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専門家が解説:ワークアウトの効果が現れるまでにかかる時間

  • 2024.8.7

これくらいのタイムラインなら間違いなく頑張れる。

C.J. Burton

心肺機能が向上するまでにかかる時間

心血管持久力を向上させてマラソンのタイムが上がれば、とても大きな自信になるし、健康に良いこともたくさんある。事実、心臓病学専門誌『Journal of the American College of Cardiology』掲載の論文によると、マラソンのトレーニングは動脈硬化の改善と高血圧の予防に役立つ。

もちろん、自己ベストを樹立するのと1分間の心拍数を少し下げるのは、全く種類の異なる目標。ゆえに結果が出るまでのタイムラインも全然違う。NASM(全米スポーツ医学協会)およびACE(米国教育協議会)の認定パーソナルトレーナーでTaylored Fitness NY LTDオーナーのブルック・テイラーによると、後者つまり心血管系の健康状態の改善を目標とするのなら、8~12週間は見ておくべき。

「この場合は、少なくとも1回30分の中強度の有酸素運動を週3回行います」。ただし、安静時心拍数には睡眠パターンや生理周期などの要素も影響するそう。

初心者は心拍予備能の30~40%の心拍数でワークアウトするとよい(心拍予備能は220から自分の年齢を引き、そこから安静時心拍数を引けば算出できる。その数字に40~60%を掛けて安静時心拍数を足せば中強度の運動における目標心拍数になる)。

ウィルソンによると、インターバルトレーニングのように強度の高い有酸素運動を続けていれば、安静時心拍数が通常より早く改善することもある。「アスリートであれば、トレーニングの開始から通常2~3週間で心拍数が下がり始めます。これまでの研究から、心拍数の改善にはインターバルトレーニングのほうが効果的とされています」

伝統医学専門誌『Journal of Translational Medicine』掲載の論文によると、とりわけ高強度のインターバルトレーニング(HIIT)は、中強度のインターバルトレーニング(MIIT)や中強度の持続的トレーニング(MICTージョギングなど)よりも安静時心拍数を下げる上で効果的。

スポーツ栄養士で臨床運動生理学者のジェイソン・マチョウスキーとウィルソンによると、スピードと持久力が向上するまでのタイムラインは、その人のトレーニング歴とフィットネスレベル次第で大きく変わる。また、心肺機能は4~6週間で向上したように感じるかもしれないけれど、他覚的な改善が見られるまでにはもう少し時間がかかる。

「いま現在運動をしていない人が運動を始めれば、4~6週間でVO2MAXが改善すると思います」とウィルソン。「プログラムの内容次第では初心者が12~20週間でハーフマラソンを走れるようになることもあります」。ACEによると、VO2MAXは体が消費して臓器や筋肉に届けられる最大の酸素量。VO2MAXが高ければ高いほど、有酸素運動でバテにくい。

PhotoTalk

体重が減るまでにかかる時間

体重を減らすという決断は極めて個人的なもの。スタート地点(最初の体重)は人それぞれで、自分や家族に過体重歴がある人や、ホルモン障害の診断を受けている人、メンタルヘルスの問題(うつ病や不安障害)を抱えている人、一部の薬を服用中の人は、体重が特に減りにくい可能性がある。

テイラーいわく減量の鉄則は依然としてカロリーを不足させる(消費カロリーを摂取カロリーより多くする)こと。1週間で0.5~1kgずつ(無理なく安全に体重を減らせる速度で)減らしたいなら、1週間でカロリーを2000kcal不足させる。

マチョウスキーによると、減量の進捗を胴囲や体脂肪率で測る場合は、変化が見られるまでに通常8~12週間、状況次第で16週間ほどかかるそう(厳密に管理されたダイエットプランに従っている場合は、もう少し短い時間で変化が見られることもある)。

では、1週間で2000kcalの不足が自分と人の目に見える結果として現れるのはいつ頃だろうか? これには多数の要素が絡んでいるし、同じマイナス5kgでも158cmの一般女性と192cmの競技選手では見た目が全然違うはず。でも、社会心理学・パーソナリティ心理学専門誌『Social Psychological and Personality Science』に掲載された2015年の論文によると、体重を減らしたこと(少なくとも顔痩せしたこと)が人の目にも分かるようにするには、BMIを2.93減らす必要がある。

ワークアウトだけで毎週2000kcalの不足を生み出すのは不可能なことじゃない。でも、300kcalのカロリーを消費するには、摂取するときと違って1時間以上かかることを忘れないで。

とにかく、減量を大幅に加速させるワークアウトがあるとすれば、それは筋トレ。代謝学専門誌『Metabolism』掲載の論文レビューによると、基礎代謝率を上げる(安静時の消費カロリーを増やす)ための最善の方法は筋量を増やすこと。そして筋量を増やす最大の秘訣は、ご想像の通り、ウエイトリフティング

応用心理学専門誌『European Journal of Applied Physiology』に掲載された2017年の研究結果によると、HIITのあとはカロリーが消費される状態が長く続く。一定の心拍数で行う中強度の有酸素運動に比べて、この研究でHIITをした人はトレーニングが終わってからも長時間にわたりカロリーを消費した(中強度のワークアウトのあとでもカロリーは消費されたけれど、HIITのあとほどではなかったそう)。

言うまでもなく減量は多面的で複雑なプロセス。テイラーによれば、カロリーを不足させて、筋トレと有酸素運動に励むのが目標体重への一番の近道。「それを理解した上で柔軟に取り組めば、3~6ヶ月で大きな変化が現れることもあります。もちろん、これは、その人がどのくらい私のプログラムに従ってくれるかにもよりますが」

Tatsiana Volkava

筋肉がつくまでにかかる時間

これまでの研究により、心肺機能の向上や減量と違って筋力はトレーニングをたった1回しただけでもアップすることが分かっている。これは筋肉に送られる血液、酸素、乳酸が超ハードなリフティングによって増加するからで、この現象は“筋ポンプ作用”と呼ばれている(一時的でも体液が移動すれば、それなりに筋肉が大きく見える!)。

マチョウスキーの話では、リフティングを始めると4~6週間で最初の変化が現れる。これは神経筋協応能のおかげで「体が既存の筋肉をより効率的に使ってウエイトを動かせるようになる」から。ここで大事なのは筋肉の量というよりむしろ効率。

ウィルソンいわく最初の数週間で起こる筋肥大は、初心者なら6~8週間目、上級者なら8~12週間目で起こる変化のプレビュー。ただし「筋肥大には大中さまざまな要素が絡んでいるので、変化の程度は人によって異なります」

でも、「体が引き締まるかどうかには、筋力そのものよりも体組成のほうが深く関係しています」とマチョウスキー。確かに、カロリーを不足させていない場合は体重が減らないので体が“引き締まって”見えることはないけれど、トレーニングをしてさえいれば筋肉はちゃんとつく。

ウィルソンによると、筋肉づくりを加速させる秘訣の1つはタンパク質。「タンパク質の摂取量は筋肉を成長させる上で重要な役割を果たします」。筋肉をハッキリさせたい場合は、体重1kgにつき1.1~1.8gのタンパク質を毎日摂取するといい(そのため、体重68kgの女性には少なくとも1日75gのタンパク質が必要になる)。

ウィルソンいわくバルクアップを目指す場合は、筋トレを週3~5回、1RM(1回しか持ち上げられない重量)の75~85%で6~12回を3~5セット。自分の1RMが分からないときは、最後のレップが不可能ではないけれどギリギリ可能な重量を選ぶといい。セット間の休憩は60秒以内にしておこう。

目標がバルクアップではなく自己ベスト更新にある人も、食事はしっかり管理して。ウィルソンが言うように、食べ物の養分は体の燃料。「カロリーが不足して体に十分な燃料が供給されないと、筋力トレーニングの要求に応じるだけの力が出ません。筋肉をつけたい人はカロリーを余らせる(摂取カロリーが消費カロリーより多くなる)ようにしましょう

ウィルソンいわくウエイトリフティングの自己ベスト更新を目指す場合は、筋トレを週2~4回、1RMの85~100%で1~5回を4~6セット。セット間の休憩は3~5分。また、マチョウスキーによると、レジスタンストレーニングは、体重を減らしながら筋肉を維持したいときに役立つ。

fcafotodigital

血圧が下がるまでにかかる時間

血圧という言葉には筋力アップや自己ベスト更新ほどセクシーな響きがないけれど、その数値は健康の要と言っても過言じゃない。米ニューヨーク大学ランゴン・スポーツパフォーマンスセンターの運動生理学者で認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストのナムディ・ネルソンによると、一貫したワークアウトのプラン(例:有酸素運動を週4~5回)があれば、わずか2~3週間で血圧と安静時心拍数が低下する。

その理由を説明しよう。有酸素運動をしていると体が次第に疲れてくる。そうすると心臓が血液を全身に早く行き渡らせようとするので、心拍数が上昇する。いつも座ってばかりの人はベースとなる心肺機能が低いので、ある日突然HIITのクラスに参加すると、心拍数が急上昇して最高値に到達することも。これは、その人の心筋がHIITの激しい動きに慣れていないから。

でも、その人が定期的なワークアウトを続ければ、体が慣れてくるにつれ血圧と安静時心拍数が低下する。一般的に、診察室測定時の正常血圧は120/80mmHg未満とされている。

安静時心拍数は血圧に付随して低下する。「安静時心拍数は低ければ低いほど良いとされます」と説明するネルソンによると、安静時の心拍数が低い人は寿命が長いという研究結果も存在するそう。理想的な安静時心拍数は1分間に40~60回。この状態なら心肺機能はかなり高い。もう少し高いくらいならいいけれど、安静時心拍数が80台や90台に突入したら運動量を増やして血圧を下げる必要がある。

ちなみに、血圧と安静時心拍数が2~3週間で改善するのは早いほうで、場合によっては4~12週間かかる可能性もあることを覚えていこう。マチョウスキーいわく3ヶ月は運動を続けないと、客観的な数値は変わらない(米国スポーツ医学会のガイドラインが推奨するのは、20~30分の中強度の有酸素運動を週5回もしくは高強度の有酸素運動を週3回)。

減量や筋力アップといった前述の目標と同じく、血圧を下げるのにかかる時間も人それぞれ。マチョウスキーによると、運動に対する反応の良さもタイムラインに関わってくる。

Vera Livchak

メンタルヘルスが改善するまでにかかる時間

米国心理学会によると、中強度の運動をたった5分するだけで気分が良くなることもある。そう、下がった口角は最短5分で上げられる!

ネルソンによると、もっと長く(4~6週間)運動を続ければ効果が一層高くなる。「うつ病や不安障害と戦ったり気分を改善したりする上で運動が非常に有効であることは、何度も証明されています」とマチョウスキー。その過程で外見が良くなれば自信もアップ。

「運動をすると、気分を良くするエンドルフィンとドーパミンが分泌されます」と説明するのは、アメリカ版ウィメンズヘルスのアドバイザーで臨床心理士のクロエ・カーマイケル博士。「そのような脳内化学物質の量が増えれば、うつ病の不安障害の症状が軽減することも考えられます」

カーマイケル博士によると、ワークアウトをプラン通りに続ければ自己効力感(自分には「やる」と言ったことが実際にできるんだ!という感覚)も高くなる。その結果、ネガティブで憂鬱な思考が弱くなり、前向きな思考が強くなる。また、うつ病の特徴の1つに絶望感があるけれど、運動を通して自己効力感を高めれば、それも次第に減っていく。

また、ワークアウトを続けていると、自分には困難を乗り越える力があると思えるようになるので不安も軽減。それに加えて運動は健全なストレスのはけ口になる。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Julia Sullivan, CPT and Addisoon Aloian Translation: Ai Igamoto

 

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