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自分が一番年上の職場。「いくつになってもかわいがられたい」が本音

  • 2024.8.19

かわいいと言われるより、かわいいと人に言うことのほうが圧倒的に多くなったな、なんてことを思ったのは、環境のせいだろうか。周りからは「キラキラ」と称される世界で仕事をしながら、私はもうすぐ29歳になる。

仕事は主に美容系の広告制作に携わっており、担当している案件は、自分も以前から名前を耳にしたことがある企業。お世辞にも仕事が楽しくて何もかもがやり甲斐に繋がっている、とは言えない毎日で、数字やアイディアと常に戦っている。

しかし数字が伸びた時の嬉しさはたしかにあって、天職かどうかはわからないにしても、向いている仕事ではあると思っている。

自分のスペックだけ挙げれば、みんなが言うように「キラキラ」なのだろう。地方都市在住の20代。仕事は広告代理店で美容系の案件を担当。定時に帰宅後は本を読んだりストレッチをして自分磨き。土日の休みはマツエクに行ったり1人飲みをしたり、時々彼とゆっくり過ごしたり。

最近SNS広告で見かける「キラキラOLの過ごし方」そのままなのだから。

そんな毎日に感じる憂鬱さ。日々の業務に飽きてしまったわけではない。

では何が原因なのか?きっとそれは「私が職場で一番年上」という立場から来る気疲れだろう。

◎ ◎

これまでの職場では、一番年下とまではいかなくても、かなり年が若いポジションの中で、頼れる先輩や上司の背中を追いかけることに、楽しみと悔しさと憧れを感じていた。

頑張った時には褒められ、優しくも厳しくもされ、まじめで責任感が強い性格を認めてもらい、みんなからかわいがってもらっていた。末っ子気質なのもあって、その環境に居心地の良さを感じていた。

だからこそ、前の職場をやむを得ない事情で辞めることになったときは本気で涙した。しかし次の環境でも上手くやっていけると信じて、前に進んでいくしかないと、希望と不安を抱えて新しい一歩を踏み出した。その結果が今の環境に繋がっている。

新しい職場で自分以外全員が年下だと知ったときは、正直不安でしかなかった。たった幾つかしか違わないというのに、会話や価値観が合わない。仕事に取り組む姿勢はみんな立派だが、ノリの違いについていけないこともしばしば。

自分のことを若いともおばさんだとも思っていないが、共感できる人がいないというのはこんなに辛いものか、と苦しくなる毎日。ハイブランドのロゴが大きくプリントされた服を見せられ、でもその服たちはシワだらけで、自分はかわいいと思っていないモノにかわいいと言い続ける日々。もちろん年上である私のことをかわいがる人なんて皆無で、自分が少し前までいた世界が恋しくなって、溜息をついたことも何度もあった。

◎ ◎

同情されたいわけじゃない。でもかわいがってもらいたいのは本当。

「かわいい」が溢れる世界にいるのに、かわいいから一番遠い場所にいるような虚しさの手離し方が、今の私にはわからない。

年上にかわいがってもらいたい。かわいくないものを無理に受け止めたくない。その二つの軸が複雑に絡み合って、この憂鬱さを生みだしているのだろう。

いい歳して何言ってるんだ、と思うかもしれないが、これが私の本音なのだから仕方ない。年下でも頼れる人がいるのはわかっている。でも、そういうことじゃない。私を大人として怒ってくれて、かわいがってくれて、ありのままの私を理解はしなくても否定しないでほしい。そんな存在が身近にほしいだけ。

これから先も私より年上の人が入社することはほぼ無いと言われている。私はこれからも年下の子たちに「かわいい」という言葉を消費しながら、誰にもかわいがられることなく「お姉さん」として仕事をしていかなければいけないようだ。

もしかするとそこに心地よさを感じる日がくるかもしれない。でもすぐにはそんな気持ちになれないのは自分が一番わかっている。

ある日突然、末っ子から長女になった私。さて、どうしたものか。きっと幾つになってもかわいがられたい気持ちは変わらない。だからこそ、私はこれから「かわいい」により敏感になっていくのだろう。人との接し方に変化が出るのだろう。

どうすることもできない世界なら、自分の考えを変えるしかない。もし次に仕事でかわいがってもらえるタイミングがあったら、きっと今まで以上に嬉しさを感じるはずだから。

■向日葵色のプロフィール
夏はラムネよりビール

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