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渡辺有子の料理教室_1年目1月「しっとりみずみずしい『冬の白』」

  • 2024.8.7

料理家の渡辺有子さんが先生に、ライターの吉田直子さんが生徒に。本誌で連載中の「&Cooking 渡辺有子の料理教室ノート」がWebでも読めるようになりました。1年目1月のテーマは、「しっとりみずみずしい"冬の白”」。3つのレシピを紹介します。

寒い日が続く年の初め。白菜やカブなどの冬野菜は、まるごと食べて栄養を摂りましょう。

しっとりみずみずしい「冬の白」。

先生:こんにちは、料理家の渡辺有子です。今月から『アンド プレミアム』誌上で料理教室を始めることになりました。直子さんは、こういう教室に参加するのは初めて?

生徒:有子先生こんにちは! あるにはあるんですが、食べて満足して……終わってしまいがちで。なので、有子先生の教室では本気で腕を磨いて帰るつもりです!

先生:その心、しかと受け止めました。それではさっそく頑張りましょう。

生徒:今月のテーマは「冬の白」ですよね。

先生:旬の食材を味わうことを大切に、この時季おいしくなる白い野菜を使った3品を考えました。まずはメインの「鶏と白い野菜の煮込み」を仕込むところから始めますよ。

生徒:実はカリフラワーと里芋っていまいち上手に扱えなくて。いつも適当なんです。

先生:カリフラワーは芯に切れ目を入れて包丁で割くように切るといいですよ。里芋は洗って乾かしておくと扱いやすくなります。皮はしっかり厚めにむいてください。

生徒:この切り方だとカリフラワーの穂先がポロポロほぐれなくていいですね。

先生:鶏肉はきちんと掃除します。皮と身の間の黄色い脂は臭みの原因になるので。

生徒:下ごしらえした鶏肉と野菜を鍋に入れて粗塩をふって蒸すだけ。簡単すぎます!

先生:5分経ったら水を加えます。フタをしてさらに20〜30分ほど蒸すので、その間に前菜とサラダを作りましょう。まずは「冬の魚とカブとユズのカルパッチョ」から。冬のカンパチ。最高ですよねぇ〜。脂ののった魚のほうがおいしく仕上がるので、ブリでもよく合いますよ。

生徒:このカルパッチョは、「たっぷりのカブが主役」と言っても過言ではないですね。

先生:冬の野菜の甘さとみずみずしさは格別なので、生のおいしさを味わってください。さて薄切りにしたカブをボウルに入れて塩をまぶします。ぎゅうぎゅうもんじゃだめなんです。あくまで塩はなじませるだけ。

生徒:えっ! 塩もみって言うのに!?

先生:もむと水や苦味が出るので、塩を加えたらボウルを振るぐらいで大丈夫。

生徒:はーっ。勉強になります。

先生:ボウルの中に、茹でたニンニクをつぶしたものと香菜の茎、ユズ果汁とナンプラー、オリーブオイルを加えてよく混ぜます。

生徒:塩気はナンプラーでつけるんですね。

先生:あとはお皿に刺身を並べて、水気をきったカブを上に盛り、先ほどのソースをまわしかけたら完成です。ユズの皮も散らしてね。

生徒:おもてなし料理によさそう!

先生:口だけじゃだめなのよ(笑)。さあ最後は「白菜とリンゴの生姜サラダ」。ポイントは白菜の切り方。繊維に沿って切るとシャキシャキの食感になります。お酢は「千鳥酢」など酸味が柔らかい米酢が合いますよ。

生徒:オイルは入れないんですか?

先生:お酢と塩だけでシンプルに仕上げます。味のつなぎ役は細切りの生姜。これらと白菜をざっと混ぜ、薄切りにしたリンゴと細切りにしたドライイチジクを和えれば完成です。

生徒:あっという間に作れちゃった。

先生:ちょうど「鶏と白い野菜の煮込み」もできましたよ。さあ盛り付けて食べましょう。

生徒:なんだか1回目ですでに料理上手になった気分です。では、いただきま〜す!

1.冬の魚とカブとユズのカルパッチョのレシピ

出典 andpremium.jp
ボウルの中で塩をしたカブは、上下に2~ 3 回ボウルを振って十分なじませる。
ユズは皮も果汁も活用。果汁を搾るときは茶こしを使って種をキャッチ。

〈材料〉2〜3人分
カンパチ(刺身)…200g
カブ…小さめ3個
黄ユズ…1/2個
ニンニク…1/6かけ
香菜の下部分… 1茎分
塩…少々 ナンプラー…小さじ1
オリーブオイル…大さじ1~大さじ1と1/2

〈作り方〉
1.刺身は少し厚みをもたせて切る。カブは皮をむき薄切りにし、塩でなじませておく。

2.ニンニクはさっと茹でて水気を拭き、ボウルに入れてフォークの背でつぶす。香菜の茎を小口切りにしてボウルに入れ、ユズの果汁を搾り、ナンプラーとオリーブオイルも加えよく混ぜる。

3.皿に刺身を並べ、水気をきったカブをのせ、2のソースをまわしかける。ユズの皮を細切りにして散らす。

2.白菜とリンゴの生姜サラダ

出典 andpremium.jp
白菜は葉と芯で切り方を変える。葉はザク切り、芯は繊維に沿って食感を生かす。
01のカブと同様に、ボウルを振りながら白菜と調味料をまんべんなく合わせる。

〈材料〉2〜3人分
白菜…小1/8個
リンゴ…小さめ1/2個
生姜…大きめ1かけ
ドライイチジク… 2個
粗塩…適量
米酢…小さじ2

〈作り方〉
1.白菜は長さを4~5等分にして芯の部分は細切りにし、葉は少し大きめに切る。

2.生姜は細切り。リンゴは皮つきのまま食べやすいサイズの薄切りにする。ドライイチジクは横に細切りにする。

3.ボウルに白菜、生姜を入れ粗塩、米酢を加えてざっと混ぜ、リンゴ、ドライイチジクを加えてさっくり和える。

3.鶏と白い野菜の煮込み

出典 andpremium.jp
ボロボロと崩れやすいカリフラワーは、包丁の先で芯を割くようにして小房に。
ぬめり成分のある里芋。事前に皮をよく洗い、しっかり乾かすと扱いやすくなる。

〈材料〉2〜3人分
鶏もも肉… 2枚
カリフラワー…小さめ1個
里芋…小さめ4個
ニンニク…小さめ1かけ
オリーブオイル…小さじ2
粗塩…適量
水…100㎖

 

〈作り方〉
1.鶏肉は余分な脂を取り除く。

2.カリフラワーは小房にし、里芋は皮をむき、4等分に切る。

3.鍋にオリーブオイルを熱し、鶏肉を皮目から焼いて返す。

4.鶏肉の周りにつぶしたニンニク、カリフラワーと里芋をのせ粗塩をふりフタをして5分蒸す。

5.水を注ぎ、フタをして20~30分、水分がほぼなくなり白い野菜がごく軟らかくなったら火を止める。木べらで野菜をつぶしてペーストに。

6.皿に鶏肉をのせ、白い野菜のペーストをたっぷりかける。オリーブオイル、胡椒をふっても。

冬野菜の甘味を引き出した、しっとりおいしい蒸し料理。乾燥気味の体にじんわり染みる。
出典 andpremium.jp
渡辺有子先生

わたなべ・ゆうこ/東京都生まれ。料理家。スタジオ「FOOD FOR THOUGHT」にて、料理教室や食にまつわるイベントを開催。東京・代々木上原と西荻窪で、同名の器店をディレクション。作家ものの器や食まわりの商品を扱う。『料理と私』(晶文社)、『渡辺有子の家庭料理』(主婦と生活社)など著書多数。旬の素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評があり、いつまでも初心者気分でいつづける生徒・吉田直子にも、懇切丁寧に料理を教える。

出典 andpremium.jp
吉田直子生徒

よしだ・なおこ/東京都生まれ。ライター。冠婚葬祭で使う小物とジュエリーのブランド〈シュオ〉のディレクター、ファッションブランドのプレスを務めるなど、フレキシブルに働く1 児の母。2019年、絵本『こっぷんとかっぷん』(絵・よこやまかんた/若芽舎)を刊行。2020年には蒼井優の著書『今日もかき氷【進化版】』(マガジンハウス)の編集を手がける。渡辺有子の料理教室で毎月記事をまとめているが、いまだに作るよりも食べることを好む。

photo : Wakana Baba text : Naoko Yoshida

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