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休暇中、会社のメールを見ているあなたは要注意! 現代人を蝕む「マイクロワーク」とは?

  • 2024.8.8

退勤後や休暇中などの勤務時間外に、「サッと」終わると思ってついつい小さな仕事をやってしまうことを"マイクロワーク"という。一見効率的に見えるかもしれないが、実はそれは時間を食いつぶし、仕事をしている時間を限りなく伸ばしてしまうことに繋がる。そんなマイクロワークから抜け出すためのフランス「マダム・フィガロ」の記事を紹介しよう。

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就労時間外にやってしまう「すぐに終わる」小さなタスクは、実は我々の自由な時間も精神もむしばんでいく。photography: Getty Images

スーパーのレジに並びながらメールを読んだことはある? スケジュールの合間に、移動中の地下鉄で書類に目を通したことは? ベッドに入ってから職場のコミュニケーションアプリを開いて返信したことは? 答えがイエスなら、あなたは"マイクロワーク"をしていることになる。

マイクロワークとは、業務時間外に「サッと」小さな仕事をやってしまうことを指すが、実際にはプライベートな時間を食いつぶすものだ。「仕事の、日常の中への侵入です」とフェミニストのキャリア・コーチング企業であるPowHER ta carrièreを立ち上げたサラ・ジトゥニは忠告する。「数秒間しかかからないから、と思っていても、実際にはマイクロタスクは仕事から離れる権利を蔑ろにします」

この権利の法制化の分野でフランスは第一線に立つというのに、なぜ我々は職場を離れても仕事にしがみつこうとするのだろうか。「FOMO(英: Fear Of Missing Out、取り残されることへの恐れ)はありますね」とSNSでCareer Kueenの名で知られるキャリーヌ・トリウリエは考える。「有力な情報や機会を逃してしまうことを恐れているのです。瞬時にメッセージに返信しないと、野心がない、仕事熱心ではないと思われないか不安なのです」

頭は霧の中。

しかしながら、マイクロワークは効率的であるとはいいがたい。たとえば、退社してすぐにメールボックスを確認、不運なことに、一通(複数)のメールが届いている。重要なメールなので返信するには考えをまとめないといけない。結局は翌日に取り掛かることにして、忘れないようにメールを"未読"に戻す。しかし、時すでに遅し。結局、その内容は一晩中、頭の中を駆け巡ることになる。「すぐその晩に返信するつもりがないのであれば、そもそもメールを読んだ意味がありません」とサラ・ジトゥニは指摘する。「ただ頭の中に霧が立ちこめた状態になっただけです」。そして、休息も中途半端になってしまう。

逆に早く返信しすぎてファイルの添付を忘れてしまったり、スペルミスを残したまま送信してしまうこともある。結果として、急いでこなした仕事も、同時進行でやっていたことも(洗濯機を回す、友人と1杯やる、スポーツのエクササイズを始める......など)、すべてにおいて質の低下を招いてしまう。

「仕事とは、テーブルの端っこで片手間にできるようなものではありません」とサラ・ジトゥニは指摘する。「事務所の外で仕事と距離を置くことができないなら、夕食後に仕事をする時間を設けた方がいいでしょう。時間の長さも決めたうえで」

回し車の中のハムスター状態。

ふさわしくない場所に仕事を持ち込むのは、仕事と私生活の境界線を更に曖昧にすることに繋がる。逆もまたしかりだ。家でのマイクロワークを許容することは、プライベートのやることリストを職場に持ち込むことに繋がるのだ。仕事中に買い物をしたり、バカンスの予約をしたり、役所の書類を片付けたり......と。

「こうした行動は時間の配分を非常に曖昧にしてしまいます」とサラ・ジトゥニ。「これはエンドレスです。やらなければならないことは常にあるので、制限しなければ、いまやるべきことを容易に見失ってしまいます」。

それを避けるためには、はっきりとした線引きが必要だ。その日に達成したことや進捗状況を整理し、一日の仕事に終止符を打つことで、その後のプライベートな時間を満喫できるようになる。可能であれば携帯電話も仕事用と個人用の2台持ちをしたり、"サイレントモード"に切り替えたりしてみよう。物理的にふたつの世界を分けるのだ。不急の通知は21時半以降には鳴らないようにする。

すべてが緊急ならば、何も緊急でないのに等しい。

それに、思い出してもらいたいのは、そもそもメールやインスタント・メッセージは緊急事態のためのものではないということだ。

「もし誰かがいますぐにあなたを必要としているならば電話をかけてくるでしょう」とサラ・ジトゥニは断言する。「さらに言えば、他人の緊急事態に毎回付き合う必要もありません。優先事項は人さまざまで、誰もがそれに対処しなければならないのですからね」

マイクロタスクから解放されるための最初のステップは、少し距離を置いて重要かつ緊急性のあるものとそれ以外のものを区別し、優先順位を定めること。「マイクロワークをしていると、"生産性"の定義を忘れがちです。それは時間と快適さを手にすることで、優先事項をはっきりさせることによってしか得ることができません」とコーチのキャリーヌ・トリウリエはコメントする。

本当の緊急事態を知らせ合うために、特定の人(上司や同僚など)とは何かしらの連絡方法を決めておくのもいいかもしれない。それ以外のことは次の出勤日まで待ってもらえばいいことになる。

解放される権利。

それによって、やり取りに一定のルールが設けられ、自分も業務時間外に返信するのをやめるようになるかもしれない。なぜなら一度でも夜遅くにチームのグループチャットに投稿してしまったら、それは前例を作ってしまうことになるからだ。

別の日に他の人が送ったメッセージに返信しなかった場合、無視されたと思われるリスクが伴う。さらに、今回は返信すべきか否かと毎回悩むことにもなる。だからこそ厳しいルールを設けるのが重要なのだ。「仕事からの解放は個々人の責任によるものですが、途切れなく仕事をする従業員がいることは、雇用主にも会社にとっても利益にはなりません」とキャリーヌ・トリウリエは断言する。「体力の回復ができなければ不安が増し、睡眠が不足し、仕事に集中できなくなります」

だから上司やチームとこの問題について話し合うのは非常に重要だ。自分の働き方や連絡のつく時間帯をはっきりさせつつも、状況に応じて柔軟に対応しよう。責任者がどれほど速いレスポンスを求めているのか、指示を仰いでもいい。「これらは冷静な状態の時に明らかにすることです。業務時間外に連絡が来過ぎて苛立っている時は絶対に避けましょう」と同キャリアコーチは強調する。「パフォーマンスを説得の材料にするのもいいでしょう。"効果を発揮するには、一旦離れることが必要です"とね」

自分に制限を課してそれを守れば、ほかの人も夜遅くメールするのはやめるかもしれない。そしてチームのメンバーにも良い影響を与えられるかも!?

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