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「家康役は運命の役。我が意を得たり、と共感できました」野村萬斎さんインタビュー

  • 2024.8.19

 

狂言師 野村萬斎さん

のむら まんさい/1966年生まれ、東京都出身。70年「靱猿」で初舞台。国内外の狂言・能公演、現代劇、映画、テレビに演者として出演しつつ、新作狂言、シェイクスピア劇、現代劇などの演出家としても活躍。最近では、TBS日曜劇場「アンチヒーロー」の演技で俳優としての存在感を示した。2013年映画「のぼうの城」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞、18年演出・主演舞台「子午線の祀り」で読売演劇大賞最優秀作品賞、24年坪内逍遥大賞を受賞。万作の会 Instagram

生きている実感を生むのは、
人と人とのコミュニケーション。
コロナ禍以降、その大切さをとくに感じています

日本史の偉人たちがAIで現代に復活⁈ 彼らが集結した最強内閣は、コロナ禍の日本を救えるのか―。話題沸騰のエンタメ映画「もしも徳川家康が総理大臣になったら」でタイトルロールの家康を演じた野村萬斎さん。

「平和国家をつくった家康、戦国時代の信長、秀吉。ほかにもだれもが知っている歴史上の人物がオールスターで登場する。なかなかない状況ですよね(笑)」

豪華キャストが個性豊かに演じる偉人たちの奮闘ぶりは、圧倒的なおもしろさ! 各省の大臣がイケイケで政策を実行する中、家康は眼光鋭く動静を見守ります。
 

「カリスマ性があり、唯我独尊的に進もうとする偉人たちに対し、今作の家康は、自分も歴史の流れの中の一人に過ぎないという、俯瞰した目線がある。そのパブリックな発想に親近感を覚えますし、運命の役だった気がしています」

萬斎さん演じる家康は、たぐいまれな風格のあるたたずまい。「静かに座っているときも、重しのような存在感を放つことを心がけた」と語ります。〈考える人〉として描かれる家康が、国民に自らの思いを語る演説シーンは圧巻です。

「僕自身が〈我が意を得たり〉と共感できましたし、ここがこの役の生命線だろう、と。お金や地位だけではない、生きていくうえで大切な何かが伝わればいいな、と思いながら演じました」。AIで先人が復活する設定には、狂言師として思うところも。

 

「極論、過去の名人を科学技術で再現できるなら、自分はいらないんじゃない? って(笑)。一方でAIではだれも満足しないはず、という自信もあります。現代人の僕が先人から継承したものを最大限活用し、みなさんとコミュニケーションする。そこで生まれる〈生きている実感〉。コロナ禍以降、とくにその大切さを感じています」

映画やテレビでも活躍する萬斎さんのホームグラウンドは、約700年続く伝統芸能・狂言。いまは祖父、父から継いだ教えを息子に伝え、親子3代で舞台に。

「己を客観視することを、能を大成した世阿弥の言葉で〈離見の見〉と言いますが、弟子であるわが子と共演すると、自分を外側から見ることになる。そこから親もまた成長するんだと思います」
 

野村萬斎さんイチオシ!

新しい学校のリーダーズ

 

 

新しい学校のリーダーズ

ハマったきっかけはインスタ。「初めて見たとき度肝を抜かれまして。そこからいろんな動画を探すようになって。『オトナブルー』のレトロ感やダンスの独特なおもしろさ、『青春を切り裂く波動』のロックなカッコよさ! 撮影の合間には、皇居をバックに『TokyoCalling 』を踊っていました(笑)」。

これに注目!

「もしも徳川家康が総理大臣になったら」

 
 

© 2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会 全国ロードショー公開中
出演:浜辺美波、赤楚衛二、GACKT、観月ありさ、竹中直人、野村萬斎ほか

2020 年、コロナ禍で危機に直面した日本。政府は歴史上の英傑たちをAI・ホログラムで復活させ……。奇想天外な原作を豪華キャストで実写化! 総理大臣・徳川家康(野村萬斎)、経済産業大臣・織田信長(GACKT)、財務大臣・豊臣秀吉(竹中直人)らの手腕に国民が熱狂する中、官房長官・坂本龍馬(赤楚衛二)を取材するテレビ局の新人記者・西村理沙(浜辺美波)は、陰謀に気づき―。

野村萬斎さんからの直筆メッセージ

野村萬斎さんからの直筆メッセージ

(『オレンジページ』2024年8月17日号より)

撮影/鈴木康史 取材・文/待本里菜 ヘア&メイク/奥山信次 (B.SUN) スタイリング/中川原寛(CaNN)

·2024年7月現在の情報です。

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