【おすすめ新作映画3選】男と女の人生を描くドラマチックな３本

2024.8.9

驚くべき実話から着想を得て、作り手の視点で紡がれた物語たち。
フィクションと真実の狭間で、男と女の人生を描くドラマチックな３本を紹介。

『メイ・ディセンバーゆれる真実』

過去を語り直すとき新たな問いが生まれる

36歳のグレイシーと13歳の少年、ジョーの不倫騒動“メイ・ディセンバー事件”。
実刑となったグレイシーは獄中で出産し、出所後はジョーと穏やかな毎日を送っていた。事件をもとにした映画に出演することになった女優のエリザベスは、役作りのために彼女の家を訪れる。
かつて世間を騒がせた実話を『キャロル』のトッド・ヘインズが映画化。
ナタリー・ポートマン演じるひとりの女優が、ジュリアン・ムーア扮する奇妙な魅力を持つ女をつぶさに見つめ、語り直そうとすることで“真実”の向こう側の景色がぐらつきはじめる。
ジョーは彼が熱心に育てている蝶のように、籠の中に閉じ込められた存在なのか、それとも……？ドラマとノンフィクションが拮抗して生まれる隙間に、飲み込まれそうになる心理サスペンス。

監督：トッド・ヘインズ
出演：ジュリアン・ムーア、ナタリー・ポートマン、チャールズ・メルトン

ＴＯＨＯシネマズ日比谷ほか全国公開中

『フェラーリ』

妻、愛人、子供たち速さの先にある真実

フェラーリの創始者、エンツォ・フェラーリ。
1957年の夏、会社は業績不振にあえぎ、息子の死をきっかけに妻との関係は壊れていた。愛人との間に生まれた息子を認知することができないなか、エンツォはイタリア全土を走るロードレース、ミッレミリアに挑む。
『フォードVSフェラーリ』では制作総指揮も務めている名匠、マイケル・マン監督がエンツォの人生をもとに映画化。
臨場感あふれるレースの場面も盛り込みながら、創始者であり、夫、父でもある男の苦悩や闇の部分にも光を当てた。機能美を備えた車を生み出したエンツォの精神をパッションとエレガンスが同居する芝居で体現するのは、『ハウス・オブ・グッチ』のアダム・ドライバー。
妻を演じたペネロペ・クルスの哀しさと威厳にも惹きつけられる。

監督：マイケル・マン
出演：アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、
シャイリーン・ウッドリー、パトリック・デンプシー

TOHO シネマズ日比谷ほか全国公開中

【スターチャンネルEX】『フュード／確執カポーティ vs スワンたち』

社交界の裏側に潜む美しき〝白鳥〟たちの復讐

『ティファニーで朝食を』『冷血』が高い評価を受けて、大きな影響力を持つこととなった作家、トルーマン・カポーティ。
ニューヨークの上流階級の女性と交流してインスピレーションを得るが、のちに彼女たちの私生活や秘密を綴った短編小説を執筆。それを知った美しき“スワンたち”は、復讐を仕掛ける……。
カポーティと富も美貌も持ったセレブリティとの対決を描くドラマシリーズ。
『glee／グリー』のライアン・マーフィが製作総指揮、ガス・ヴァン・サント監督がタッグを組み、ナオミ・ワッツ、ダイアン・レイン、クロエ・セヴィニーらゴージャスな女優陣が勢揃い。
未完の遺作『叶えられた祈り』の謎にも触れ、60年代のムードを濃密に伝える衣裳や美術が友情と復讐のドラマを彩っている。

監督：ガス・ヴァン・サントほか
出演：ナオミ・ワッツ、ダイアン・レイン、
クロエ・セヴィニー、トム・ホランダー

Amazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX」にて配信中

選・文／細谷美香

大人のおしゃれ手帖2024年9月号より抜粋
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大人のおしゃれ手帖編集部

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