東京ステーションギャラリーでは、「空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン」展が、2024年9月23日(月)まで開催されています。
ポスター
ジャン=ミッシェル・フォロン(Jean-Michel Folon, 1934-2005)
20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。 若き日に偶然出会ったマグリットの壁画に感銘を受け、絵画世界に惹きつけられたフォロンは、1955年に移住したパリ近郊でひたすらドローイングを描く日々を送ります。活躍の糸口をつかむべくアメリカの雑誌社に作品を送ると、『エスクァイア』『ザ・ニューヨーカー』『タイム』などの有力誌で注目され、1960年代初頭にはそれらの表紙を飾るようになります。
フォロン、1980年頃 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
その後、オリベッティ社(イタリア)のグラフィック・デザインを任されたり、ミラノ・トリエンナーレ(1968年)のフランス館で壁画を依頼されたりと活動の幅を広げていきました。ヴェネツィア・ビエンナーレ(1970年)やサンパウロ・ビエンナーレ(1973年)へのベルギー代表としての参加や、各国の美術館での個展の開催など目覚ましい活躍をみせます。
《Lettera 32 すべての人にオリベッティを》1967年 フォロン財団 ©Fondation Folon, ADAGP/PARIS, 2024-2025
会場展示風景 ※特別に許可を得て撮影しています。
日本では約30年ぶり大規模な展覧会
本展はフォロンの初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品までを含めた約230点を紹介する、日本では30年ぶりの大回顧展です。
会場展示風景
プロローグ 旅のはじまり
“空想旅行案内人“のタイトルは、フォロンが制作し実際に使っていた名刺 “FOLON: AGENCE DE VOYAGE IMAGINAIRE(フォロン:空想旅行エージェンシー)” が着想源となっています。会場入口にフォロンの名刺が展示されています。
フォロン:空想旅行エージェンシー名刺
フォロンの芸術世界を旅するための入口として、フォロンがくりかえし描いた変化する日常の事物や人間をモチーフとするドローイングや彫刻作品、日常に潜むユーモラスな風景を切り取った写真などから、フォロンの思考が紹介されています。
会場展示風景
色彩の魔術師
フォロンの作品は、美しい色彩とグラデーションですが色数は決して多くはありません。グラデーションや滲みなどを駆使することでフォロンの世界観が表現されています。
会場展示風景
見る人が絵と対話することを望んでいたフォロン。人々に世界の「いま」を語りかける手段として、フォロンは企業や公共団体などの依頼で手がけた600以上ものポスターを、絵画作品と同じくらい大切にしていました。
会場風景
やさしい悪魔?
フォロンは環境や自由への高い意識をもち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきました。
フォロンの作品は優しい色彩で親しみやすいのですが、示唆に富んだ作品とも言えます。
会場展示風景
エピローグ つぎはどこへ行こう?
「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」と語っていたフォロン。展覧会場の最後は、彼が愛してやまなかった海と水平線を描いた水彩画や、旅先でのスケッチブック、メール・アートなどが展示されています。
会場展示風景
空想旅行案内人 ジャン=ミッシェル・フォロン展は会場入口の名刺「フォロン:空想旅行エージェンシー」から空想旅行の旅が始まりフォロンの世界観が広がっていく展覧会です。
色彩やグラデーションが美しいだけではなく、人権、環境問題と云った様々な社会問題にも一石を投じた彼の作品は見応えのある展覧会です。是非会場でご覧になってみては如何でしょうか。