「母乳でなければ赤ちゃんは健康に育たない」という「母乳神話」が現代でも残っているようです。
こともあろうか、母乳育児ができなかった母親を傷つける発言をした教師が教育現場にいました。
これは筆者の体験談です。
家庭科の授業の課題
娘が小学校5年生の時のことです。
家庭科の授業で「自分が生まれた時のことを家族から聞いて調べる」という課題が出されました。
母親が妊娠した時どんな気持ちだったか、出産する時はどんなことを思ったか、などいくつか質問項目があった中に「母乳育児か粉ミルク育児か」という質問があったのです。
私はありのままに「粉ミルクであなたを育てたよ」と、娘に答えました。
担任教師の信じられない発言
それから数日後、娘が暗い顔をして小学校から帰って来ました。
聞くと家庭科の授業で先日の課題を発表した際に、30代の女性担任教師に「粉ミルクで育てたなんて手抜き育児の母親ね!」と言われたそうです。
クラスのお友達のお家は母乳育児のお家が多かったこともあり、担任教師の発言を受けて娘はとても肩身が狭い思いをしてしまったのです。
いたたまれない思い
私は当時、母乳育児を望んでいましたが母乳の出が悪かったのでマッサージに通い、母乳の量を増やそうとしました。
生まれたばかりの娘を連れてマッサージに通うのはとても大変でしたが、母乳の量を増やしたい一心で何回もマッサージに通いました。
ですが、努力の甲斐もなく乳の量が増えず、母乳育児を諦めることになったのです。
担任教師の発言を聞き母乳育児を諦めた時の悲しさを思い出したのと、娘に学校で辛い思いをさせてしまったことの申し訳なさで涙が止まりませんでした。
問題発言
担任教師のこの発言を家庭で話したクラスメイトが何人かいたようで、保護者の間に広まり大問題になりました。
なかには担任教師の発言を校長先生に抗議した保護者がいたそうです。
担任教師は「これは問題発言だ」と校長先生からきつく注意されました。
どちらも良いところがある
母乳育児も粉ミルク育児もそれぞれ良いところがあります。
そして母乳育児をしたいと望んでいても、事情がゆるさずに断念する人もいることでしょう。
どちらの育児が良くて、どちらの育児が悪いと決めつけてしまうのは、考え方が少し古いのではないかと感じてしまいます。
担任教師に悪気はなかったのかもしれませんが、教育現場でこのようなデリカシーのない発言をして欲しくなかったと、強く感じた出来事でした。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2024年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。
ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:K.Sakura
セラピスト・販売員・介護士の職を通じて常に人と関わる職務経験から得た情報を記事化するブロガーを志す。15年ほど専業主婦兼ブロガーとして活動するも、モラハラな夫からから逃げるために50代にして独立。母としては、発達障害のある子どもの育児に奮闘。自分の経験が同じような状況に悩む人の励みになって欲しいと思い、専門ライターに転身。アラフィフでも人生やり直しができることを実感。