1. トップ
  2. エンタメ
  3. 中島健人とスイーツの相性が抜群…回を追うごとに洗練されていく魅力の理由とは?『しょせん他人事ですから』第3話考察レビュー

中島健人とスイーツの相性が抜群…回を追うごとに洗練されていく魅力の理由とは?『しょせん他人事ですから』第3話考察レビュー

  • 2024.8.15
©「しょせん他人事ですから」製作委員会

中島健人主演のドラマ8『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』(テレビ東京系)が放送中。本作は、原作・左藤真通、作画・富士屋カツヒトによる同名コミックを原作とした新時代のリーガルドラマ。今回は、第3話のレビューをお届けする。(文・柚月裕実)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
————————–
【著者プロフィール:柚月裕実】
エンタメ分野の編集/ライター。音楽メディア、エンタメ誌等で執筆中。コラムやレビュー、インタビュー取材をメインにライターと編集を行ったり来たり。SMAPをきっかけにアイドルを応援すること四半世紀超。コンサートをはじめ舞台、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオ、YouTube…365日ウォッチしています。

『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会
『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会

ネット上に流れた虚偽の動画によって誹謗中傷に遭う兄妹デュオ・ヌーヌー。兄のリオ(野村周平)は、書きこみを読んだ妹のリホ(平祐奈)が過呼吸で倒れるほどダメージを受けたこともあり、誹謗中傷と戦うことを決意。

対象者全員を晒上げると保田に相談をもちかける。すでに情報開示請求対象者はリストアップ済み、リオは記者会見を開いてネットで誹謗中傷した全員の情報開示請求を行うと発表した。

ネットでは動揺が広がる中、広告代理店勤務の中山(小手伸也)も追い込まれていく。ある日、会社にプロバイダーから意見照会が届いたのを機に、深刻な状況に陥る。

「まさか自分が!?」ーー会社では役職に就く立場でありながらも、ネットの情報に踊らされてヌーヌーの炎上に加担していた中山。意見照会が会社に届いたのに加え、ネットに生息する“特定班”らしき人物によって、過去に投稿した画像から個人が晒されてしまう。会社にはいたずら電話の嵐…いわゆる電凸に遭ってしまうのだった。

「ただのつぶやきだと思ってた人間が、どんどんどんどん追いつめられていく、それだけの話だよ」相変わらず達観した様子の保田。保田の言葉通り“それだけの話”なのだが、当事者は、仕事も家庭も崩壊寸前。部下からも後ろ指をさされ、娘にも泣かれてしまう…思った以上に悲惨な状況に追い込まれていった。

『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会
『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会

視聴者にもわかりやすいリアルな描写で伝えていく本作。第3話では、誹謗中傷は若者だけとは限らないこと、そして中山がPC本体を破壊して隠滅するシーンが登場するが、改めて無知の恐ろしさを知る場面だった。

また、スマホの中で巻き起こる誹謗謗中傷の連鎖を目にしたパラリーガルの灯(白石聖)も、「正義感に駆られたとしてもこんな…」とこぼす。ヌーヌーのファンだけに、悲しみとやり場のない感情が一層強まり、「これはおかしい!」と義憤の念が沸き起こっていた。これがトラブルの根源であることも、隣でゆっくりとティータイムを堪能する、わが道を行く保田との対比であぶり出された。

「物申したくなってきてるね。SNSにどっぷり浸かると物申したくなる…」「あと一歩だよ♪」と上唇にクリームをつけた保田。可愛らしい表情だけど、鋭い指摘だ。

推しに対する他人からの書き込みを見て黒い感情が渦巻く灯。自分と他人の境界線が曖昧になってしまうはじまりは、誰しもこんな小さなきっかけなのかもしれない。

『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会
『しょせん他人事ですから』第3話©「しょせん他人事ですから」製作委員会

第1話でも保田が相談者に説明したように、ネットの誹謗中傷が和解に至るまでには、なかなかの労力がかかるものだった。リオも同様に、心身ともにダメージをくらっており、そんな姿を見てきたリホが、誹謗中傷の情報開示請求を止めたいと言う。

そんなリホに保田は、具体的な方法を伝えるのではなく、「ネット上のアンチは弱気に敏感ですから」と客観的な事象を伝える。そして「何が一番大事で、なんのために誰のために動くべきなのかもう一度考えてみてはいかがでしょうか」と、主体的に考えて決断できるように、道筋を整理するに留めた。

最後に「伝えることが苦手でも、言葉にしなきゃダメなときもあります」と、一般論ではあるものの、コミュニケーションに大切なことを添えた。保田の言葉には無駄がなく、適切な説明があるから腑に落ちる。磨きをかけた言葉だからこそのパワーがある。

第3話を見終えて、冒頭の「他人事、他人事!」と明るく言い放つ保田の姿が浮かんだ。依頼者にとって弁護士は「道具でしかない」、「戦うのは本人」と線引きをする保田。まず、自分と他人で線引きをして、むやみやたらに踏み込むものではないということ。そして、自分の考えを持つことの大切さ、反対に相手の考えを尊重するとはどういうことか、具体的な描写を以て一例を示しているように感じた。

毎話、保田によって“飯テロ”ならぬ“スイーツテロ”がさりげなく開催されている本作。回を追うごとに、ふわふわヘアでスイーツを堪能する保田の愛らしさが増していくのだが、それも弁護士として自分なりのスタイルで仕事をする姿があるからこそ。

保田のスイーツ探訪、スイーツ図鑑なるものを見てみたい…なんて平和なことを思ったのも束の間。次回予告ではなんだか物々しい雰囲気が漂ってきた。変なことに巻き込まれないといいのだが…。

(文・柚月裕実)

元記事で読む
の記事をもっとみる