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【プロが解説】魅力的なトロピカルフラワー「ジンジャーリリー(ホワイトジンジャー)」の育て方

  • 2024.8.17

ハワイでも愛される香りのよい清楚な白花が魅力のジンジャーリリー。植えっぱなしで毎年開花するという育てやすさも、世界で広く親しまれる理由です。美しい花を咲かせる注目の種類の紹介に加え、ジンジャーリリーに適した環境と育て方、手入れなどをプロが解説します。

ジンジャーリリーの基本情報

夏の花
tamu1500/Shutterstock.com

植物名:ジンジャーリリー
学名:Hedychium coronarium
英名:Garland Lily
別名:ホワイトジンジャー、バタフライジンジャー
和名:ハナシュクシャ(花縮砂)
科名:ショウガ科
属名:ヘディキウム属
原産地:熱帯アジア
分類:常緑多年草(球根植物)

ジンジャーリリーは、ショウガ科ヘディキウム属の常緑多年草。原産地は、熱帯アジアです。ショウガのような株姿で、高さ2mになる大型の球根植物です。丈夫で育てやすく、夏頃から秋に香りのよい白い花を枝先に咲かせます。株全体にショウガのような香りもありますが、根は食用とはされません。

地植えすると植えっぱなしで手間もかからず、毎年開花します。寒さには強いので、関東以西の地域では屋外でも地上部は枯れますが越冬します。また冬に室内の温かい場所で管理すれば一年中常緑で、花期も長くなります。

日本には、江戸時代末期に薬用植物として渡来しました。現在は観賞用に栽培される他、切り花にも利用されています。

繁殖力が強く、世界の熱帯で広く野生化しています。キューバやニカラグアでは国花とされ、中国では花から香料を取るために商用栽培されます。

ハワイでは多く植えられて親しまれており、香りのよい花は結婚式のレイにも利用されます。またその香りは非常にポピュラーで香料としてよく使われ、知る人ぞ知るハワイを代表する花です。

ジンジャーリリーの仲間

ヘディキウム属はインド、東南アジア、マダガスカルなどに70~80種が分布します。カラフルな花を咲かせる品種が多くあります。

キバナシュクシャ Hedychium gardnerianum

キバナシュクシャ
LifeCollectionPhotography/Shutterstock.com

インド、ネパール原産で高さ2.5mほどになり、カヒリジンジャーの英名があります。茎は太く花序の長さは30~45㎝に達し、この仲間で最も豪華な花を咲かせます。白や赤などの花色があります。

ベニバナシュクシャ Hedychium coccineum

ベニバナシュクシャ
Luiz Franco/Shutterstock.com

インド、チベット原産で、朱赤やオレンジ、黄色などの花色があります。

ジンジャーリリーに適した環境・植え付け

ジンジャーリリー
1NANCY AYUMI KUNIHIRO/Shutterstock.com

地植えする場所、鉢の置き場所は?

肥沃で湿り気の多い土壌を好みます。熱帯では森の中や川沿い、湿地帯などで多く群生します。

日向から明るい日陰で育てることができますが、乾燥は嫌います。ただし水が溜まりやすい排水の悪い場所は避けてください。

半日陰の湿り気の多い場所に地植えすると、放置気味でも花が咲きよく育ちます。日向の庭などでは水不足になりやすいですが、水やりすればよく花を咲かせます。明るい日陰でも育ちますが間延びした株姿になり、花付きも悪くなります。

地植えの植え付け

ジンジャーリリー
Anshann/Shutterstock.com

株の入手は、春ごろに球根が売られています。

直径と深さともに40~50cmほどの穴を掘り、堆肥1㎏に草花用の肥料を1握り半(75g)程度混ぜて埋め戻します。5月以降(最低温度10℃以上が目安)に、球根を10cmの深さで植え付けます。浅く植えると乾燥して生育が悪くなるので注意してください。大きく育つので、株間は80cm程度あけるようにしてください。

鉢植えの植え付け

鉢植えで育てる場合は、6~7号鉢に球根を植え付けてください。夏頃に根詰まりしたら最終的に10号鉢に植え替えます。

用土

肥沃な土壌を好みます。有機質が多ければ比較的土壌を選びません。草花に広く使える一般的な培養土でよいでしょう。

ジンジャーリリーの育て方・日常の手入れ

ジンジャーリリー
Jack Hong/Shutterstock.com

水やり

乾燥を嫌います。春頃は株も小さく温度も低いので、鉢植えの表土が乾いてから与えます。夏から秋にかけては、晴れの日は毎日与えてください。

日向に地植えした場合は、1週間くらい雨が降らなかったら水やりしてください。

肥料

5月から10月に、3要素(N:窒素、P:リン酸、K:カリ)が等量の緩効性化成肥料などを規定量与えてください。

地植えでは骨粉入り油粕などを2カ月に1回与えるとよく育ちます。

病害虫

発生は少なく、ひどい被害をほとんど受けません。

冬越し

地上部は枯れますが、屋外で植えっぱなしでもよく越冬します。冬に敷き藁などをして霜よけすると、越冬しやすくなります。

ジンジャーリリーの手入れ作業

ジンジャーリリー
Ricardo de Paula Ferreira/Shutterstock.com

植え替え

前年度から育てている鉢植えは、根の発育が旺盛なので4月から5月に毎年植え替えます。根茎が鉢いっぱいになっている場合が多いので、半分から1/3程度に株分けして同じサイズの鉢に植えてください。株分けしない場合は、二回りほど大きな鉢に植えてください。

剪定・手入れ

花が咲き終わり、全体が枯れかかった茎は根元から切ってください。見た目がすっきりとよくなり、日当たりや風通しも改善されます。

増やし方

ジンジャーリリー
Anshann/Shutterstock.com

株分けで増やします。春の植え付け前に、芽が2~3個付いているように気をつけながら根茎を切り分けます。切り分けたら2~3日、日陰に置いて断面を乾燥させてから植えましょう。

ジンジャーリリーを育てて熱帯気分を楽しもう

ジンジャーリリー
Anshann, Phylicia Halcyon/Shutterstock.com

ハワイを代表する花のジンジャーリリー。庭に植えれば放置気味の管理でも毎年花が咲きます。鉢植えも根詰まりに注意すれば容易に育てることができます。ジンジャーリリーの美しく香りのよい花を咲かせて、自宅でトロピカルムードを味わってください。

Credit
文 / 小川恭弘 - 園芸研究家 -

おがわ・やすひろ/1988

年、東京農業大学農学部農学科卒業。千葉県館山市の植物園「南房パラダイス」にて観葉植物、熱帯花木、熱帯果樹、多肉植物、ランなど温室植物全般と花壇や戸外植物の育成管理のほか、園全体のマネジメントなどの業務に18年携わる。現在フリーランスとして活動。著書に『わかりやすい観葉植物』(大泉書店)、『ハイビスカス』(NHK出版)がある。

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