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からかうのは、好きだから? "言葉の虐待"「ネギング」って何?【具体例と対処法】

  • 2024.8.7

「好きだから、からかっているだけ」で済まされてしまいがち。

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Rubberball/Nicole Hill

子どもの頃、公園で男の子にからかわれる周りの大人はこう言ったー「それは、あなたのことが好きだからよ!」。これは社会が年頃の若者につき続けている嘘である。

この嘘のせいで感情的な虐待は、“普通”どころか片想いの恋愛や交際の一部として許されているけれど、本来は許されるべきことじゃない。

「社会に広く浸透した『からかうのは好きだから』という考え方は、ネガティブな行為をノーマライズし、そうやって人を扱うことが悪いことではないように思わせます」と話すのは、トラウマの専門家で公認ソーシャルワーカーのシルヴィ・サクセナ氏。でも、これは普通じゃない。「からかうというのは、その人の自信と人間性を奪うため、絶対にノーマライズしてはいけない有害な行為です」

恋愛におけるこの残念な行為には、“ネギング”というキャッチーな名前がついている。

簡単に言うと、ネギングとは、からかうことで相手に対する興味を示すこと。そう、公園で遊ぶ小学生たちのように。

一見無害に見えるけれど、ジェンダー&セクシュアリティセラピーセンターのディレクター兼セックスカウンセラーで公認ソーシャルワーカーのジェシー・カーン氏いわくネギングは、人の自尊心に打撃を与える感情操作の一種と言える。

サクセナ氏によると、幸い、呼び名があるものは何だって見つけやすい。つまり、ネギングという言葉の意味を知る人が増えるにつれて、その常習犯を特定し、避けるのは容易になるということだ。

とはいえ、ネギングがどのような行動となって現れるのかを知らないと元も子もない。そこで今回は、ネギングの具体例と対処法をサクセナ氏とカーン氏が教えてくれた。今回はこの内容をイギリス版ウィメンズヘルスからご紹介。

ネギングとは?

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簡単に言うと、ネギングは“言葉による感情的な虐待”。カーン氏によると、ネギングの常習犯は相手の自信を削ぐようなことを言って、その人の感情を操作する。でも、この行為を見抜くのは難しい。

というのも、ネギングは一見ただ“イチャイチャしている”だけのように見えるから。「“意中”の相手をからかえば、その子は自分によく見られよう、認められようと必死になる。だから、からかうというわけです」。要するにネギングは、ものすごく卑劣な行為。

ネギングは身体的な虐待ではないだけにスルーされがち。被害者がアザを隠す必要はないけれど、ネギングは間違いなく虐待の部類に入る。「私利私欲のために他者の心理を操作するのは、例外なく100%虐待です」とサクセナ氏。

ネギングは、イチャつくのが適切な状況(初デート、交際、バーでの雑談など)で行われることが多い。でも、ネギングはイチャイチャの一部じゃない。

「自分の気持ちを伝えて愛情を表現する方法はいろいろありますが、意地悪な発言で人を傷つけるのは、許される方法でも適切な方法でもありません」とサクセナ氏は説明する。

ネギングの常習犯に多く見られる5つの行動

Tara Moore

気の利いたツッコミや皮肉的なジョークが飛び交うオンラインデートの世界でネギングを特定するのは、少し難しいかもしれない。でも、ただ気を引くための発言と意地悪な発言には明らかな違いがある。次の5つの行動は、あなたのパートナーやパートナー候補がネギングをしているサイン。

1.嫌味のある褒め方をする

Robert Recker

高校や大学にナンパ入門コースがあったなら、誉め言葉をマスターするのはコースの要になるはずだ。春の日差しに例えられて喜ばない女性はいない。

でも、誉め言葉と嫌味はまったく別物。誉め言葉は、あなたの身体的・感情的・スピリチュアル・精神的・性的な特性が注目に値すること、特別なこと、素晴らしいことを心から認める言葉で、その言葉には嘘がない。

カーン氏によると、一方の嫌味は誉め言葉ではなく、誉め言葉に見せかけた侮辱。「嫌味は誉め言葉と同じ口調で言われますが、こっそり受け手をけなしています」

「『私には勇気がなくて、そんな服絶対着れない』とか『そんなに頭がよいとは思わなかった!』というような発言は、ネギングの典型的な例ですね」とカーン氏。

2.いつもマウントを取ってくる

Khosrork

カーン氏によると、ネギングの常習犯は人に当たるスポットライトをかすませる。彼らは、人より面白い話やスゴイ功績を常に持っているタイプの人間

例えば、あなたが5日間のキャンプ旅行をしたときの話を初デートでするとしよう。ネギングの常習犯は、あなたの旅行に関する質問をまったくせずに、自分が1ヶ月テント暮らしをしたときの話を始める。

マッチングアプリでは、あなたがシェアした絶景写真に「あ、ここ俺も行ったことある。でも、この前行ったところのほうが何倍もキレイだった」とコメントし、あなたが好きな本の話をすれば、「その本もよかったけれど、『ライ麦畑でつかまえて』は読んだことある?」と聞いてくる。

3.あなたを“質問”攻めにする

Sergio Mendoza Hochmann

質問という言葉にクオテーションマーク(”)が付いているのにはワケがある。サクセナ氏によると、ネギングの常習犯はデート相手やパートナーの答えを期待して質問をしてこない。彼らの質問は、相手に対する嫌悪感を伝えるためのものだから。

「え、それを着るつもり?」「そのデートプランで本当にいいと思う?」「本当に絶対プリンが要るの?」というのは、ネギングの常習犯がよくする“質問”。

このような質問をしてくるのは、その人があなたの判断を全否定しているからにほかならない。嫌な口調で、あなたの選択ミスをほのめかすような質問をされる場合は、高い確率でネギングを受けている。

4.“建設的なフィードバック”が批判にしか聞こえない

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PixelsEffect

フィードバックは職場以外の人間関係にも必要なもの。でも、交際相手やセクシュアルパートナーにフィードバックをする場合、その意図は建設的なものでなければならない。

ネギングの常習犯が“建設的なフィードバック”をする場合、その意図は相手を“助ける”ことではなくて、“傷付ける”ことにある。「そういうことを言う人は、あなたを助けようと思っていません」とサクセナ氏。「あなたを侮辱したり、けなしたりすることで、あなたの行動、あなた自身や世界に対する見方をコントロールしようとしているだけです」

「君は~したほうがいい」「君は~するべき」「僕が君なら~」は、どれもネギングの常習犯がよく使う言い回し。

5.あなたを他人と比較する

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Klaus Vedfelt

あなたがステキなのは、あなたがあなたであるからで、他の人よりXが多いからでもYが少ないからでもない。

でも、残念ながらネギングの常習犯は、たぶん真逆のことを言う。サクセナ氏によると、彼らがデート相手やパートナーを他の人と比べるのは珍しいことじゃない。仮にあなたが一番“であるような”言い方をしたとしても、その目的はあなたに引け目や恥ずかしさを感じさせることにある。

「いつもプロのアスリートと付き合ってるから、普通の子と付き合えてうれしいよ」とか「リアーナには負けるけれど、君だって可愛いよ!」というのは、露骨に比較をしているケース。

逆に、「君は面白いね!(コメディアンの)キャメロン・エスポジート並みに面白い」とか「君の収入は元カノと同じくらい」といった感じで、もう少し遠回しに比較されることもある。

あなたがネギングの被害者であることを示すサイン

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Songsak rohprasit

彼の口調や言い回しが上記の例に近い場合は、あなたもネギングの被害者である可能性が非常に高い。

サクセナ氏によると、自分の心に聞いてみるというのも、自分がネギングを受けているかどうかを見極める手段の1つ。「その人と話したあとに強い怒りを感じたり、動揺したり、落ち込んだり、自意識過剰や神経質になったりするのは、ネギングを受けているからかもしれません

デート後の混乱も、デート中にネギングを受けたことを示すサイン。「どんな侮辱も人を混乱させますが、誉め言葉のように聞こえるけれど誉められているように感じない侮辱的な発言は、とくに人を混乱させます

また、ネギングを受けている人は、デートのたびに自分が神経過敏になって、自己防衛に入ってしまうような感じがするかも。「ネギングの常習犯は、誹謗中傷を指摘されても、それが親切心からであるように振る舞います」とサクセナ氏。もちろん、実際は親切でも何でもない。「これは間違いなく人を操作する行為です」

ネギングの対処法

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Klaus Vedfelt

ネギングを受けていることが分かったとして、そのあとに何をするかは、交際期間の長さや彼に対するあなたの気持ち、ネギングの頻度次第で変わる。

正直なところ、まだ知り合ったばかりで2~3回デートした程度の相手と真剣に向き合うのは、たぶんエネルギーの無駄になる。

親しい人でないのなら、放っておいても構いません」とサクセナ氏。「あなたの発言で私はこういう気持ちになった」と説明するのに、貴重な時間とエネルギーを使うのはもったいない。「相手に何かを証明する必要はありません」。でも、何か言うことが自分にとって重要だと思うなら、思い切って言えばいい。少なくとも、あなたが彼のネギングを止めることで、彼が次に付き合う人は救われる。

逆に、その人としばらく付き合っていて、今後も付き合い続けたいと思うなら、その人の行動から目を背けるべきではない。「自分の意見を主張することを恐れてはいけません」とサクセナ氏。人によっては、あなたの意見を理解して受け入れてくれるはず。(補足:サクセナ氏いわく、こういうときに向き合おうと思えない相手とは、そもそも一緒にいるべきではない。)

いざ向き合うときは“率直に”。「相手には、あなたに対する接し方や話し方が不適切であること、そして、ネギングが続くようなら連絡を絶つつもりでいることを伝えましょう」とカーン氏はアドバイスする。ただし、その会話の中で“ネギング”という言葉を使うかどうかは、あなた次第。

実際は、次のような言い方になるかもしれない。

・「最近のあなたは、嫌味っぽい褒め方で私のことをけなしてばかり。褒められるのはうれしいけれど、遠回しに批判するような言い方をされると傷つく。これからは、そういう嫌味な発言にもっと気を付けてくれる?」

・「私たちは普段から皮肉的なことを言うけれど、最近は、あなたの言葉に救われることより傷つくことのほうが多い気がする。今後、あなたの発言が行き過ぎていると思うときは、ちゃんと言うようにする」

・「あなたの話を聞くのは楽しい。でも、ここ最近は私が友達の前で自分の話をするたびに、あなたにマウントを取られているような気がしてならない。それで自分が劣っているように感じてしまう」

それでも相手の行動が変わらない(虐待が止まらない)なら、縁を切るのも妥当な選択。人の気分を上げるどころか落とすようなパートナーを持つべき人など1人もいない。

カーン氏によれば、何があろうと、ネギングが反映しているのは彼らの内面。「あなた自身の価値や、あなたの愛と思いやりの価値を反映しているのではありません」

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

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