1. トップ
  2. ライフスタイル
  3. 「タトゥーは人を幸せにできる」──15歳の彫師NOKOが見る未来【ユースクエイク vol.1】

「タトゥーは人を幸せにできる」──15歳の彫師NOKOが見る未来【ユースクエイク vol.1】

  • 2024.8.10
手足に自作のタトゥーシールを貼ったNOKO。Photo_ MEGUMI
手足に自作のタトゥーシールを貼ったNOKO。Photo: MEGUMI

家族で移住したオランダから、一時帰国中の15歳のタトゥーアーティスト、NOKOは、タトゥーの魅力を「それぞれのタトゥーが持つ思い出や物語」だと捉えている。実際、亡くなってしまったペットとずっと一緒にいたいから(ペットの面影を)彫ってほしいとメッセージをもらうことも多い。そして、「不安を隠したり、美しさを高めたりできること」を、タトゥーのもうひとつの魅力に挙げる。「父がお客さんのコンプレックスだった傷跡を隠すためにタトゥーを入れたら、そのお客さんは人生が変わったと泣いて喜んだそうです」

製品化されたラグ。ブランドからのオファーをきっかけに、Tシャツや小物アイテムの商品化も行う。「お金を払って自分のデザインのものを家に飾りたい、服を着たいって思ってくれる人がいるのは本当にうれしい」。
製品化されたラグ。ブランドからのオファーをきっかけに、Tシャツや小物アイテムの商品化も行う。「お金を払って自分のデザインのものを家に飾りたい、服を着たいって思ってくれる人がいるのは本当にうれしい」。

国内外にその名を馳せる彫師であるGAKKINを父に持つ。初めて人肌にタトゥーを施したのは6歳のときだ。「父からペットの文鳥のタトゥーを入れてほしいと言われて、父の足に彫ったのが最初です。サイズは小さめで、時間もさほどかからなかったのですが、当時は手が小さく、皮膚を伸ばす力も足りなくて、マシンも重かったので、線が汚くなってしまいました。でも今見ると、これはこれで味があってかわいいと思います。父は、『これこそ思い出だ』と言って、大事にしてくれています」

グラフィカルでオリジナリティにあふれたモチーフのベースはすべて「猫や植物、動物など自身が好きなもの」。人間より動物や虫を描くのが好きで、園児の頃は、虫やお化けばかりを描いていたという。オランダ移住後に好きになったという猫も頻繁に描かれる。11歳の頃、タトゥーを練習中だとインスタに載せると、多くの人が練習台になりたいとメッセージをくれた。ただ、フォロワーが増え、現地の新聞に取り上げられたことで、児童労働局から子どもが働くのは違法だと連絡が入る。仕事としてではなく、練習(無料)だと伝え、理解を得たが、今は基本的にはシリコンやフルーツだけに彫っている。「オランダは13歳から学業に差し支えがない軽い仕事(日曜日以外)は許可されますが、コロナの時期も重なり、人に彫るのはやめました。今は15歳ですし、前よりもうまく線が引けるようになったのですが、学校の勉強が忙しくてあまり時間がありません」

フルーツに大好きな猫と植物を彫った作品。
フルーツに大好きな猫と植物を彫った作品。

オランダへの移住は自然な流れだったが、「(悪事でなければ)人と違うことをしたら褒めてもらえ、服装や髪型、自分をアピールすることなどを抑制されないオランダでの日々が、今のNOKOをつくったと思う」と両親は語る。

子どもの頃は「肌に描く絵」だと思っていたNOKOのタトゥーに対する認識は確実に変わってきている。「肌に描くインク以上のものだと年々実感しています。人を幸せにできるもの。一生残る分、デザインや技術力をしっかりと高めたいと思うようになりました」

Photos: Courtesy of NOKO Text & Editor: Yaka Matsumoto

元記事で読む
の記事をもっとみる