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【古田新太×中村倫也】「古田さんの言葉に10年ほど支えられていました」 劇団☆新感線『バサラオ』インタビュー

  • 2024.8.10

劇団☆新感線の最新作『バサラオ』に出演する古田新太さんと中村倫也さんの対談が実現! 長い付き合いだという二人の交流エピソードや中村さんにとって俳優人生の支えとなった古田さんの言葉、そして劇団☆新感線の魅力やハードさ、自身を輝かせるものなど盛りだくさん伺いました。


2011年に初共演、お互いの印象は?

ーーお二人は2011年の舞台『ロッキー・ホラー・ショー』以来の共演ということですが、その後、交流はありましたか? 中村 お互いの舞台を観に行ったり、プライベートの飲み会に合流したりしていました。 古田 (生田)斗真もだけど、偶然でもどこかで会えば飲みに行ったりしてるから、遊んでるっちゃ遊んでるし、付き合いはめちゃくちゃ長い。 中村 古田さんは初めて会ったときから変わらず、いつもすごく優しくて、楽しい話をしてくれる先輩という印象です。 古田 オイラは、倫也のことを素直な芝居をする人だなって思っていて。『ロッキー……』のとき、オールミュージカルは初めてですって言ってたけど、「全然お前歌えてる、いい声持ってるよな」って話をして。 中村 ですね。「音程は悪いけど、声はいい」って言われた記憶が鮮明にあります。それ以来、声は自分の強みとしていいんだって自信を持てました。実は古田さんには、自分の強みを認識するヒントをいろいろもらっています。自分は舞台が大好きで舞台をいっぱいやっていたけど、劇団に所属しているわけではないし、映像もやる中で、演劇人だって認識していいんだろうかと悩んでいたことがあって。そのときも「もう倫也はちゃんと演劇人だからさ」ってさらっと言ってくださって。明確な居場所がなかった僕にとって、その言葉は浮き輪のような存在で、10年くらいずっとすがってました。 古田 倫也は、そのままで全然いいんじゃない?ってずっと思ってたけどね。 中村 生粋の演劇人である古田さんに「お前は演劇人だと思っていい」って言ってもらえたんですから。心強かったし、支えになった言葉ですね。

舞台『バサラオ』の魅力とは

ーーそんなお二人が今回、劇団☆新感線の舞台では初めて共演します。中村さんは3作目、古田さんは劇団の顔であり、約40年参加されている劇団☆新感線の魅力やハードさについて教えてください。 中村 ハードさで言うと、まず稽古が長いですよね。歌もあるし、ダンスとアクションもあるから、だいたいミュージカルと同じぐらいの1ヶ月半から2ヶ月稽古があります。 古田 普通のミュージカルだったら、まず最初に歌劇から入って、振り付けやって、芝居は最後に当てていくんだけど、新感線は全部やりながらだから。 中村 そう、すべて同時進行で、組み上げていきますもんね。それを全部やる役者は大変です(笑)。 古田 いろんなセクションのいろんなパーツを、ガチャンガチャンと合わせていく作業だもん。 中村 こっちは全然体に馴染んでなくて、できてないんですけど、演出のいのうえさんは、「よし!できた!」って言い出すんです。まだやったばっかじゃないですか!、みたいな。 古田 いのうえさんにとっては、(倫也が)伝えられたらできてるみたいなことなんだよ(笑)。今回のようにピカレスクロマンとかいろんなこと言ってるけど、結果、歌って、踊って、戦って、あわよくば笑いもとってくれというのが新感線であって、そこが観客にとって魅力になってる。 中村 そうですよね。楽しさの面で言うなら、芝居に歌、ダンスにアクションに笑いって、新感線ならではというものが認識としてあるじゃないですか。その認識があるってことがやっぱりすごいことですし、俳優もそこを求めて参加するんですよね。 古田 まあ、俳優の大変さもそこにあるんだけど。新感線は観るもので、演じるものではないって思う俳優もいると思う。でも、今回の4人のゲスト、倫也や斗真、りょうちゃん、なぁちゃん(西野七瀬さん)は、一回でもこの劇団を経験していて、空気感は分かってるから、その点では安心。だから、大変だろうけど楽しくできると思う。オイラ的には、この4人が揃ったし、“下ネタミュージカル”がやれたらいいなと思っていたんだけどね。

ーー中村さんは、主人公ヒュウガの参謀としてバディを組み天下取りを目論むも、なにやら一筋縄ではいかない謎の男カイリを演じます。古田さんは、沖の島に流刑となった帝で、ヒュウガ・カイリと対峙することとなるゴノミカドを演じますが、それぞれの役のイメージはいかがですか? 中村 舞台で、主演じゃなく出演するのは久しぶりなんです。なので、主演の横にいる人間としてどういう関わり方ができるのかなと楽しみにしていたのですが、本読みをしたら主演よりも出番が多かったので、話が違うな、と(笑)。やることも結構多い役だったので、これは気を引き締めて挑まなきゃいけないなと思いました。カイリの役割を考えると、リアクションとか人のことを説明するセリフとかで、どれだけその人のキャラクターとか深みというか、ニュアンスを足せるかが大事になってきます。それによってちょっとクスッとできたり、ハラハラしたり、キョトンとしたり。カイリはそういった役割が多く、後半に向けて力を貯めなきゃいけないな、と思っています。 古田 ゴノミカドは、インチキ臭い関西弁をしゃべるという、最もオイラが苦手なお芝居をすることになりそうです。実は関西弁は、あまりうまくない(笑)。あと、「ミカド」だからカリスマ性はあるんだろうけど、この劇団のことだから頭が悪くて抜けたところがある。他のキャラクターもみんなそんな感じの奴ばっかりで。でも、その中でも、倫也が演じるカイリは目端が利く方だと思う。ちょっとマシというか。 中村 ああ、その表現わかりやすいですね。カイリは、確かにちょっと違うんですよね。

いのうえひでのりさんの演出について

ーーお二人にとって、劇団☆新感線主宰・演出のいのうえひでのりさんは、どんな演出家ですか? 古田 いのうえさんのこと、漫画家に例えると赤塚不二夫だと思ってるんです。なんでもかんでも、自分が面白がれるキャラクターを作っていくっていうか。そこは足を輪っかにして走ってくれ、一瞬、空中で止まってくれる?という感じで言ってくる(笑)。そんな奴は現実にいないんだけど、実際に少年漫画をやりたいんだろうな。 中村 ほんとに出来たら、気持ち悪いですもんね(笑)。新感線がすごくありがたいというか、楽だなって思うところは、動きを考えてくれるところですね。それを役者がやらなくていいっていうのは、めちゃくちゃ楽です。どのポジションに行けばいいのか、先にいのうえさんがやって見せてくれるから。それによって、ここを見せたいんだな、こう立てたいんだな、このぐらい残したいんだな、じゃあこういう言い方をして、体を運べばいいかなって、見えてくるので、めちゃくちゃ楽です。でも、楽の後にすごく大変なんですけどね(笑)。 古田 確かに(笑)。舞台の上で体現する俳優は、ただただ大変だよな(笑)

古田さん衣裳協力=カーディガン2万8600円、パンツ2万2000円(ともにパゴン)
問い合わせ:パゴン本店Tel075-322-2391

こんな時に「輝いている」

――月刊誌GLOWは「輝きはいつだって自分の内側にある」というのがテーマなのですが、お二人はどんなときに輝いていると思いますか? 古田 オイラが輝くためにしていることは、飲み屋で誰も傷つけないこと。いない奴の悪口を言うこと。 中村 いない人っていうのが大事なんですね(笑)。 古田 そう。いない奴の悪口を言うときが、オイラが一番輝いているときかな(笑)。輝いているのは、グイグイ来ない人。逆に輝いていないのは、全部自分中心に来る人、そんなに面白くない話をする人だね。 中村 僕は全部楽しいんですよ。もしかしたら、人から見たら、面倒くさいことやストレスになること、得手不得手あることも、全部楽しくて。良いことも悪いことも、ダメなことも、できることも、そういう心持ちで生きています。嫌になるくらいなら、好きになろうと思って。あと、愛情のある悪意で、人のことを見ようと思って。それはもう僕自身の性質なんですけど。輝いている人は、何でしょうね。誇れる何かを持っている人は、輝いているんじゃないかな。

撮影=村松巨規 ヘアメイク=田中菜月(古田さん)、Emiy(中村さん) スタイリング=渡邉圭祐(古田さん)、戸倉祥仁<holy.>(中村さん) 取材・文=杉嶋未来

2024年劇団☆新感線 44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』

「ヒノモト」と呼ばれる国で幕府と帝が相争う時代を舞台に、自分自身の美しさを武器に天下取りを目指す男ヒュウガ、そんな男の参謀としてバディとなる元・幕府の密偵の男カイリ、そしていきすぎた自分の信念や欲望のために裏切り、裏切られる人々を描くダークスペクタクル。

劇団☆新感線の44周年興行であり、主演・生田斗真の生誕39年を記念して行われる“サンキュー公演”でもある。公演は7月7日から8月2日まで福岡・博多座、8月12日から9月26日まで東京・明治座、10月5日から17日まで大阪・フェスティバルホールにて全97公演を予定。劇団☆新感線の単独公演としても最長、約15万人を動員。
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:生田斗真 中村倫也/ 西野七瀬 粟根まこと/ りょう/ 古田新太 ほか
企画・製作:ヴィレッヂ 劇団☆新感線

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