1. トップ
  2. 宣孝の突然の別れ!倫子と明子の子ども代理戦争勃発!そしてまひろが物語を書き始めた!

宣孝の突然の別れ!倫子と明子の子ども代理戦争勃発!そしてまひろが物語を書き始めた!

  • 2024.8.3

「光る君へ」言いたい放題レヴュー

「光る君へ」言いたい放題レヴュー
「光る君へ」言いたい放題レヴュー

「光る君へ 第29回 母として」あらすじ&今週も言いたい放題宣孝突然のお別れ、倫子と明子ふたりの妻バトル、いよいよまひろは物語を書き始めます

今週のお当番のN子です。ウソでしょ!ここのところ男っぷり急上昇だった宣孝さんと、突然の、そして永遠のお別れから始まった今週の「光る君へ」。まさか、こんな終わり方だなんて……。

 

 

今回の除目で任官ならなかった父・為時ですが、宣孝はまひろをはじめ、為時一家を経済的に支えると約束してくれました。いい人だなー。ふたりの娘・賢子を囲んでにぎやかに家族団らんのひととき。こんな幸せな時間が続いていくと思っていたのに、ですよ。

最近、宣孝さん来ないなー、なんてノンキにしていたら、宣孝の本妻からの使者が。なんとにわかの病で急死し、もう荼毘に出したというのです!そんなことってありますか!事情を理解できるはずもない賢子が「父上はー?」と無邪気に話しかけてくるし、まひろは泣くしかありません。

 

 

人生って?命って?そして妾という、弱い立場であることをつくづく思い知らされるまひろ。この世には確かなものなどないということをしみじみ噛み締めます。

 

 

明るくて、豪放磊落で、酸いも甘いも知り尽くして、清濁併せ吞む度量もある、まひろの最大の理解者であった宣孝さんはもういないのですよ……!まひろより、私のほう宣孝ロスです。

道長とまひろの縁は切れない……父・為時は道長家で漢詩の先生に!

宣孝死去の報を聞いた道長。そういえばまひろの父・為時は、今回の除目でお仕事なしだったなあと思い出します。道長の使いで百舌鳥彦が為時邸を訪れ、道長の嫡男・田鶴の漢文の先生にと声をかけてくれました。なんだかんだ言って、まひろのことを気にかけてくれる道長です。

 

 

実際には、越前守4年の任期を終えて、また任官できなかった為時が、具体的に何をして生活をしていたかは、よくわかっていないそうです。漢詩の会に呼ばれたりして、そこでいくらか稼いでいたのでは?と言われていますが、当時の貴族たちの日記などには、為時がそのような会に出席していた記録は少ないとか。娘のまひろが彰子の元に女房として出仕するまでの間、どうしていたのでしょうねえ。

定子の忘れ形見・敦康親王を彰子に養育させよ!姉・詮子の驚きの提案

道長が土御門邸に戻ると、妻の倫子がプンプンしています。中宮となった娘・彰子のいる藤壺を、どうにかして華やかな後宮にしようと一生懸命です。でも道長は、倫子が藤壺にひんぱんに顔を出すのはよくないと意見すると、倫子のプンプンはさらにヒートアップ。もう余計なこと言わなきゃいいのに、男の人って空気読まないなあ。

 

 

姉の詮子は、体調が悪化。道長が看病していると、詮子から驚きの提案がありました。娘の中宮彰子に、亡き定子の忘れ形見・敦康親王を養育させてはという提案です。それは、人質に取るということ。それでは父・兼家と同じだと道長は拒否反応。でも詮子は言います。もう父を超えているのよ……と。詮子も道長も、父・兼家の暗い部分を拒否して生きてきたふたりです。なのに、父と同じ道、選択をしていくという皮肉。切ないですね。

道長の妻ふたり倫子と明子息子たちの代理バトルロワイヤル

道長の姉、一条帝の母である詮子さまの四十賀のお祝いで、倫子腹の嫡男・田鶴と、明子腹の長男・巌君が、一条帝の御前で童舞(わらわまい)をご披露します。このお祝いの儀のことは、ロバート秋山さん演じる、藤原実資の日記「小右記」にも書かれているとか。

倫子と明子が同席しているなんで、道長的にはゾーッとしそうですけど平気なんですかね。道長は倫子さんサイドに座っていて、チラチラとこちらを見ている明子が怖い!

田鶴と巌君、それぞれに舞を披露して、巌君の舞がすぐれていたとして、舞の師匠が叙爵されると、田鶴くん号泣です。泣かんでもええやないかと思いますが、子どもですからね。泣きます。

しかし、このエピソードも秀逸では。今後、道長の子供たちが出世争いをしていきます。本妻の倫子腹の田鶴、長じて頼通は、順調に登っていくのですが、巌君、のちの頼宗たち明子腹の子どもたちの出世は遅れがち。頼通がこの童舞のことを根に持って、頼宗と張り合っていくようになるのかもです。母たちの争いが世代を超えていくのですね。コワイコワイ。

彰子さまと敦康親王に、編集N子の不穏な妄想がさく裂まさかの……密通フラグ?

結局、道長は詮子の提案を受け、彰子の住む藤壺で、敦康親王を養育させることを一条帝に認めさせます。無邪気な敦康親王が彰子の膝の上に乗り、ニコニコしている様子はほほえましいのですが、私の中ではちょっと不穏な妄想が爆発しまして。

 

 

藤壺ですよ? 年上の美しい中宮さまですよ?母を亡くした幼い親王ですよ? 幼い親王が姉のような中宮彰子を慕って、道ならぬ恋に発展しちゃうのでは? 彰子が生む皇子がもしかして、敦康親王の子だったりして……。もしそうなら、それって「源氏物語」の桐壺巻ではないですか!賢子に続き、さらに不義の子が誕生しちゃったりして???

脚本家の大石静さんのことです。まさか、って展開も無きにしも非ずです!期待!(なにを???)

復権を狙う伊周が広める「枕草子」まひろと清少納言の文学観の違いがはっきり

伊周は中関白家の復権を願い、道長を呪詛するは、息子の松への舞の稽古にも檄が飛びます。清少納言は定子さまの素晴らしかった後宮の様子を宮廷中に知らしめ、さらに憎き道長に一矢報いたいという思いでしたためた「枕草子」を、伊周に託します。

 

 

詮子は亡くなる直前、遺恨を少しでも晴らすために、伊周の復権を道長に提案しこれが実現すると、美しく製本された「枕草子」の写本を早速一条帝に捧げます。あーあ、定子との楽しかった日々が、一条帝の頭の中で走馬灯がデッドヒートを繰り広げてしまいます!定子との思い出が、グルグル駆け巡っちゃうではないですか?!伊周と清少納言の思う壺です!

伊周に「枕草子」を託す前に、清少納言はまひろさんを訪ねて、一部を読んでもらいます。その鮮やかな描写に感心するまひろでしたが、「枕草子」で描かれる定子の光の部分だけではなく、影の部分も知りたいと。人には光の部分があれば影の部分もあるという、思いを述べます。しかし清少納言はそれを否定。定子さまに影などない。影など描きたくないと言い放ち、お互いの文学観、しいては人生観を露呈します。

 

清少納言にとって定子との日々は、彼女が最初で最後に味わった人生の最高の時。その頂点から底辺へと落ちていく過程には、道長の存在があったため、その恨みは凄まじいもの。「枕草子」は伊周と清少納言の、光をまとった武器なのですよね。

「枕草子」は、明るさと美しさで表面コーティングしているけれど、書かれていない根底部には清少納言の抱える影と怨念がある、という風にN子は解釈しました。

 

かたや、まひろさんの人生は複雑怪奇なものですよね。母は目の前で大した理由もなく殺されるは、初恋の人・道長とは結ばれないは、妾になりたくないと思いながらも良い夫であった宣孝はあっけなく死ぬは、私の人生いったいなんのこっちゃ、って思うはずなんですよ。その割にはまひろさんって、恨みつらみがほとんどない人で。人生というか、生活への明るい希望が根底にあって、不思議な強さがあるんですよね。これを諦念というんでしょうか。

 

 

まひろさんの物語は、これまで蓄積された知識、自身の経験から得たものから書かれていくわけですが、光と影のコントラストが激しい「源氏物語」になっていく……。どんな風に「光る君へ」で描かれていくのか、興味深いです。

なんだかんだ言って、まひろはいつも誰かのナンバー1の女!

まひろさんて、道長の生涯の思い人でソウルメイトですし、宣孝という最大の理解者であり守護者にも巡り合えている恋愛強者ですよ。勝ち組ですよ。まひろの明るさと強さは持って生まれたものでもあり、全肯定してくれる男がいつも側にいる、っていう精神的な余裕から来るものなのかも!ずるいぞずるいぞまひろ!

物語を書き始めたまひろ、女房生活も間近か史実ではツラすぎて実家で半年ヒッキー生活

 

夫・宣孝亡きあと、物語好きな娘・賢子のために物語を書き始めたまひろさん。賢子に「竹取物語」を読み聞かせしていましたね。紫式部も「竹取物語」のかぐや姫のイメージがお気に入りだったようで、「源氏物語」に登場する高貴な女性たちはほとんど旧暦の8月15日もしくはそのあたりに死にます。かぐや姫が月に還る日ですね。

再来週あたりには、彰子さまの女房になるために後宮に出仕する、って流れでしょうか。紫式部は実際、他の女房たちとの人間関係がうまくいかなくて、すぐ実家に戻って半年ほど出仕していないんです。いきなりの出社拒否ですよ。社会人としてはのっけからしくじってしまう紫式部を、どう描くのか。まひろさんもヒッキーになっちゃうのかな!

今週もさまざまな出来事がありました。毎回思うのですが、どれも「源氏物語」の世界を連想させるエピソードでいっぱい。劇中劇は描かないと言っていた大石静さん。さすがです。新たな視点を重ねながら、すでに視聴者は「源氏物語」を読んだような気持ちになっています。

まひろさんの宮中生活、「源氏物語」執筆まであともう少しですね!

「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

元記事で読む
の記事をもっとみる