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<逃げ上手の若君>「作画と演出がもはや芸術の域」足利尊氏のカリスマ性を表現する“サイケデリック”な映像に驚がく

  • 2024.8.17
アニメ「逃げ上手の若君」第六回が放送 ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第六回が放送 ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

【写真】逃亡を図る風間玄蕃と北条時行(ほか、第六回場面カット)

TVアニメ「逃げ上手の若君」(毎週土曜深夜11:30-0:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Leminoほかで配信)の第六回が8月10日に放送された。有名な盗人だった風間玄蕃を新たな仲間として加えた北条時行。そんな時行に諏訪頼重が最大の敵・足利尊氏の恐ろしさを説く。その圧倒的なカリスマ性を表現したサイケデリックな映像に、視聴者から驚きの声が上がった。(以下、ネタバレを含みます)

「逃げ上手の若君」

本作は、「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」で知られる松井優征が週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載中の歴史スペクタル漫画を原作としたTVアニメ。鎌倉幕府滅亡の後、北条家の生き残りである主人公の北条時行が動乱の世を駆け抜ける姿を描く冒険譚だ。

アニメーション制作は「SPY×FAMILY」や「ぼっち・ざ・ろっく!」などを手掛けるCloverWorks、監督は「ワンダーエッグ・プライオリティ」で副監督を務めた山崎雄太、シリーズ構成は「その着せ替え人形は恋をする」の冨田頼子、キャラクターデザインは「劇場版ポケットモンスター ココ」で総作画監督を務めた西谷泰史が担当。奇才の製作陣が、美麗かつ迫力のある映像で歴史の一片を紡ぐ。

裏切られても裏切らない、主君としての懐の大きさ

諏訪領の一部を小笠原領のものとする綸旨(りんじ)を盗み出すため、小笠原貞宗(CV:青山穣)の屋敷に忍び込んだ風間玄蕃(CV:悠木碧)と北条時行(CV:結川あさき)。玄蕃の幻術で敵方を煙に巻き、逃亡を図る二人を思わぬ人物が待ち受けていた。

その名は、市河助房(CV:山本高広)。信濃守護補佐役で、貞宗の配下だ。驚異的な視力を持つ貞宗に対し、助房はすさまじく優れた聴力を有しており、状況分析にも長けている。

そんな助房に追い詰められていく中で、時行を裏切って一人で逃げようとする玄蕃。だが、その忍足も助房には通用せず、あわや刀で切りつけられそうになったところを時行が助け出す。代わりに擦り傷を負った時行は玄蕃の手を引き、暗闇の中を進むのだった。

まだ知り合って間もない時行と玄蕃。加えて玄蕃は有名な盗人であり、金以外は信用しない主義だ。ゆえに時行は、彼のことを疑ってしまった瞬間があったことを詫び、たとえ玄蕃が自分を裏切ったとしても、自分は玄蕃を決して裏切らないことを誓う。事実、北条時行はおびただしい人間に裏切られた経験を持ちながら、自ら味方を裏切った記録はないそうだ。

北条家の守護神であった足利尊氏(CV:小西克幸)の裏切りによって親族や家臣を失った時行。本来なら、誰よりも裏切りを憎んでも仕方がない。それなのに自分を裏切ろうとした玄蕃を許し、「たとえ君が絶体絶命でも、たとえ君が裏切っても、逃げる時は必ず一緒だ!」と晴れやかな笑顔で告げる。その懐の大きさ、いざという時は身を賭して仲間を守る気概がこれからも人を惹きつけていくのだろう。

その後、重傷を負った時行を見捨てることなく、追ってきた貞宗や助房を見事に出し抜いた玄蕃。「仮にお前が損得抜きで仕えたい主人に出会った時は、それでも金を取れ!」という父の言葉通り、国一つを条件に時行と契約を交わす。かくして、時行を主人とする郎党「逃若党」に新たな仲間が加わった。

アニメ「逃げ上手の若君」第六回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第六回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会

足利尊氏のカリスマ性を表現するサイケデリックな映像に驚がく

時行と玄蕃の時間稼ぎが功を奏し、領地を没収されずに済んだ諏訪家では宴が開かれる。玄蕃という心強い仲間を得て、弧次郎(CV:日野まり)は「あの技なら尊氏の寝室に忍び込んで、さくと暗殺できるのではないか」と期待をのぞかせるが、諏訪頼重(CV:中村悠一)はこれを否定。いかに尊氏が手強い存在であるかについて語り始める。

その頃、京では後醍醐天皇の皇子で、征夷大将軍に任命された護良親王(CV:鈴木崚汰)が尊氏を危険視し、命を狙っていた。そんな護良親王が目の前で下人を次々と殺害しても、尊氏本人は一切動じない。そして、「一対一でお話しすれば、誤解もとけるだろう」と護良親王に近づくや否や、その家臣たちの首を鮮やかに刎ねていく。その素早さといったら、本人たちも首を刎ねられたことに気づいていないレベルだろう。

人の首から血が噴き出す残酷な描写とは裏腹に、穏やかな笑顔を携えたままの尊氏。「貴様はこの世にいてはならない怪物だ!」と尊氏に切り掛かる護良親王だが、全く歯が立たず、気付けば昨日まで仲間だった者たちまでもが尊氏の魅力に吸い寄せられていく。

その圧倒的なカリスマ性なサイケデリックな映像で表現されたシーンについては、視聴者から「作画と演出がもはや芸術の域」「原作漫画を丁寧に解釈してて嬉しい...」「尊氏の不気味さが映像演出、構成、色、お芝居他全てフルに使って表現されててビックリし申した」と視聴者から驚きの声が上がった。

そんな緊迫感極まる空気を一変させたのが玄蕃。宴で泥酔した玄蕃は巫女のお尻を触った挙句、下半身を丸出しに。尊氏の恐ろしさを実感し、一瞬怯んだ時行だったが、玄蕃の奇行で我に変わり、「尊氏との差がどれだけあろうが、諦めません! 宝を集めて、何度でも突き詰めてやるだけです!」と頼重に宣言した。宝とは、頼重が時行に与えてくれた戦い方であり、仲間である。新たな宝物を手にした時行の活躍がますます楽しみだ。

◆文/苫とり子

アニメ「逃げ上手の若君」第六回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
アニメ「逃げ上手の若君」第六回より ©松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会
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