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男性にもハーブティーを!メンタルの不調を機にハーブティーブランド【ロロ】を設立。その想いとは?

  • 2024.8.20

オトナミューズでは表紙のデザインを担当し、アートディレクターやデザイナーとして第一線で活躍し続けるセタユウジさん。そんなセタさんが自らのメンタルの不調を機に植物療法と出合い、今ではウェルネスブランド「ROEROE(ロロ)」を立ち上げ、ハーブティーを展開しています。
 
忙しなく毎日を過ごし、からだからのSOSにすら気付けないまま、いつの間にか不調に。そんな病を事前に予防してくれるような効果のあるハーブティーに魅了され、自身でブランドを立ち上げたセタさん。そんな行動力のある彼に、ロロを立ち上げたきっかけやこれからのストーリーを語っていただきました。

コロナ渦に起きたメンタルの不調。

自らに備わった自然治癒力を促す植物療法との出合い

――植物療法を学び、ハーブティーをメインにした薬草店「ロロ」を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?
 
コロナ禍でメンタル不調を経験して、(メンタルの)調子を整えるのによい、と言われるもの・ことを片っ端から調べて試していくなかで、最終的にハーブを用いた植物療法が自分に合っていると感じ、学んでいくようになりました。
 
そんななかで、自分が経験して学んだことを活かした、僕にしかできないカタチで、世の中の問題を解決できるようなものづくりがしたいと思うように。
 
(既存の事業に参入する)後発の僕がどうしたら社会の役に立てるものを作れるだろうかと考えたとき、30年近く携わってきたデザイナーの経験を活かして、ハーブティーをメインにした、手に取る人の気分が上がるプロダクトを作りたいと考えるようになりました。
 
――メンタルの不調がきっかけだったと思いますが、具体的に植物療法を取り入れようと思った理由などはありますか?
 
メンタルの不調から回復を試みる中で、薬だけに頼り切るのではなく、もう少しナチュラルな代替療法があるんじゃないかと思ったんです。そのときに出合ったのが植物療法でした。
 
――もともと代替療法、特に植物療法に興味があったのですか?
 
それが、全くなかったんです。アロマセラピー程度は知っていたのですが、そういったのは僕たち男性には関係ないものだって思っていたので。いわゆるスパとか、おしゃれなリラクゼーションのひとつだと捉えていました。
 
おまけにハーブティーもぜんぜん好きじゃなかったんです。仕事中はコーヒーを1日5、6杯飲むくらいコーヒー一辺倒でした。

ハーブティーはただの飲みものではなく

自らをコンディショニングしてくれるツール

シェルフには、ところ狭しと陳列されたハーブやスパイスが。

――そんなコーヒー好きだったセタさんが、ハーブティーのよさに気付いたのは?
 
コーヒーはもともと好きで飲んでいたのですが、当時は飲みたくて飲んでいるというより、惰性で選んでいる部分もありました。こういうことをしているときの飲みものって、こういうものだよなって。
 
でも、ハーブティーはコーヒーと違って五感をすごく刺激するものだと思っています。お茶を淹れるときは茶葉が開いていく瞬間を見て癒されたり、アロマを嗅いで深呼吸したり。ただ淹れて飲んで終わりではなく、メディテーションの一種のようにも思います。
 
気分が落ち込んでいるときにはこのお茶を、逆に興奮して寝られないときにはこのお茶を……など、そのときの気分に合わせて飲み換えるんです。そうすることで、忙しなく過ぎていく一日のなかで、自分の感情と向き合える時間ができる。ハーブティーで自分自身をコンディショニングしていく、という感覚に近いかもしれません。ロロのハーブティーは“コンディショニングティー”としてみなさんに届けたいと思っています。

「お茶を淹れるひと手間がメディテーションの一種となり、仕事の効率をあげるだけでなく、自身を労わる時間にもなるんです」

――私自身、お茶を淹れるそのひと手間が、気持ちや気分の切り替えになって、仕事の効率があがる感覚がありました。
 
まさに、僕が提案したいことはそういうことで。現代社会を生きる僕たちは時間に追われて効率を求めがちだけど、お茶を飲むときだけは味気のないインスタントなものではなく、非効率なことも実はパフォーマンスの質を上げてくれるんじゃないかと思うんです。手間をかけるということは、自分と向き合う時間になり、1歩引いてものごとを考えられるようになる。そうやって手間をかけたこと自体が、自分を大事にしているという風にも捉えることができる。
 
 
――それはセタさんがクリエイティブの仕事をする上でも大切にしていることでしょうか?
 
そうですね。1回手を止めて、お茶を単純に楽しむというか。お茶を淹れることに集中するっていうのは、僕はすごくマインドフルネスなことだと思うんです。そうやってインターバルをとることで、さっきまで気付かなかったような新しい視点が持てたり、目の前の状況を打開するアイデアが浮かんだり。お茶を淹れるその10分でその後の仕事の効率やパフォーマンスが上がるのであれば、 大切な時間なんじゃないかって。

薬だけに頼り切らず

ホリスティックな視点で不調を整えていく

ひとつひとつラベリングされた瓶からも、瀬田さんの細やかなセンスが垣間見られる。

――コーヒーの代わりにハーブティーを飲むようになったことで、メンタルの不調も快方に向かっていったのでしょうか?
 
当時はとにかくメンタルの調子を整えるのによい、と言われているもの・ことを片っ端から試していたので、ハーブティーだけで体調がよくなったのかは分かりません。複合的な事柄が功を奏して全快していった、というように感じています。
 
最初に薬だけに頼らず代替療法で治していきたいとお伝えしましたが、もう少し専門的な言葉で言うと、ホリスティックな視点で自分自身を調えたいと思ったんです。「ホリスティック(Holistic)」は全体を意味するホール(Whole)やヘルス(Health)と語源が同じで、「全体の」「完全な」という意味です。これは、からだだけではなく精神や環境がバランスよく整っていること、健康そのものを総合的に考えることを指しています。

「ホリスティックな視点は、たとえば胃腸が悪いときは胃腸だけをみるのではなく、からだ全体をみて、精神的なものが要因なのか、他の臓器の不調を補うために支障をきたしているのか……など、悪さをしている根源を見つけて、根本治療しましょうという考えです。」

僕は西洋医学を否定するわけじゃないし、急を要する病はちゃんと専門のお医者さんに診てもらうべきだと考えています。でも、選択肢がそれだけじゃなくていいと思うんです。たとえば、病院で検査してもらって数値は正常なのに、頭痛や腹痛が続いているとか、食欲がない、気分が優れない、とか。ピンポイントで治療したとしても、それが治らない場合もある。そういう、西洋医学だけではフォローできない部分を、代替療法、今お話しているなかで言うと、植物療法でカバーできちゃうこともあるんです。
 
僕自身の経験を通して、ロロではこういったホリスティックな視点で健康を考えていきましょう、という提案をしたいと思っています。
 
――そんなハーブティーを作るうえで、苦労したことはありましたか?
 
求める味を追求することが、あえて言えば苦労している点かもしれません。本当は茶師(ティーブレンダー)にブレンドをお願いしたかったのですが、結果的に僕自身でブレンドしています。
 
また、ハーブティー市場の現状として、効能に特化したものがほとんどなんです。それはそれでいいのですが、全く異なる分野から入ってきた僕の目線からみると、素敵なものが少ないなって感じたんです。コーヒーやワイン、紅茶には、世界観を持った魅力的なブランドが存在します。でもハーブティーには自分が欲しいと思えるブランドが見つからなかった。こんなに素晴らしい効能のあるハーブティーをもっと多くの人に手にとってもらうためには、もっと美味しくて、もっと気持ちが上がるものが必要なんじゃないかと。

大小異なるハーブがブレンドされているので、大きめの瓶に入れておけば1杯分のハーブがバランスよくなるため、開封後は密閉できる瓶で保存しておくのがオススメ。

――確かに、ハーブティーといえば「これ!」と思いつくブランドは、コーヒーや紅茶ほど多くないように感じます。
 
そうですよね。で、なんでハーブティーにはないのか考えたとき、コーヒーやワインのような、嗜好性がまだないんだと思ったんです。
 
嗜好品と呼ばれるものって、QOLを上げるものや、生活をより豊かにしてくれるものであり、気分を上げてくれるものだと思うんです。そして、気分が上がっている状態って、からだにもいいことばかりなんです。
 
――逆に、気分が下がっているときは、からだによくない?
 
まさに! 気分が落ち込んでいると、自律神経は乱れて、免疫ダダ下がりしたり、そのうえ肌があれたり、風邪に罹りやすくなったり。
 
だからというわけじゃないけれど、ハーブティー市場で後発の僕に何ができるだろうって考えたとき、効果・効能はもちろんですが、手に取ってくださるみなさんの気分が上がるような、素敵なものを作りたいと思うようになりました。
 
――現在は4つのフレーバーを発売されていますが、今後増える予定はありますか?
 
はい、これからも増やしていく予定です。今お出ししているのも、今後リリースしたいと思っている試作品です。

もうすぐ発売になる、バタフライピーを使った新作のハーブティー。レモングラスなどブレンドしたハーブの色味と相まって抽出されるピーコックブルーが鮮やかな一杯。

ただ、配合が本当に大変で。工房に調合をお願いしたいけれど、1杯1杯同じ味を出そうとすると、限界があるんです。だから、このゴダールはOEM(※外部の生産メーカーに製造をお願いすること)で作れないと言われてしまったので、自社で調合しています。
 
――「ロロ」ではパウチタイプになったものと、ボックスタイプがありますが、色が2色展開されているのが印象的でした。違いはあるのでしょうか?
 
まだ商品数が少ないので暫定ではありますが、白が植物療法の理論に基づき、いわゆる効能から発想した ブレンドティー〈アポセカカリーライン〉と呼んでいます。黒は〈ティーメーカーライン〉と呼んでいて、もう少し自由な発想で作っています。植物療法の先生からすると「何その調合、ナンセンス!」と言われちゃいそうなことをやっているのですが、味重視のものも作りたくて。実はこれ、スパイスをたくさん配合しているので、白ワインで煮だしたらホットワインにもなるんですよ。すごくオススメです。

真っ赤な色みが目を引く〈ゴダール〉。別添えの薔薇のホールを最後に入れて完成する、なんとも華やかな一杯。

ホットでもアイスでもワインで煮だしても

美味しいハーブティーの淹れ方

――ワインで煮だすなんて、斬新ですね! 他にも、大人の女性にオススメの飲み方や効能を教えていただけけますか?
 
ユリイカはローズマリーやゴツコラ(ツボクサ)、ギンコー(イチョウ)などの成分が脳を活性化させるので、思考をクリアにしたいときや、考えごとをしたいときにオススメです。あとは目覚めの一杯や、午後眠たくなってきたときに、リフレッシュするのにも◎です。この時期はアイスで飲むのもいいですよ。

上から:EUREKA 25g、VENUS 20g 各1,680

ウーマンは名前の通り、女性のためのブレンドティーです。レディースマントルやチェストベリーなど、女性特有の不調や悩みにも効果のあるハーブをメインにブレンドしていて、子宮の痛みを和らげてくれ、ホルモンのバランスを整えてくれます。普段コーヒーを愛飲されている方は、予防的な意味でこのハーブティーにしてみるのもいいかもしれません。

左から:GODARD 30g ¥2,380、LULLABY 20g ¥2,180

ララバイは不安な気持ちや緊張感を緩めてくれる、いわゆるリラックスブレンドです。心を不安にさせるようなネガティブな感情を浄化しれくれるような、カモミールジャーマンやレモンバーベナをブレンドしています。その日一日を労わるように就寝前に飲むのはもちろん、大切な打ち合わせの前など、気持ちがこわばっているときにホットで飲むのもオススメです。
 
スパイスをふんだんにブレンドしたゴダールは、ホットティーで飲むのはもちろん、ホットワインして飲むのもオススメです。お茶を淹れるときと同様に、200mLの白ワインに大さじ1杯のハーブティーを入れ、鍋肌が少しぐつぐつしてきたら1分ほど煮だし、その後火を止めてしばらくそのままにしておいてください。ここでポイントなのが、通常赤ワインで作ることが多いと思うのですが、白ワインで作る点です。ゴダールは赤ワインのような色味を出してくれるハイビスカスや、ホットワインには欠かせないスパイス、酸味のあるローズヒップをブレンドしているので、もともとスパイシーでコクのある赤ワインより、酸味のあるフレッシュな白ワインで作るのが、ハーブもワインのよさも活かせるんです。
 
YUJI SETA
Profile_アートディレクターとして多くの雑誌・広告の制作に携わる。自らのメンタルの不調を機に植物療法に出合い、その魅力に開眼。自らウエルネスブランド『ROEROE』を立ち上げる。より深くハーブ を知るため、郷里の三重にある自社農園でハーブ栽培も開始。

photograph : KAORI IMAKIIRE
 
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