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【南青山】根津美術館 企画展「美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名品展-」を見に夏は美術館へ

  • 2024.8.11

美術館で涼む夏、美麗なるほとけ様に会いに行く

根津美術館で開催中の企画展「美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名品展-」[2024年7月27日(土)~8月25日(日)]で美しく麗しいほとけ様に出会いました。

根津美術館のコレクションの基礎を築いた初代・根津嘉一郎(ねづかいちろう)は、世に無神論的思想の広がりを憂いて、晩年、仏教思想の教導のため無宗派寺院の建立を目指していたそうです。

7600件を超えるコレクションのうち仏教美術コレクションは総数900件以上。嘉一郎の寺院建立への思いから蒐集されたものもあるそうです。 本展では、仏教美術コレクションのうち約200件を占める平安から江戸時代に至る絵画作品のうち、国宝・重要文化財18件を含む約40件を展示。

日本の私立美術館としては最高レベルの質と量といえる仏教絵画の粋を集めた展覧会です。 空調の効いた美術館は、夏のお出かけにもおススメです。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

左から、重要文化財 愛染曼荼羅 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13世紀、重要文化財 金剛界八十一尊曼荼羅 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13世紀、尊勝曼陀羅 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13~14世紀、重要文化財 大日如来像 1幅 絹本着色 日本・平安時代 12世紀 すべて根津美術館蔵

仏画コレクションの粋を堪能する

極彩色のほとけ、美麗なる重要文化財《大日如来像(だいにちにょらいぞう)》

重要文化財《大日如来像》。平安時代・12世紀に遡る現存最古の大日如来(だいにちにょらい)の独尊画像で、とても貴重な作品だそうです。もとは、岩手・中尊寺(いわて ちゅうそんじ)の丈六仏の胎内に収められていたと伝わります。

大日如来は、純密の『大日経』や『金剛頂経』においては、絶対的な仏であり、両経典に基づいて制作された両界曼荼羅(りょうかいまんだら)の主尊になります。 五仏宝冠を戴き、装身具を身につけた煌びやかなお姿で描かれています。本作は宝壇上の蓮華座に座し、智拳印を結ぶ金剛界大日如来を描いているそうです。

弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)が唐(とう)から伝えた密教(みっきょう)と、密教芸術が、京の都にも関りがあると思われる一流の仏絵師により、みちのくの奥州平泉(おうしゅうひらいずみ)で花開いた傑作です。 保存状態もよく、美麗なるほとけにふさわしい極彩色の尊像です。

出典:リビング東京Web

重要文化財 大日如来像 1幅 絹本着色 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵

未来仏のおわします《兜率天曼荼羅(とそつてんまんだら)》救済の光

56億7千万年後に下生して人類を救済する仏、弥勒菩薩(みろくぼさつ)のおわします天上の世界、兜率天(とそつてん)を描いた変相図《兜率天曼荼羅》。 宝石で出来たような壮麗な宮殿。妙なる楽の音を響かせる飛天・伎楽天(ひてん ぎがくてん)が舞い、弥勒菩薩の座す三層の宮殿からは、黄金の光が発せられています。

はるか未来に救済を約束する仏である弥勒菩薩。仏教の転生輪廻(てんしょうりんね)の思想から見ると、いつか出会える未来への希望を託したほとけ様かもしれません。

出典:リビング東京Web

左から、兜率天曼荼羅 1幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀、地蔵十王像 10面のうち2面 絹本着色 日本・室町時代 15世紀、他、展示風景 すべて根津美術館蔵

御神体を描いた国宝《那智瀧図(なちたきず)》

熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の御神体である那智瀧が描かれた国宝《那智瀧図》(中央)。垂迹画(すいじゃくが)の傑作とされています。

画面上部から昇る月とうっそうと茂る森の情景は、やまと絵の技法で描かれています。墨と金泥で描かれた懸崖は宋元画の技法で描かれており、やまと絵の技法と融合した山水図として貴重な作品です。 白く垂直に落ちる滝は、飛瀧権現(ひろうごんげん)を表しており、礼拝用として描かれたとされています。

出典:リビング東京Web

右から、重要文化財 春日補陀落山曼荼羅 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13世紀、国宝 那智瀧図 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13世紀、重要美術品 石清水八幡宮曼荼羅 1幅 絹本着色 日本・鎌倉時代 13~14世紀 すべて根津美術館蔵

禅の仏画の名品、吉山明兆筆《白衣観音図(びゃくいかんのんず)》

展示室2では、禅の仏画、元時代の仏画、高麗仏画の名品が並びます。

新出の吉山明兆(きっさんみんちょう)筆《白衣観音図》(右から2番目)。やわらかな白衣をまとい岩窟を背景に静かに座す観音の姿をあらわしています。筆者の吉山明兆は、東福寺の五百羅漢図でも知られる絵仏師です。

左は、同じく明兆の重要文化財《五百羅漢図(ごひゃくらかんず)》、右は、宋元絵画の影響の下に描かれたとされる周叟妙松(しゅうそうみょうしょう)賛《釈迦三尊像(しゃかさんぞんず)》。

出典:リビング東京Web

左から、重要文化財 五百羅漢図 吉山明兆筆 2幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀、白衣観音図 吉山明兆筆 1幅 絹本着色 日本・室町時代 15世紀、釈迦三尊像 周叟妙松賛 1幅 絹本着色 日本・南北朝時代 14世紀 すべて根津美術館蔵

みほとけの絵巻、地獄からの救済のほとけ

地蔵菩薩(じぞうぼさつ)の功徳、重要美術品《矢田地蔵縁起絵巻(やたじぞうぼさつえんぎえまき)》

重要美術品《矢田地蔵縁起絵巻》。 地獄の浄玻璃の鏡(じょうはりのかがみ)には、生前の亡者(もうじゃ)の行いが全て映し出されるそうです。恐ろしい鬼の姿をした地獄の獄卒(ごくそつ)たちの容赦ない責め苦により、亡者たちは、生前の行いの反省を迫られます。

あの世で、魂だけの素の自分となり、一切の嘘偽りが通用しない世界で、阿鼻叫喚の地獄の責め苦に途方に暮れる亡者たち。 そこへ地蔵菩薩が救済に現れます。救われた亡者たちのところへは阿弥陀如来(あみだにょらい)の来迎(ごらいごう)が描かれおり、阿弥陀浄土と地蔵信仰との融合がわかる絵巻だそうです。

矢田寺(やたでら)とも呼ばれた飛鳥時代創建の奈良・金剛山寺(こんごうせんじ)。ご本尊は平安時代初期に、満米上人が寺に迎えて以来、霊験仏として信仰を集めた地蔵菩薩です。 毎月の決まった日に月詣をして、地蔵菩薩に祈願をすると、その功徳により地獄の責め苦から解放されるという霊験を図にした絵巻です。

仏教の思想、善因善果・悪因悪果(ぜんいんぜんが あくいんあくが)とはこの世とあの世を貫く因果の理法のこと。ほとけ様と善い縁を結ぶのは、この世とあの世を貫いて功徳を積む善因善果の行いになるのかもしれません。

出典:リビング東京Web

重要美術品 矢田地蔵縁起絵巻 1巻 紙本着色 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵

金銀泥の見返絵《広弘明集 第十五本(中尊寺経/清衡願経)こうぐみょうしゅう だいじゅうごほん ちゅうそんじきょう きよひらがんきょう》

金銀泥の黄金に輝くほとけ様が見返絵に描かれた《広弘明集 第十五本(中尊寺経/清衡願経)》(右)。

奥州藤原氏の祖・藤原清衡(ふじわらきよひら)が発願し、天治3年(1126)に創建された中尊寺に奉納された紺紙金銀字の一切経のうちの1巻です。描かれているのは主に釈迦説法図だそうですが、お経の内容を反映したものもあるそうです。

重要美術品《矢田地蔵縁起絵巻》を見たあとでは、金銀に輝くほとけ様のお姿は、地獄で仏に出会ったような、極楽浄土へ辿り着いてほっと安心したような気持ちになります。

出典:リビング東京Web

【参考】見返絵 右、広弘明集 第十五本(中尊寺経/清衡願経) 1巻 紺紙金銀字 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵

同時開催 追善(ついぜん)の茶事

盆や年忌では故人を供養するための茶事を催すそうです。遺愛の品や仏事にちなんだ道具を用いて、故人を偲び追善の気持ちを表します。追善の茶事のための茶道具約20件の取り合わせです。

出典:リビング東京Web

経筒花入 1口 銅製鍍金 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵

 

出典:リビング東京Web

追善の茶事のための茶道具取り合わせ 根津美術館蔵

火焔地獄(かえんじごく)のような夏の暑さも忘れさせる美麗なるほとけ

根津美術館、企画展「美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名品展-」は8月25日(日)までです。

立秋を過ぎましたが、夏の暑さもまだまだ続きそうです。美術館の館内は空調が効いていて、とても涼しく快適に観覧が出来ました。涼みながら美しく麗しいほとけ様のお姿を拝見していると、火焔地獄のような夏の暑さを忘れさせてくれます。

庭園の木々の緑も濃い影を落とす季節、是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

根津美術館 庭園

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、オリジナル香 大日如来(1‚400円)を購入。落ち着いた品の良い香りです。

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 根津美術館

〇根津美術館 NEZU MUSEUM
URL:https://www.nezu-muse.or.jp/
住所:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1
TEL:03-3400-2536
開館時間:午前10時~午後5時(入館はいずれも閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日 ※ ただし、8月12日[月・振休]は開館し、翌8月13日[火]休館。
展示室 / ミュージアムショップ /庭園 / NEZUCAFÉ
交通:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
都バス渋88 渋谷~新橋駅前行〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分
駐車場:9台(うち身障者優先駐車場1台)

〇企画展「美麗なるほとけ-館蔵仏教絵画名品展-」
会期:2024年7月27日(土)~8月25日(日)
※日時指定予約制です。
入場料:オンライン日時指定予約 一般1,300円 (1,100円)、学生1,000円(800円)
( )内は障害者手帳提示者及び同伴者1名の料金。中学生以下は無料。
・当日券(一般 1‚400 円)も販売しています。
(ご案内は予約の方を優先していますので、当日券の方は少々お待ちいただくことがあります。混雑状況によっては当日券を販売しないことがあります。)
・1グループ 10名まで予約可能。

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