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生田絵梨花さん「自分の感情にふたをしない」。より豊かに生きるために

  • 2024.8.18

乃木坂46を卒業後、数々の作品に出演し、活動の幅を広げてきた俳優の生田絵梨花さん。今年4月には歌手としてソロデビューも果たし、この夏は『素晴らしき哉、先生!』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で地上波連続ドラマ初主演も務めます。27歳の今、生田さんが人生の選択で大切にしていることや、30代に向けた思いについて聞きました。

感情を爆発させるのは“素”の自分?

――今回のドラマで生田さんが演じる高校教師は、喜怒哀楽を素直に表に出すキャラクターです。これまでの役柄の印象とは異なり、新鮮に感じられました。

生田絵梨花さん(以下、生田): みなさんに見せたことがない一面を、このドラマにたくさん引き出してもらっています。これまで、お芝居ではあまり表現する機会がありませんでしたが、現場の方々からは、「意外に、こっちの方が“素”なんじゃないの?」と言われるくらい、不思議としっくりくる場面がとても多くて、自分でも驚いています。

考えてみれば、目指す理想に向けて頑張っていますが、それが時に「無理!」となると、帰りの車中で、マネージャーさんに2、3時間ぐらいバーッっと自分の感情を吐き出して、聞いてもらうことがあるんです。今回、自分の演技がしっくりくるのは、そんな発散の仕方が、役柄と重なるからなのかなと思います。

朝日新聞telling,(テリング)

――乃木坂46を卒業してから2年半になります。いま心境の変化や新たな生まれた思いは?

生田: グループで活動してきた10年は、メンバーのみんなで足並みを揃えて、助け合い、協力し合うというスタンスでいました。それが、いざ一人になると、「自分はどうしたいのか」と問われる瞬間や、話すにもパフォーマンスするにも、自分自身から発していかなければならない場面がとても増えました。

最初のうちは、「ああ、私一人でやらなきゃいけないんだ……」と心細く、どうすればいいか不安になった時期もあるのですが、「一人で何かを作るのではなく、向き合った先には、ファンのみなさんや現場のチームの方々がいる」と気付いてからは、恐れずに自分の思いを伝えられるようになりました。それに、何かを実現するためにはどうしたらいいのか、周りに相談できるようにもなりました。そのことが、自分にとっての大きな変化でしたね。

――この夏はドラマの撮影と並行して、歌手としても全国ツアーが続いています。俳優、音楽活動といった異なる分野のお仕事を同時に進めていくことは得意な方ですか?

生田: 大変さはありますし、私自身、何事も器用にできるとはまったく思っていないんです。でも、色々な仕事に取り組んでいるからこそ、得た経験が重なる瞬間があるような気がしています。今でも、迷いながらではありますが、自分にできることを諦めずに、それぞれの道を進んでいきたいです。

朝日新聞telling,(テリング)

変化のきっかけを作れたら

――telling,の読者世代である20代後半の女性たちは、キャリアやプライベートについて、生き方が多様化してきていると思います。生田さんは、人生の岐路に立ち、選択をする時に、どんなことを大切にしていますか。

生田: ちょっと前までは、自分の直感を結構信じていましたが、今は、どんな決断をするにしても、これまで関わった人たちの顔が浮かぶので、どうしたらその人たちに悲しい思いをさせないか、どうすれば自分の誠意が相手に伝わるか、ということをより考えるようになったかもしれないです。それは、私がこの仕事をしてきた13年間、ずっと周りの人に支えられてきたという思いがあるから。前に進めば進むほど、こうした考えを持つようになりました。

――これから30代に向けて、どのような思いで歩んでいきたいですか。

生田: いま、お芝居や歌、ステージで表現していく中で、葛藤したり悩んだりすることもありますが、そのような自分の感情にもふたをしないで表に出していくことが、生きていく上でとても大切なことだと思います。

朝日新聞telling,(テリング)

私自身も自分の内面を見なかったことにして、どんどん心がさびていってしまう感覚が、どこかにあるかもしれないです。無意識のうちに自分の感情をまひさせてしまっている部分があるので、今回、人間らしさを全面に出す役作りを通して、自分自身の本音によく耳を傾けるようになりました。

これからも、私が表現することによって、それを見てくださる人たちが、少しでも前向きに変化できるきっかけを作れたら、という願いがあります。そして、自分自身も、色々な分野で学んだり経験したりしたことを踏まえて、生活面でも、身近に接する人たちに対しても、より豊かに生きていけたらと思います。

■小島泰代のプロフィール
神奈川県出身。早稲田大学商学部卒業。新聞社のウェブを中心に編集、ライター、デザイン、ディレクションを経験。学生時代にマーケティングを学び、小学校の教員免許と保育士の資格を持つ。音楽ライブ、銭湯、サードプレイスに興味がある、悩み多き行動派。

■植田真紗美のプロフィール
出版社写真部、東京都広報課写真担当を経て独立。日本写真芸術専門学校講師。 第1回キヤノンフォトグラファーズセッション最優秀賞受賞 。第19回写真「1_WALL」ファイナリスト。 2013年より写真作品の発表場として写真誌『WOMB』を制作・発行。 2021年東京恵比寿にKoma galleryを共同設立。主な写真集に『海へ』(Trace)。

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