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菊地凛子さんってどんな人?「強いという先入観は修正できないし、少しオイシイこともあるんです」【インタビュー】

  • 2024.8.7

一年ぶり二度目の本誌登場となる俳優・菊地凛子さん。今回はオープンカーで初夏の海へショートトリップ! エルメスやGUCCIなどのメゾンブランドを颯爽と身に纏いアルファ ロメオを乗り回す、最高にイケてる女性を演じてくださいました。
 
作品によってその印象は自在に様変わりし、そのうえ、日常も透けてこない。菊地凛子さんとは一体どんな人?  個の部分にフォーカスしたインタビューの後編をお届けします。

コンプレックスだったことも

今では“お家芸”になった

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菊地さんに対して世間が抱くイメージは、ストイックで自立した強い女性。でも、インタビュー中の彼女はユーモアがあってよく笑う人でありながら、当の本人は自分のことを「心配性でビビリ」だという。
 
「面白いですよね。私は自分がすごく心配性で、ビビリなところがあって、以前はなんとか改善したくてもがいたこともありました。でも、最近ではこの性格もお家芸だと思えるようになりました。直らないし、もう仕方がないなって。これも私らしさだと思えるのも、年齢を重ねたからこそ。パブリックイメージとは真逆だとよく言われますが、私には私の事実、人には人の事実があるもの。いくら私が心配性と言ったところで、他の人の中に強いイメージがあるならは、その人にとって“菊地凛子は強い”が事実になる。私はそこをこじ開けて修正できないし、こじ開ける必要もないと思ってるんです。最近では、強さとか自立しているという先入観のおかげで、少し美味しいこともありますから。なぜかクールだと思われているので、初対面で普通に話すだけで、すごく親しみやすい人だと思っていただけたり、“チャーミングな人なんですね”なんて言ってもらえたり(笑)。あるドラマの現場では、撮影の合間に私がスマホを片手にスタジオ内をウロウロと歩き回っていると、スタッフさんたちが“菊地さん、集中を高めているから声をかけちゃダメ”と気遣ってくれて。実際には、スマホゲームでピクミンを探し回っていたんですけどね」

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普段の自分と世間のイメージ。そのギャップを埋めたくて、抗ってみたこともあったそう。でも、ひと度会ってしまえば、その人柄は間違いなく真っ直ぐ届くもの。
 
「若いころはカメラをにらんでくれと演出されていたくらいなので、作品の中で笑顔を見せることがほとんどありませんでしたから。ここ数年で、普段の私を知っていただけるようになって、それをまた面白がっていただけるし、私も面白がれるようになりました」

100%やり切れなくても、

自分さえ納得できていればいい

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家族という揺るぎない最優先がある。時間もエネルギーも限られている中で、菊地さんにとっての満足の落とし所とは。
 
「やり切って満足したなんてことは、家庭があろうとなかろうと、今まで一度もないんです。でも納得していないわけじゃなくて、その場その場で担った役割を自分が果たせるかどうか。力の発揮の仕方も現場によって求められるものが違うので、そういった出力のコントロールが自分で分かっていることが大事。もっとできたかもしれない、もっとおさえたほうがよかったかもと、ひとつの仕事が終わるたびに課題を見つけて、より高い精度で仕事ができるようになりたいなと。それこそ若いころは努力と根性で、ズタボロになるまで全力を尽くすのが正義みたいなところがあったけれど、私は一人で生きているわけではないので、私なりの戦い方をしていく。どんな仕事であっても、その人その人の役割を全うしてやるわけなので、私は私のペースで。幸いなことに好きな仕事で役割をいただけているのはすごく光栄なこと。私、仕事が大好きなんですよね。だから仕事自体も息抜きになっているし、家に帰ってきて子どもたちに囲まれている時間も息抜きになる。必ずしも家庭や仕事から離れる必要がなくて、自分の生きている環境の中に幸せの着地点のようなものが点在している。だから自分が選んできたことって、間違ってはなさそうだなと思いながら生きています」

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profile_きくち・りんこ/1981年、神奈川県出身。1999年、映画『生きたい』でスクリーンデビュー。2006年、『バベル』でアカデミー賞助演女優賞をはじめ多数の賞にノミネート。主な出演作に、映画『ノルウェイの森』『658㎞、陽子の旅』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、連続テレビ小説『ブギウギ』など。映画『パシフィック・リム』シリーズほか海外の作品にも出演し、国内外問わず活躍。待機作に映画『あの人が消えた』(9月20日公開)がある。

photo:ITTETSU MATSUOKA styling:Babymix
hair:YUSUKE MORIOKA[eight peace]
make-up:RYOTA NAKAMURA[3rd] model:RINKO KIKUCHI
special thanks:KEISUKE KAWANISHI Interview & text:HAZUKI NAGAMINE
 
otona MUSE 2024年9月号より

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