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酒井順子さんインタビュー「私たちにしみ込んでいる根深い階級意識に問題提起したい」

  • 2024.8.9

 

エッセイスト 酒井順子さん

さかい じゅんこ/1966年、東京都生まれ。高校在学中から雑誌『オリーブ』にコラムを寄稿。大学卒業後、広告代理店勤務を経て執筆業に専念。2004年『負け犬の遠吠え』で婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。『ユーミンの罪』『子の無い人生』『男尊女子』『家族終了』『ガラスの50代』『うまれることば、しぬことば』『枕草子(現代語訳)』など著書多数。

他人を上に見たり、下に見たり……
私たちにしみ込んでいる無意識の視点への
問題提起ができればいいなと思います

著書『負け犬の遠吠え』が社会現象となってから約20年。酒井順子さんはそれ以降も、世の中の流れ、女性の生き方や家族のあり方を独自の目線で考察し、話題作を送り出してきました。新刊『消費される階級』では、私たちの中に潜む階級差に目を向けています。

たとえば、韓国ドラマを見て気づいたという、日本の根強い二重まぶた信仰。芸能人、とくに女性は圧倒的に二重まぶたの割合が高く、一重は個性派扱い。そんな価値観を私たちは子どものころから刷り込まれてきたと指摘します。
 

「ポリコレ(※)的な考え方が広がった時代。自分はするはずないと思っても、無意識にだれかを下に見ていたり、逆に自分が他人から上や下に見られていたりする可能性もある。こういうことはだれしもあることではないか、という問題提起ができればと思っています」

読む人にさまざまな気づきを与えてくれるエッセイのテーマを、酒井さんはどのように考えているのでしょうか。「日常生活の中でふとした瞬間に降りてくる……と言ったら大げさですが(笑)。これまでの経験や読んだ本の知識から何かと何かが重なり合い、引っかかるという感じでしょうか」。
 

そんな酒井さんの日常は意外とアクティブ。体を動かす習い事もしているそう。「才能がないとわかりました」と笑いつつもヒップホップダンスを楽しみ、大好きな中国文化に触れるべく、卓球と中華料理も習っています。「家でも中華っぽいものを作ることが多いですが、先生のレシピどおりに作るとやっぱりおいしい。いつまでも覚えられないので、レシピを見ながらでないと作れませんが」。

長年パートナーと暮らしているそうですが、「なんとなく料理を作るのは私、片づけるのはあっち。家事は気づいたほうがやることにしています。ただ、どうしても私の負担が大きくなる。声をかけていっしょにやることで、こういう家事もあると知らしめています(笑)」。

また、「制度上は男女平等が整備され、こんなに世の中が変わった今でも〈家事は女性、仕事は男性〉という意識がしみ込んでいる部分がある」と酒井さん。「妙だな」と感じることは日常のあちこちに潜んでいます。「この本が、それに気づくきっかけになれたらと思います」。

(※)ポリティカル・コレクトネス
性別、人種、職業、宗教などに対し、政治的・社会的に公正で中立的な表現・言葉を使用すること。

 

酒井順子さんイチオシ!

加賀屋 能登豚味噌漬け(いしる風味)

120g×5枚 6100円(送料込み)
加賀屋オンラインショップ

冷凍庫に常備して、忙しい日の晩ごはんに

 
能登半島地震の被災地支援を意識して、石川県の商品をよくお取り寄せしているという酒井さん。「加賀屋のかたがたと交流があり、日本海側の本を書いたときにもお世話になりました。せめて食べて応援したいと思って、奥能登珠洲の梅干し、日の出屋製菓の『海苔巻あられ』、ぶりしゃぶなど、通販サイトでいろいろ買っています。『能登豚味噌漬け』は冷凍なので、冷凍庫にあると忙しい日にパッと解凍して食べられて便利ですよ」。

 

これに注目!

『消費される階級』

酒井順子/1870円/集英社

表からは消えたように見える序列、区別、差別。しかし姿を変えたでこぼこ、「上に見たり、下に見たり」する根深い階級意識は、私たちの中に潜んでいます。ウェブメディア「よみタイ」に連載された、さまざまな格差の考察エッセイ。カバーには、さまざまな猫のイラスト。「猫にもいろんな種類がいるというところからも、〈差〉だの〈別〉だのを感じ取っていただけるとうれしいです」。

酒井順子さんからの直筆メッセージ

酒井順子さんからの直筆メッセージ


(『オレンジページ』2024年8月2日号より)


撮影/天日恵美子 取材・文/高丸昌子 デザイン/広瀬 匡(FEZ)

·2024年6月現在の情報です。
·商品の価格は、特に記載のない限り消費税込みの価格です。改定される場合もありますので、ご了承ください。

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