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「私はそんな歳じゃないのよ!」リハビリを拒否する認知症患者が → 超ご機嫌になった理由とは!?

  • 2024.8.12

どんなお仕事でも、接客業である以上は相手に寄り添う心が必要だと思います。
筆者は以前、病院で理学療法士として働いていました。
その時に起こった、心に残っている実体験をご紹介します。

画像: 「私はそんな歳じゃないのよ!」リハビリを拒否する認知症患者が → 超ご機嫌になった理由とは!?

リハビリを拒否する患者様

私が理学療法士として勤務していた時の出来事です。
ある日自宅で転倒し、大腿骨頚部骨折で入院となった、高齢女性A子さんを担当することになりました。
A子さんには認知症もあり、リハビリの際に少しでも身体を支えると、

「年寄り扱いせんでくれ! 自分でなんでも出来るんやから!」

そう怒ることが多く、リハビリ拒否をする日も多かったのです。

バッサリショートに大変身。あれ、男だと思われてる??

元々私は髪が長かったのですが、休みの日に美容院でバッサリ切ってショートにしました。
背が高いのもあり「えらいイケメンになったわ(笑)」と、看護師や同僚達から好評だったのです。
そうしてA子さんの元へ行くと、何故か妙にモジモジしていて、

「今日はあなたがリハビリ担当なのね?」

と、何故か初めましての雰囲気に。
いつもの担当ですよと伝えても、理解して頂けませんでした。
会話の雰囲気から、どうやら男性の理学療法士だと思われていたようなのです。
そこで私は、極力低い声を出して、

「今日はよろしくお願いしますね」

そう言って優しく手を取ってみると、

「あなた素敵ね……!」

と、まるで恋する乙女のようになってしまったA子さん。
それを見て、私は男性理学療法士のフリを続けることにしてみたのです。

順調にリハビリ出来た。本当に良かった!

それからリハビリは順調で、一度も拒否されることはありませんでした。

「お肌も艶々ですね。もしかして、昨日沢山寝れましたか?」

もちろん前日に沢山睡眠を取られていたのは、事前に担当看護師に確認済み。
そんな風に色々なコミュニケーションを取り続けると、今までの拒否が嘘かのように、素直にリハビリを受けてくれたのです。

後日ご家族が面会に来られたので、経過などを説明することに。
髪を切ってから態度が一変したことも伝えると、
「お母さん、宝塚が大好きだったからかも?」なんて話で大盛り上がりしました。

結局そのままリハビリは順調に進み、退院して自宅へ戻る事が出来たA子さん。
しばらく同僚から「イケメン理学療法士」とネタにされ続けたのは恥ずかしかったですが、患者様のためになれたのなら良かったと、私の中でいい経験となった出来事でした。

まとめ

ご高齢の方だと、退院後に自宅に帰る事が難しく、老人ホームなどを選択される場合も多いのです。
理学療法士はリハビリを行うプロですが、そこに患者様の意思が伴っていないと難しいもの。
どんな形であっても、患者様に寄り添う形で行えた事に、誇りを持てた出来事となりました。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:Yuki.K

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