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圧巻の輝き…天才女優のデビュー作、日本に衝撃を与えた傑作は?(4)孤高のカリスマ…エグい演技力の持ち主は?

  • 2024.8.15
平手友梨奈『うちの弁護士は手がかかる』公式インスタグラムより

今や映画界に欠かせない存在となった女優にも、スターダムに上り詰める最初の一歩があった。特別な輝きを放つ彼女たちは、デビュー当時から強烈なインパクトを残し、多くの観客を虜にしてきた。そこで今回は、今をときめく女優たちの衝撃のスクリーンデビュー作をセレクトして紹介する。第4回。(文・市川ノン)

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●平手友梨奈『響-HIBIKI-』(2019)

監督:月川翔
脚本:西田征史
出演:平手友梨奈、アヤカ・ウィルソン、高嶋政伸、柳楽優弥、北村有起哉、野間口徹、小松和重、黒田大輔、板垣瑞生、吉田栄作、小栗旬、北川景子

【作品内容】

文芸雑誌『木蓮』編集部に送られてきたのは、「鮎喰響」と名乗る人物の小説だった。新人とは思えないクオリティーに目をつけた花井ふみ(北川景子)は、作者の響(平手友梨奈)と出会う。響は若干15歳の女子高生だった。圧倒的な文才を持つ響だが、天才ゆえにネジが外れており、花井を含めた周囲をどんどん巻き込んでいく。

原作は柳本光晴による漫画『響 小説家になる方法』で、監督は『センセイ君主』などの月川翔だ。共演には高嶋政伸、小栗旬、柳楽優弥など、実力派が顔をそろえた。

【注目ポイント】

平手友梨奈演じる天才女子高生作家の響は、溢れんばかりの才能の持ち主である一方で、どこまでも正直で直情的だ。相手の言葉をそのまま受け取ってケンカになったり、友人を傷つける者には躊躇なく暴力行使に打って出る、イイ奴であると同時にヤバい奴なのである。

しかし、響の裏表がなく、ピュアな振る舞いに触れるにつけ、周囲は彼女に影響されるようになる。大人なら誰しもわきまえている忖度や妥協をよしとしない響の姿勢に感化されていくのだ。

平手のオーラやビジュアルは、彼女が演じる響というキャラクターと確実にシンクロしているように思える。ミステリアスでありながら、芯がある。スクリーンに映る響は、まさに平手そのものだ。

実際、平手はパフォーマンスを突き詰めるあまり、自身の心身を追い詰め、舞台裏で痙攣したり、ライブ中にステージから落下したりと、1つのことにのめり込む気質の持ち主だ。すべてのパフォーマンスが命がけ。だからこそ、一挙手一投足に目が離せないのだろう。そうした彼女の資質は、キャラクターと同化し、『響-HIBIKI-』という映画に稀有な強度を与えている。

本作は柳楽優弥、高嶋政伸、小栗旬、北川景子など豪華俳優陣が出演しているが、その中でも、彼女の芝居は決して見劣りすることはない。本作で平手は、日本アカデミー賞、日本インターネット映画大賞、日本映画批評家大賞など、名だたる映画賞で新人賞を獲得。役者としての最初の代表作が本作であるとして、続く第2の代表作の登場を心待ちにしたい。

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