ります。

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「チェリーレモネード」(825円)、「チェリーサンド2個セット」(550円)

今は華やかなケーキやアフタヌーンティーがいただけるティールームで、創業当時におしゃれな山手のマダムたちの注目を集めたのが「チェリーレモネード」と「チェリーサンド」です。冷たいレモネードにぐつぐつと煮たチェリーを入れたドリンクはさっぱりとしながらもチェリーの甘さが口の中に広がります。40年以上愛され続ける「チェリーサンド」と一緒にぜひ味わって。

古き良き時代を今に伝える「馬車道十番館」

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ノスタルジックなたたずまい

赤レンガの重厚な建物が目を引く「馬車道十番館」は、開港当時に馬車が往来した馬車道にたたずみます。お店の前には当時使われていた“牛馬飲水槽”が今も残され、白枠の窓のある公衆電話ボックスやガス灯など、その頃のハイカラな街の様子を彷彿とさせます。

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横浜土産に最適な西洋菓子「ビスカウト」(2041円/9枚入り)

このお店はガス灯の設置に貢献した高島喜右衛門氏の屋敷跡に建ち、お店のロゴにもなっているガス灯のモチーフは職人が焼くビスカウトに上質なクリームをサンドした「ビスカウト」やティーセットなどにもあしらわれています。ステンドグラスのある喫茶室では創業時からの定番、ホール型の「ショートケーキ」がおすすめです。

絹の輸出業から業態を変え今はキュートなレースが話題の「近沢レース店 元町本店」

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「タオルハンカチ」上段は赤い靴がモチーフ

開港当時、横浜港から輸出された主要品の一つに生糸があります。元町商店街にお店を構える「近沢レース店 元町本店」も、もとは絹の輸出商として明治34年に創業しました。時代の変化とともにリネンを使ったテーブルクロスやシーツなどを扱うお店に変えたところ、装飾の刺繍やレースが注目を集めるようになり、その後はレース製品の専門店へと変容を遂げたお店です。

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横浜限定「タオルハンカチ」(1430円)

とくに人気なのがレースのタオルハンカチです。レースの種類はフェミニンなものから、横浜らしいガス灯や赤い靴をモチーフにしたものまで多種多様。高級ベルベットのような今治産のタオル生地に縫い付けられるオリジナルレースで、洗濯してもシワにならずノーアイロンで手入れしやすいポリエステル素材。熟練した職人さんのなせる業で日本のモノづくりの質の高さも伝わってきます。

大正時代から親しまれ続けるる老舗「浜志゛まん」

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名物の「ボストンクリームパイ」(3000円)

大正時代、日本有数の繁華街として栄えた伊勢佐木町に和菓子店として創業した洋菓子店の「浜志゛まん」。昭和30年代のはじめに、横浜とアメリカを行き来する日本郵船のパティシエを招いて教わった「ボストンクリームパイ」が看板商品です。生クリームとカスタードクリームをスポンジで挟むシンプルなケーキは当時としてはハイカラなスイーツで、それから60年以上の時を経てもなお、当時のレシピで作り続け、毎朝ショーケースに並びます。

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イートインで楽しむ「ミニボストン」(ケーキセット950円)

ユニークな屋号は、和菓子を製造していた頃に販売したお菓子「濱志゛まん最中」に由来しているのだそう。初代の店主が考案して売り出した「濱志゛まん最中」が、横浜ではじめての栗入り最中としてたちまち注目を集め、お客さんからはお店そのものを親しみを込めて「濱志゛まん」と呼ばれるようになったことからなのだとか。今は3代目が歴史を引き継ぎ、小さなサイズの「ミニボストン」も加わりました。

明治や大正といった時代から続く横浜の老舗やレトロなカフェをご紹介しました。お店の歴史や名物を知ると街歩きがますます楽しくなりますね。異国情緒ただよう横浜にぜひお出かけください。

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