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【知っておきたい】災害時のお助け調理法「ポリ袋クッキング」~基本編~必要な道具と作り方のコツは?栄養士ライターがレクチャー

  • 2024.8.10

災害時に役立つ調理方法「ポリ袋クッキング」

災害時に役立つ調理方法「ポリ袋クッキング」
災害時に役立つ調理方法「ポリ袋クッキング」

地震が立て続けに起こり、不安な気持ちの人も多いのではないでしょうか。8月30日から9月5日の防災週間を前に、今一度、災害が起こった時の対処方法をおさらいしておくとよいでしょう。夏は他にも大雨、台風といった不測の災害が誰にとっても身近に起こり得ます。今回は、ガスや電気などのライフラインが急に途絶えた場合のレスキュー調理方法として、「ポリ袋クッキング」をお伝えします。この記事では在宅避難を想定した、少人数向けの道具や調理のコツを解説します。

「ポリ袋クッキング」に必要な道具

▲ポリ袋クッキングに使う道具の一例。必要不可欠なのが、耐熱性のポリ袋、カセットコンロ、ガスボンベ、鍋です。
▲ポリ袋クッキングに使う道具の一例。必要不可欠なのが、耐熱性のポリ袋、カセットコンロ、ガスボンベ、鍋です。

「ポリ袋クッキング」は「パックックキング」とも呼ばれ、耐熱性のポリ袋に食材を入れて、袋のまま湯せんする調理方法です。1つの鍋で複数の料理を作れる、1人分ずつ袋に分けて作れば柔らかさや量を個別に調整しやすい、加熱に使用する水(湯)が汚れず再利用できる、手を汚さずに衛生的に調理・片付けがしやすいなどの利点があります。何よりも、災害時に温かい食事が楽しめると、体も心もホッと救われる思いがしそうですよね。

パッククキングに必要な道具は次の通りです。

【必要不可欠なもの】・耐熱性食品用ポリ袋・カセットコンロとガズボンベ・湯せん用の鍋・鍋底に敷く布巾(ふきん)または耐熱皿

この中で重要なのがポリ袋。耐熱性の「高密度ポリエチレン」素材のポリ袋(耐熱温度100度以上、厚さ0.01mm以上のもの)をストックしておきましょう。また、加熱で耐熱性ポリ袋が破れてしまう危険性があるため、鍋底に耐熱皿または布巾(ふきん)を敷いて防ぎます。湯せん用の鍋は大きいと多くの料理を同時に作りやすい反面、使う水の量とガスの消費量が増えます。筆者が試した実感値になりますが、直径20センチ程度の両手鍋が使いやすいと感じました。

【あると便利なもの】・ミニトング:加熱調理後のポリ袋を取り出す時にあると便利・輪ゴム:複数のポリ袋を同時調理する際に束ねると後で取り出しやすい・キッチンはさみ:加熱後のポリ袋の開封や食材を切る包丁替わりに・使い捨てのビニール手袋:手洗いできない環境でも衛生的に食材を扱える・軍手:加熱後に袋の上からもんで出来上がりを確認する時にヤケドを防げる・ピーラー:野菜(にんじんや玉ねぎなど)をスライスできる・簡易まな板:加熱後の食材を一時的に置く、食材を切るときに便利・深さのある紙皿:調理後にそのままポリ袋をかぶせて食べれば使い回せる

ポリ袋クッキングおすすめレシピ“ワンポリごはん”

▲チキンピラフ風ごはん(左)、参鶏湯(サムゲタン)風おかゆ(右)完成です!
▲チキンピラフ風ごはん(左)、参鶏湯(サムゲタン)風おかゆ(右)完成です!

筆者自身が、白米、おかゆ、カレーなど数種類を作ってみて災害時におすすめだと感じたのが、主食(ごはん)・主菜(肉や魚のおかず)を1つにまとめて調理して食べることができるワンパンならぬ “ワンポリごはん”です。実際に作って家族と試食し、おいしい!と評判だった「チキンピラフ風ごはん」「参鶏湯(サムゲタン)風おかゆ」のレシピをご紹介します。

●チキンピラフ風ごはん《材料》1人分・米:60g・水:90g(90cc)・やきとり缶詰(塩味):35g(1/2缶)・コーン缶:大さじ3(40g)・トマトケチャップ:携帯サイズ1袋(12g)※やきとり缶はツナ缶や魚肉ソーセージなどお好みでアレンジしてください

●参鶏湯(サムゲタン)風おかゆ《材料》1人分・米:40g・水:200g(200cc)・チキンささみ ほぐし肉(レトルトパウチ):1袋(40g)・卵スープ(フリーズドライ):1食分(手でほぐして入れる)・にんにく:1かけ(皮をむいて丸ごと使う)・しょうが:1かけ(キッチンバサミかピーラーで削る)

《作り方/共通》 調理時間:30分(吸水時間を除く)(1)ポリ袋に米と水を入れ、30分以上吸水させる。(2)ポリ袋(1)に残りの具材を加え、袋の中の空気を抜きながらねじり上げ、袋の上の位置でしっかりと結ぶ。(3)鍋に水を入れ(容量の1/2程度)、鍋底にポリ袋を保護するため耐熱皿または布巾を敷く。(4)食材入りポリ袋(2)を入れ、フタをして火にかける。沸騰したら吹きこぼれないよう鍋のフタをずらし、火加減を中火~弱火(フツフツと小さい泡が出てくる状態をキープ)にして20分間加熱。さらに、火を止め、きちんとフタをした状態で10分間蒸らす。(5)ヤケドに注意して、トングなどでポリ袋を取り出し、結び目を外し(キッチンバサミで切ってもOK)、盛り付ければ完成!

まとめ

“ワンポリごはん”をおいしく作るポイントは、「30分以上吸水させる」「水から炊き始める」「20分以上加熱する」「高温度をある程度キープして10分程度蒸らす」です。こうすることで、米の中心部まで水分を行き届かせることができ、甘みのあるふっくらとした仕上がりになります。災害時だけでなく、キャンプなどのアウトドア料理にも応用できますよ。ポリ袋クッキングの調理方法はとてもシンプルですが、普段の料理とは勝手が異なるため、ご家族の人数に合う鍋の大きさや湯せん水の量、湯せん調理の火加減などを確かめるために、平常時に何度か作ってみてコツをつかむことをおすすめします。

(野村ゆき)

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