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「全員がひとつになれる瞬間を」──サステナビリティとインクルーシビティの両立を追求するシネイド・オドワイヤー【若手デザイナー連載】

  • 2024.8.13
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。

過去数シーズン、ロンドンでショーを行ってきたシネイド・オドワイヤー(SINÉAD O'DWYER)は今季、そのボディポシティブなデザインを初めてコペンハーゲン・ファッションウィークで披露した。妻のオティリーがデンマーク人ということもあり、コペンハーゲンはオドワイヤーにとってなじみのある街だ。「コペンハーゲンには何度も行ったことがあります。(オティリーと)付き合い始めた頃にいくつかショーを見に行きました」と彼女は2025年春夏コレクションに先駆けて『VOGUE』に語った。「都市として、とても美しいです」

しかし彼女からすると、自身が作る服はいろいろな意味でクラシックな北欧スタイルには決して当てはまらない。「私のブランドは、本当にスカンジナビアンの正反対です」と笑うものの、コペンハーゲンのファッションシーンがここ数年で多様に進化していることも認める。例えば、友人でもあるデンマーク人デザイナーのアレクトラ・ロスチャイルド(ALECTRA ROTHSCHILD)は、クラブテイストを大胆なまでに落とし込んだデザインでここ数シーズン話題を呼んでいる。彼女は今回、オドワイヤーの妻や姉、キャスティング・ディレクターの母親など、オドワイヤーと見知った間柄にある人たちとともにモデルとしてショーに参加した。

シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。

典型的な北欧テイストではないにもかかわらず、オドワイヤーのビジョンはサステナビリティとインクルーシビティの両方に焦点を当てているという点で、コペンハーゲン・ファッションウィークの理念と合致する。これこそが、彼女が今年のZalando Visionary Awardに選ばれた理由であるに違いない。

2023年には同じロンドンを拠点とするブランド、パオリーナ ルッソ(PAOLINA RUSSO)が受賞した同アワードは、コペンハーゲン・ファッションウィークが提示するサステナビリティ条件を満たしながら、デザイン、ソーシャルインパクト、イノベーションの面で頭角を表しているブランドに贈られる賞だ。「サステナビリティであれ、衣服の作り方そのものであれ、ファッション業界の構造的な問題の解決に取り組んでいる独立系ブランドに贈られるという意味で、とてもユニークな賞だと思います」

フィッティングであらゆる体型のモデルを何人も起用するオドワイヤーにとって、今回の受賞によって得られる経済的なサポートとメンターシップは、活動を続けていく上で非常に貴重だ。「私のように、複数のサンプルサイズを作ろうとしているデザイナーを財政的にサポートする体制が整っていません」と彼女はファッション業界の現状について指摘する。「サステナブルに服を作る方法を見つけ出そうと奮闘しています」

シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションのランウェイを歩いた視覚障がいがあるインフルエンサーのルーシー・エドワーズ。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションのランウェイを歩いた視覚障がいがあるインフルエンサーのルーシー・エドワーズ。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。
シネイド オドワイヤー 2025年春夏コレクションより。

海外で行う初のショーにふさわしく、今回オドワイヤーが発表したコレクションは伸びやかだ。「全体的にノスタルジックなムードです」と話す彼女がインスピレーションにしたのは、10代の頃、ノースカロライナに1年間住んでいたときに感じた「自由」だ。「初めて本当の意味で周囲に溶け込めたと感じたのも、恋をしたのもあの頃でした」

自分にも居場所があると気づいたときの安心感。オドワイヤーが青春時代に感じたそれが、彼女のデザイナーとしての中心部分を成していることは明らかだ。何せ彼女はシグネチャーであるニットからランウェイを歩くモデルまで、すべてにおいて「あらゆる人を取り残さない」という姿勢を貫き通している。今季は視覚障がいがあるインフルエンサー兼アクティビストであるルーシー・エドワーズをモデルの1人としてキャスティングし、昨シーズン同様、目が不自由なゲストのための音声体験も用意した。

「本当にさまざまな人がランウェイを歩くので、私たちのショーはいつも本当に好きです」とオドワイヤーは言う。「全員がひとつになる瞬間を作ることが、とても大切なんです」

Text: Emily Chan Adaptation: Anzu Kawano

From VOGUE.CO.UK

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