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【こだわりの書店紹介】第4回目は、ジャンルレスの本が並ぶ隠れ家のような「FOLK old book store」

  • 2024.8.15

こだわりの書店と、書店員さんおススメの本を紹介するこのコラム。第4回目は、「1003」の奥村千織さんがおすすめする「FOLK old book store」です。

まるで秘密基地!?多様なジャンルが集まる「隠れ家」のような店内

今回紹介するのは、1階が喫茶店、地下が書店になっているという、めずらしいスタイルの「FOLK old book store」。1階の「谷口カレー」から漂ういいにおいをかぎ分けながら地下に降りると、そこにはまるで秘密基地のような本屋さんが! 14年前、店主の吉村祥さんが漠然と「何かお店をやりたい」と思い立った際、手元にある漫画や本・洋服をフリーマーケットのように売る形でスタートしたのだとか。

そのとき参考にしたのが、神戸・元町にあったトンカ書店(現 花森書林)。「友人に勧められて立ち寄ったトンカ書店では、スニーカーが売られていたり、コーヒーが提供されたり。それまでの書店に対する固定概念が覆され、自分もこのような書店を運営したいと思い、ジャンルにとらわれないFOLK old book storeをオープンしました」。

出典:シティリビングWeb

「FOLK old book store」の店主である吉村祥さん

「本が好き!」という人だけでなく、音楽好きやアート好き、ファッション好きなど、さまざまな人に門戸を開いているのが同店の特徴。店内には洋服や置物など、一見本とは関係がなさそうなものも。取材した日は、吉村さん自身が出版した漫画誌「キーホルダー」のイラストの展示会が行われていました。ちなみに、写真下のイラストが、「キーホルダー」の表紙を担当した權田直博さんの作品です。

出典:シティリビングWeb

写真下は、「キーホルダー」の原画部分。こうした作品を書店で見られるのも貴重ですよね。

出典:シティリビングWeb

さらには、個人やグループが自由な手法やテーマで制作した冊子「ZINE(ジン)」(写真下)や、今若者に“バズリ”中とのウワサの短歌集なども豊富にそろいます。こうしてみると確かに、ジャンルレスな書店というのも納得!

出典:シティリビングWeb

今年の9月には、14周年を迎える「FOLK old book store」。記念した展示も行われる予定なので、気になった人はWebをチェックしてみてくださいね。

隣には、大人になってからも訪れてほしい「子どもの本屋 ぽてと」が

「FOLK old book store」の隣にある「子どもの本屋 ぽてと」も、吉村さんが運営。店内は子ども向けの絵本や知育教材だけでなく、「子どもと一緒に親も楽しめるように」と、育児書やジェンダーなど大人向けの本も。地球儀やガチャガチャ、ぬいぐるみ、お弁当箱といった子どもが喜びそうなアイテムがたくさん並べられていて、隠れ家のような「FOLK old book store」とはまた違う、明るい雰囲気。「子どもの頃に親に連れられて来た人が、大人になってからまた訪れてくれるような絵本屋さんを目指したい」と吉村さん。「子どもたちと一緒に成長していける、そんな本屋が理想ですね」とも語ってくれました。

出典:シティリビングWeb

取材の合間も、来店する人が後をたたない同店。気さくに来店者と話をする吉村さんの様子が印象的で、「FOLK old book store」と「ぽてと」の両方を訪れている人の姿も多く見られました。カレーを食べた後にアーティスティックな「FOLK old book store」で刺激を受け、「ぽてと」でゆっくりとした時間の流れを感じてみるのも◎。私もプライベートで訪れてみたくなりました。

「FOLK old book store」吉村さんのおススメはこちら

吉村さんに、おすすめの本を3冊ピックアップしてもらいましたよ。

本をテーマにした作品を集めた漫画誌

キーホルダー

スケラッコ・黒木雅巳・カシワイ・奥田亜紀子・花原史樹共著、吉村祥編/POTATO PRESS 2,200円

出典:シティリビングWeb

吉村さん自身が愛してやまない作家5人に、「本」をテーマにした作品を書いてもらい収録した漫画誌。中には、スケラッコさんの「あの子のこと」や、カシワイさんの「on Reading」など、不思議な話や胸を打つ漫画が盛り込まれています。本のタイトルは、手軽で、お守りにもなる「キーホルダー」という存在が好きだったことからつけられたのだそう。今後は「本」以外のテーマで、第2弾・第3弾を出版していければ…という野望も。

臓器のように大切な〝読書体験〟を共有したい

肝腎

吉村祥編/FOLK old book store 1,650円

出典:シティリビングWeb

さまざまなジャンルの人に、自身の血肉になっている本2冊を聞いてまとめた一冊。体になくてはならない“肝”臓や“腎”臓のように、大切な「読書体験」を共有したいという思いで作られています。「絵本や読み物、漫画、画集など、200冊それぞれに強い思いが込められています。“本”というものに、改めて思いをはせるきっかけになれば」と吉村さん。

子育てに不安を抱えたときに読み返したくなる

かしこくて勇気ある子ども

山本美希著/リイド社 1,980円

出典:シティリビングWeb

国内外から高い評価を得ている漫画作家、山本美希さんによる作品。第一子を妊娠し、生まれてくる我が子へ期待を膨らませる夫婦。賢くて勇気ある子に育てば、明るい未来が訪れると信じていた。そんなかで知った、ある少女の身に起こった事件。それは、少女が賢くて、勇気があったが故に起こった事件だった。賢くて、勇気のある子に育てば、明るい末来は訪れるのか? 「生まれてくる子どものため、何を伝えるべきなのかを葛藤しながら、模索する夫婦の物語です」(吉村さん)。©️山本美希/リイド社

■今回紹介した書店は…

FOLK old book store

住所 大阪市中央区平野町1-2-1 1階、地下1階

営業時間 13:00~19:00(月曜定休日、土曜・日曜は18:00まで)

https://www.folkbookstore.com/

次回は、吉村祥さんが「FOLK old book store」を開くきっかけにもなった、神戸市中央区にある「花森書林」を紹介予定。お楽しみに。

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