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パブリックアートハントで、名作を発掘【一度は見るべき世界のアート2024 vol.1】

  • 2024.8.3

ジェフ・クーンズ&チューリップのブーケ

《チューリップのブーケ》
Le Petit Palais et sculpture "Bouquet of Tulips"《チューリップのブーケ》

2019年に現役アーティストとしては史上最高額の9107万5千ドル、当時のレートにして約100億円で作品が落札されて話題になったのがジェフ・クーンズ。ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)とタッグを組み、ダ・ビンチやルーベンス、ゴッホなどの名画を再解釈したバッグを発表したり、エイチアンドエム(H&M)ユニクロ(UNIQLO)とコラボしてバッグやTシャツデザインするなど、ファンション業界とのつながりも深い。彼のパブリックアートに会えるのはパリ。プティ・パレの裏手の小さな公園にそびえる高さ約12mの巨大な「チューリップのブーケ」だ。キッチュな作風で常に賛否両論あるクーンズだが、この作品だけは別。2015年パリ、2016年ニースで連続して発生したテロを悼み、再び前へと進む生命のシンボルとして制作した。

ジェフ・クーンズ
Press Preview For Qatar Museums' Exhibition "Jeff Koons: Lost in America" In Doha, Qatarジェフ・クーンズ

《チューリップのブーケ(Bouquet of Tulips)》

1 Av. Dutuit, 75008 Paris, France

https://jeffkoons.com/artwork/bouquet-of-tulips

KAWS&ウェイティング

「ウェイティング」
Detroit Cityscapes and City Views「ウェイティング」

KAWSこと、本名ブライアン・ドネリーは、NY市内の看板広告にイラストを書き足すサブバータイジングで注目され、1999年の来日時に制作した××印の目のキャラクター「コンパニオン」で一躍人気アーティストへと駆け上がった。その後もユニクロとのコラボTシャツは即完売。ディオール(DIOR)シュプリーム(SUPREME)ナイキ(NIKE)など錚々たるブランドともコラボし、ストリートからファインアートまでマルチに活躍する今もっとも勢いのあるアーティストのひとりだ。KAWSのパブリックアートには、シンガポールのホテルや、中国・長沙の国際金融センターなどでも会えるが、イチ押しはデトロイト。ダウンタウンに設置された合計2 トンを超える2体のコンパニオンのブロンズ像「ウェイティング」は必見だ。

KAWS
KAWS art exhibition in LondonKAWS

《ウェイティング(Waiting)》

Library Street Collective

1260 Library St., Detroit, MI 48226, United States.

https://lscgallery.com/projects/kaws-waiting

奈良美智&「東京の森の子」

《東京の森の子》Photo_ 新津保建秀
《東京の森の子》Photo: 新津保建秀

鋭い視線の少女を描いた「Knife Behind Back」や目を伏せて佇む白い犬の像《あおもり犬》などの作品で知られる奈良美智。青森県の出身で、大学院卒業後にドイツに留学。そのままドイツに留まり、合計12年の滞在中に注目作を次々と発表し、世界が注目するアーティストになった。彼にとって東京初のパブリックアートは、麻布台ヒルズの中央広場に鎮座する《東京の森の子》。青森県立美術館《Miss Forest/森の子》や栃木のN’s YARD《Miss Forest/Thinker》などに続く、森の子シリーズの8作目にあたる。モミの木のように尖った頭がアンテナのように働いて、宇宙と交信できるのではと作者が幼い頃に夢見たことが、この作品のアイデアの原点になっている。

奈良美智
奈良美智

《東京の森の子》

麻布台ヒルズ

東京都港区麻布台1-2-9

https://www.azabudai-hills.com/art/publicart/index.html

吉岡徳仁&STAR

《STAR
《STAR

光の輝きを自由に操り、詩的かつ実験的な作品を得意とする吉岡徳仁。ルイ・ヴィトンのモノグラムからインスピレーションを得た《Blossom Vase》、ドン ペリニヨンとコラボした限定ギフトボックス「ドン ペリニヨン by 吉岡徳仁」などを手がけ、イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)カルティエ(CARTIER)スワロフスキー(SWAROVSKI)エルメス(HERMES)など世界のトップブランドからも引く手あまた。また、東京オリンピック2020の聖火ランナーのトーチをデザインするなど、活動の幅は無限だ。東京ミッドタウン八重洲のメインエントランス前の光の彫刻《STAR》もそのひとつ。ステンレスミラーのロッドを束ねた、全方位に輝きを放つ結晶のような一つ星の彫刻に、世界が一つになるようにという平和への願いを込めた。

吉岡徳仁
吉岡徳仁

《STAR》

東京ミッドタウン八重洲(メインエントランス前)

東京都中央区八重洲2-2-1

https://www.yaesu.tokyo-midtown.com/

草間彌生&南瓜

《南瓜》
Yellow Pumpkin, Naoshima《南瓜》

いま最も有名な日本人アーティストといえば草間彌生。1950年代の渡米以来、世界のアートシーンに常にインパクトを与え続け、国境を超えて熱狂的なファンがいる。水玉(ドット)や網目(ネット)をモチーフにした作品はあまりにも有名だ。希代の芸術家の作品は、日本各地でもパブリックアートとして公開されている。生まれ故郷の長野の松本市美術館、青森の十和田美術館、千葉・木更津のクルックフィールズ、瀬戸内海の直島など。なかでも直島のシンボルとも言える「南瓜」は、一度は訪れる価値あり。南瓜は彼女が好んで取り上げる題材のひとつであり、数多くの作品が制作されてきたが、海に突き出た古い桟橋に佇むこの南瓜はなんとも印象深い作品だ。

ルイ・ヴィトンとタイアップ(ロンドン)
Yayoi Kusama Collaboration With Louis Vuitton In Londonルイ・ヴィトンとタイアップ(ロンドン)

《南瓜》

香川県香川郡直島町(ベネッセハウスミュージアム 屋外作品)

https://benesse-artsite.jp/art/benessehouse-museum.html#bhmout

ダミアン・ハースト&奇跡の旅

「奇跡の旅」Photo_ Qatar Museums
「奇跡の旅」Photo: Qatar Museums

8601個のダイヤモンドで覆ったドクロやホルマリン漬けにしたサメや子牛などの作品で、常に物議を醸し、芸術とは何かを世に問い続けるダミアン・ハースト。最近ではNFT化した作品のオリジナルを燃やしてみせるなど、お騒がせぶりは相変わらず。彼の代表的なパブリックアートは、カタールの首都ドーハの郊外、シドラ医療研究センターの前に設置された《奇跡の旅》。14体のブロンズ像で胎児の発達段階を表し、最後に高さ約14mの新生児像が登場する。カタールの首長の妹で、世界有数のアートコレクター、シェイカ・アル=マヤッサの依頼により2013年に完成したが、センセーショナルな作品には批判的な声も多く、5年間は覆いがかけられたままに。2018年になってようやく日の目を見た。

ダミアン・ハースト
Portrait of artist Damien Hirst at the Gagosian, Pedder Building in Central. 23NOV17 [FEATURES] SCMP / K. Y. Chengダミアン・ハースト

《奇跡の旅(Miraculous Journey)》

In front of Sidra Medicine Outpatient, Ar-Rayyan, Qatar

Tel./+974-4452-5555

https://nmoq.org.qa/

Photos: Getty Images Text: Yuka Kumano Editor: Sakura Karugane

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