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松田元太は中心にいなくても輝く…実力派ぞろいの生徒役の中でも際立つ魅力とは?『ビリオン×スクール』第6話考察レビュー

  • 2024.8.14
『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ

山田涼介主演のドラマ『ビリオン×スクール』は、日本一の財閥系企業のトップである億万長者が、身分を隠して高校教師となり、生徒と様々な問題を通して成長する痛快・学園エンターテインメント。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ

【写真】Travis Japan・松田元太の表情に引き込まれる…個性が光る劇中カット。『ビリオン×スクール』劇中カット一覧

早くも後半戦に突入した『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)。第6話はいわば、“恋愛回”だ。ゼロ組の生徒・大杉美波(小宮山莉渚)が片思い中の男子生徒・花井歩夢(佐藤龍我)をめぐり、他校の女子生徒とトラブルになったのをきっかけに加賀美零(山田涼介)は恋の争奪戦に巻き込まれていく。

美波を演じたのは、映画『違国日記』(2024)での好演も記憶に新しい小宮山莉渚。主人公の姪・朝(早瀬憩)の親友であるえみりを演じた小宮山は、人とは違うことに悩み苦しむ若者の胸の内をナチュラルに表現した。またファッションモデルとしても活動している彼女はスタイル抜群で、ビジュアルが華やか。今作で演じる美波も目立つ存在で、男子たちの目線を奪う。

そんな美波が恋をしたのは、違う学校に通う歩夢。6人組のアイドルグループ「美 少年」のメンバーである佐藤龍我が演じた。印象的だったのは、ヘアスタイルだ。明るい髪を肩まで伸ばしたそのヘアスタイルはどことなく“平成感”があって、『ごくせん』(日本テレビ系)第2シリーズの亀梨和也や赤西仁を彷彿とさせる。佐藤から醸し出る色気と、中性的な美しさが余計にあの頃の“仁亀”を思い起こさせた。

ティーチ(安達祐実)からアドバイスを受けた零による恋の後押しにより、美波と歩夢はカップル限定のパーティーに参加することに。だが、そこで歩夢が5股をかけていることが判明する。美波は当然ショックを受けるが、彼女もまた歩夢の前で完璧な自分を偽っていた。

人間は機械じゃないのに、スペックが高い・低いで語られる世の中で本来の自分に自信が持てずにいる美波。そんな彼女に「どいつもこいつ欠点だらけだ。 だが、それを知った上で受け入れてくれる奴は必ずいる。 そいつこそが、お前が一緒にいる人間じゃないのか」と零は訴えかける。

『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ

実際、本当の自分を好きになってくれる人が美波にはいた。ゼロ組の日下部龍太(砂田将宏)だ。演じたのは、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBEのメンバーである砂田将宏。彼が体現する、普段は一匹狼でミステリアスだが、実は恋に不器用な龍太の真摯な思いは美波の心を動かした。

パーティーには他の生徒たちも参加し、互いを意識し始めた梅野ひめ香(上坂樹里)&西谷翔(水沢林太郎)、松下リナ(倉沢杏菜)に対し密かな想いを寄せる紺野直斗(松田元太)の恋も動き出す。

ネクストブレイクが期待される若手俳優が演じる生徒役の中で、ひと際目を引くのはやはり松田元太だ。もともとは校長の娘である東堂雪美(大原梓)や城島佑(奥野壮)らとつるんでいて、スクールカーストの上位に位置していた直斗。だが、3話でかつてはあまり目立つタイプではなく、親友の鈴木司(柏木悠)と映画製作に打ち込んでいたことが明らかに。

その前話から松田の演技には“伏線”があり、お調子者だけど無理やり雪美たちに合わせている必死感や、いじめのターゲットにされていたひめ香に感じている申し訳なさを、ありありと映し出していた。

その後は「一緒にいたいやつといろ」という零の熱い言葉を受け、司と元の関係に戻る。だが、直接手を下していないとはいえ、いじめに加担していたことは事実。それを自覚し、傷つけてしまったひめ香と真摯に向き合う姿や、承認欲求を拗らせていくリナを心配するそぶりも印象深く、エピソードの中心でなくとも松田の演技には常に光るものがある。

「わがままで、そのくせメンタルが弱いところがあって。そんなんでも!好きなもんは好きなんだよ!そういうもんだろ!」とみんなの前でリナへの愛を叫んだ直斗。その際も思いが溢れ、涙ぐむ松田の大胆さと繊細さを併せ持つ芝居に心を打たれた。

『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第6話 ©フジテレビ

この回では、加賀美と芹沢一花(木南晴夏)の関係にも改めて焦点が当たった。海外から帰国して早々、「問題を起こした生徒は退学にし、その生徒の担任も連帯責任で切り捨てる」という理不尽な改革を宣言する校長の東堂真紀子(水野美紀)。一花は反論するが、加賀美は真紀子の経営手腕を褒めちぎり、二人は言い合いに。

その中で、一花はつい「会長が亡くなられたばかりなのに情けない」と零を傷つける言葉を吐いてしまう。それをきっかけに距離が開いてしまう二人。だが、一花は養護教諭の堺宮子(MEGUMI)に対して「変人ですけど、芯は通っている」と零のことをかばい、零は一花に関して忠告するティーチに「あいつほど俺のことを考えているやつはいない」と強く反論する。何かとぶつかり合う二人だが、誰よりも互いのことを信頼しているのだ。

それが単なるビジネスパートナーとしての絆なのか、恋愛感情なのかはこれまで明確に示されていなかった。おそらく本人たちもよく自分の気持ちがわかっていないのではないだろうか。零は恋愛に対して意義を感じていないし、一花は幼い頃から零に仕えてきたから恋愛をする暇もなかった。どちらも恋愛に関しては生徒たちに何らアドバイスできない初心者なのだ。

けれど、その自分でもわからない感情にやきもきする姿を見る限り、単に主従関係には収まらない特別な思いがあることは明白だ。パーティーの入場条件として互いの欠点を言い合ううちにいつも通りの雰囲気が戻り、まさに「喧嘩するほど仲が良い」を体現する二人の姿は微笑ましかった。この調子だと、二人が恋愛関係になるのはまだまだ先だろう。お互いにデレている零と一花もいずれは見てみたいものだ。

零に反論され、「わからない。AIだから」と拗ねるような一面を見せたティーチの動きも気になるところ。零を思うあまり、ティーチが暴走しそうな予感だ。

(文・苫とり子)

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