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帰省の夏、妻たちが夫の実家で「見たくない光景」とは? 謎に“別人化”する夫たちの狙いは何か

  • 2024.8.16
家にいるときとは「まるで別人」となる夫は少なくないようだ。夏の帰省シーズン到来で、あちこちから妻たちの愚痴が聞こえてくる。
家にいるときとは「まるで別人」となる夫は少なくないようだ。夏の帰省シーズン到来で、あちこちから妻たちの愚痴が聞こえてくる。

今年もお盆シーズンがやってきた。夫や妻の実家に帰省する人たちも多いだろう。お盆やお正月、夫の実家で「見たくない光景がある」と話してくれた妻たちがいる。

「義母に妙に甘える夫」に背筋が凍る

「夫は私や子どもには結構威張り散らすのに、自分の母親には変に甘えるんですよ。義母が何か言うと『やめてよぅ、おかあさーん』なんて普段出したこともないような声を出す。それを見るのが、なんだかつらくて……。いつも『おまえは夫を立てることを知らない』なんて言ってるくせに、何その声?と心の中でツッコんでいます」

アイさん(39歳)は苦笑しながらそう言った。専業主婦で何不自由なく暮らせるのは夫のおかげだと思ってはいるし、おだてておけば機嫌のいい夫なので「扱いやすくはある」が、自分の実家に帰省するたび母親に甘える夫の声には背筋が寒くなるとつぶやいた。

「甘えん坊なんだから」と義母

「臆面もなく、というんでしょうか。そうやって甘えたときに義母もまた、『あなたはいくつになっても甘えん坊なんだから。ほら、アイさんや子どもたちに示しがつかないでしょう』なんて言うんですよね。

夫は『いいよ、家ではアイにすべて牛耳られているんだから』と不穏なことまで言い出す。モラハラまがいのことを言ってるのは誰よと言いたいくらいです」

そんな姿を妻に見られていながら、帰宅すると「小腹がすいたなあ、何か作って」と自分は座ったまま命じる夫に、アイさんは心の中で「やっぱりコイツだけは信用できない」と感じているという。

「私が結婚生活を維持しているのは、ひとえに子どもに経済的な苦労をさせたくないから。私が歯向かわない限り、夫は私たちの生活を保証してくれている。それだけでいいんです。そう割り切っています。だからこそ、自分の実家で甘える夫は見たくないですね」

冷ややかな口調のアイさんである。

「いい夫アピール」に腹が立つ

「自分の実家でも私の実家でも、なぜか急にキッチンに立ったり皿洗いを引き受けたりする夫。家ではまったくやらないのに……。いつも腹が立ちます」

マヤコさん(42歳)の夫は、「いい夫アピール」が激しいのだと言う。飲食関係に勤める夫は、家では料理はしない。仕事でしているのに家に帰ってきてまでやりたくないと言うのだ。だからといって掃除や洗濯を担当してくれるわけでもない。週3回出社であとは在宅とはいえフルタイムで働くマヤコさんは、家事も育児もワンオペ状態だ。

「それなのに実家ではやるんですよね。料理だけじゃなく、数日滞在すると子どものものなど洗濯することになるんですが、夫は洗濯物を干したり取り込んだりしてる。うちの母親なんて『いいダンナさんよねえ』と羨ましがっています。

普段はやらないのよと言いたいけど、夫の名誉のために黙ってあげてる状態です。夫の実家でも、せっせとお皿を洗いながら『いいよ、いつもやってるから』と言ってる。どの口が言うのかと思いますが、そこで言い争うのも義父母に失礼だと思うし。実家でも義実家でも、イライラは募りますね」

夫に点数稼ぎみたいなことばかりしないでよと言ったこともあるのだが、「いいじゃん、別に」と軽く流された。そういう人なのだと思うしかないとマヤコさんは、しかたなさそうに言った。

義実家限定で「なぜか偉そうになる夫」

いつもは対等な友だち夫婦なのに、自分の実家に行くと、夫はなぜか偉そうになるとカナさん(43歳)は言う。

「ただ偉そうにするだけならまだいいんですが、ことあるごとに私をバカにするような発言をするんです。義母がまた、それを助長するようなことばかり言うから、義実家にいる間中、私はイライラしてしまう」

たとえば台所仕事を手伝っていたカナさんが、ついうっかりお皿を割ってしまったことがある。ごめんなさいと叫ぶと、夫が駆けつけてきて言った。「ほんっとにいつも失敗ばかりだなあ」と。

「私、家ではほとんどお皿を割ったことなんてないんですよ。夫のほうがグラスを蛇口にぶつけて割ったりしてる。それなのに私がミスしたのを、はしゃいで揶揄するのが腹立たしい。それを聞いた義母が、『誰でも失敗はあるんだから、そんなふうに言わないほうがいいわよ。カナさんは去年も確か、割ったけどね』って。

たぶん私、緊張しているんです、夫の実家で。夫ならそれを理解してくれてもいいのにと思うけど……」

さらに夫一家は議論好き。政治から事件まで、義両親と兄一家、姉一家までが集って喧々囂々、議論を交わす。

「私はお茶を入れたりして加わらないことが多いんですが、それでも義兄や義姉に『カナさんはどう思う?』と聞かれることがあります。すると夫は『無理無理、こいつは何も考えてないから』って。義兄も義姉も夫も有名大学卒で、私は田舎の短大卒ですけど、そういう言い方はないですよね。

日常的に夫はそうやって人をバカにすることはないので、自分の実家に帰ると急に気が大きくなってしまうんだろうと大目に見ているつもりですが」

だからこそ夫の実家に行くのは気が重い。そんな思いを抱えながら、今年も人々は義実家や実家を行き交うのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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