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【二度寝は健康に影響する?】睡眠の専門家に聞いてみた

  • 2024.8.15
教えてくれたのは…

東京疲労・睡眠クリニック院長

梶本修身先生

医師・医学博士。2003年より産学官連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」 統括責任者をつとめる。ニンテンドーDS『アタマスキャン』をプログラムして脳年齢ブームを起こし、メディア出演や講演など幅広く活動。『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)シリーズをはじめ、睡眠や疲労にまつわる著書も多数!

二度寝を気にしているのは日本人だけ!?

梶本修身先生

“二度寝”には、医学的な定義がありません。研究もさほど行われておらず、二度寝をしてしまって困ると感じているのは日本人ならでは。海外では二度寝をひとことで表せる単語はなく、二度寝にまつわる論文もほとんど見たことがない。『眠いのなら、寝ればいい』くらいの感覚です(笑)。日本人は世界と比べてもとくに睡眠時間が短く、普段の眠りが足りていない背景からくるのだと思いますね。


【正しい二度寝のやり方】「平日も休日も、二度寝していいんです」

二度寝をすると、なんとなく感じてしまう後ろめたさ。そもそも二度寝ってしてもいいの? 正しい二度寝の仕方はある? 平日と休日、それぞれの“二度寝の流儀”をレクチャー!

【平日の二度寝】「社会的に許される範囲内であれば問題なし!」

梶本修身先生

二度寝というのは、“睡眠の量や質に満足できていないこと”と、“時間的に二度寝ができる状況”が重なったときに、はじめて成立するものです。ただし平日は、どんなに眠くても通勤や通学をしなければならず、社会的要因によって許されないという人がほとんど。クビにならないためには、諦めて起きるしかありません(笑)。二度寝をしても大きなデメリットがあるわけではないので、時間が許すのであれば5分でも20分でも、どれだけの時間二度寝をしてもとくに問題はありませんよ。


【休日の二度寝】「理想は就寝時間の前倒し。睡眠不足なら二度寝で補ってOK」

梶本修身先生

寝だめをすることはできませんが、普段から睡眠不足を感じているのなら、休日はたくさん眠ったほうがいい、というのが医学的な見解。たとえば、平日は5時間しか眠れていない人が休日に7時間寝て、日々の不足分を取り返すというのは、体にも脳にも良いことです。ただし、朝起きる時間が遅くなると、休日の夜に眠りにくくなってしまう。なので、理想は金曜の夜に早く寝ること。いつもより2時間早く寝て、土曜の朝はいつも通りの時刻に起きれば、足りていない睡眠も補えるし、夜もきちんと眠れるようになり、生活リズムがくずれることがありません。


とはいえ、金曜や休日前の夜は、飲みにいったり趣味にいそしんだり、一週間の中でもっともプライベートを充実させたいタイミング。現実的には、実践するのが難しそう……。

梶本修身先生

そこが医学的観点と社会のズレ。ほとんどの人は金曜の夜9時には寝ませんよね(笑)。そのときは、土曜の朝に二度寝すればいいんです。体内時計が働いているのでいつもと同じ時刻に目覚めるかもしれないけれど、再び眠ってもOK。疲れていて眠りたい欲求がある中で、無理やり起きるほうが間違い。それは研究データでも証明されています。ただし先述の通り、その日の晩に眠れなくなってしまうと翌日困るので、二度寝したとしても、2時間以上は起床時間を後ろにずらさないほうがいい。2時間以上ずれると時差ボケがひどくなり、正常なリズムに戻すのが大変になります。


堂々と二度寝してもいいと思うと、なんだか気持ちもラクに! もし2時間以上プラスして眠りたいときは、どうすれば?

梶本修身先生

2時間以上、睡眠時間をプラスしたいのなら、“中間時刻”を意識すると良いでしょう。これは、眠りに入った時刻と朝起きた時刻のちょうど中間値にあたる時刻をさしますが、この時刻が2時間以上ズレないようにしましょうというのが基本ルール。たとえば、平日は夜12時に寝て朝6時に起きているのであれば、中間時刻は夜中の3時。週末に夜11時に寝て朝8時に起きれば、いつもより3時間も多く眠れるけれど、中間時刻は3時半。30分しかずれないので、体内時計も乱れにくくなります。


“中間時刻のズレ”を2時間以内にとどめればOK!

たとえばこんなケースなら大丈夫!
平日:就寝時間→夜12時 起床時間→朝6時 中間時刻は3時
休日:就寝時間→夜11時 起床時間→朝8時 中間時刻は3時半
平日と休日の中間時刻の差は30分

「二度寝したい」という欲求は、全細胞の叫びだった!?

起きなくちゃと思いつつ、まどろみながら二度寝に落ちていく幸せな瞬間……。どうしてあんなに気持ちよさを感じるの?

梶本修身先生

二度寝をしてしまうのは、時間や質を含めて、睡眠が足りていないということが第一。睡眠不足が生じていると、脳が『もっと寝かせて!』という指令を出すわけです。そして、今まではその指令が脳の中ですべて完結していると考えられていましたが、ここ数年の研究で、脳にそうした指令を出させているのは、全身の一つひとつの細胞が体内時計をもっていて、脳へ向かってさまざまな情報を送っているからということがわかったんです。
つまり、体がすごく疲れていたりすると、全身の細胞一つひとつが『もう少し休みたい。まだ起こさないで!』という情報を脳へと提供し、その情報を脳が集計して『もっと寝かせて!』というシグナルを出している。細胞それぞれの体内時計が、脳へアドバイスしているということですね。もちろん睡眠サイクルの大きな時計は脳の中にありますが、脳が体内時間のすべてを制御しているわけではない。なので、二度寝したい欲求が生まれるときというのは、脳の疲労という面も大きいけれど、全身の細胞レベルでもっと眠りたいと訴えかけているような状態。だから、二度寝は気持ち良くて当然だし、その指令に従って寝るべきというのが医学的な結論になるというわけです。


二度寝の願望を引き起こす原因は、睡眠不足だけじゃない!

“二度寝しちゃう原因=睡眠時間が短い”というのは想像がつくけれど、細胞の一つひとつが眠りたいシグナルを出していたなんて驚き! 私たちが想像する以上に、二度寝の要因は根深いのかも?

梶本修身先生

もし、量も質も睡眠を十分にとったはずなのに、それでも二度寝したくなるのは、何かしら別の要因があるとも考えられます。たとえば、なにかしらの炎症や損傷が加わった場合、細胞が『もっと休ませた方が良い』という情報を脳へと送ります。それは、もしかしたら前日に手術を受けた影響かもしれないし、自宅で何かを踏んづけたときの傷かもしれない。はたまた、上司に怒られたストレスが原因かもしれない。すぐには『これだ!』というものがわからないかもしれないけれど、全身の細胞が『もっと寝かせて!』というシグナルを脳へ送っているわけですから、心身のどこかにダメージを受けている可能性はある。二度寝をしたいという衝動が生まれるということは、睡眠や体のことを振り返ったり、生活リズムを見つめ直したりするきっかけにもなると思いますね。


「二度寝をすべきでないタイミング」とは?

二度寝はしてもいいということはわかったけれど、時間があるのなら、いつでもどんなときでもしていい?

梶本修身先生

目が覚めて体をスッと起こせるようであれば、二度寝はしないほうがいい。
夜眠ると、明け方ぐらいからコルチゾールというホルモンが分泌されはじめます。これは、体温や血圧、血糖値を上げて、朝起きる準備をするための“覚醒ホルモン”。眠っている状態だと分泌量は非常に低いですが、起床時間が毎日同じ人なら、だいたい起きる2時間前から徐々に上がってきます。このコルチゾールが上がったタイミングで目覚ましが鳴った場合、脳も体も起きる準備はできているわけだから、二度寝はしないのがベター。
コルチゾールが上がったタイミングというのは、体をすぐに起こすことができるとか、ベッドからの一歩目がスッと踏み出せるとか、そういった状態です。逆にいうと、二度寝をしたい衝動があるときというのは、コルチゾールの準備が間に合わないぐらい、普段から無理をしているともいえる。あとは、睡眠の質が悪いということも考えられます。目覚ましが鳴ってもボーッとしている、関節や体が硬いというのは、コルチゾールがまだ朝の準備をできていないサイン。そういったことも、一つの目安になりますよ。


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写真協力/ShutterStock 取材・文/橋場鈴里

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