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「自動運転車2台が並走でドリフト!」トヨタがスタントマンばりの自動運転技術を公開!

  • 2024.8.2
ドリフトで並走するトヨタの自動運転車
ドリフトで並走するトヨタの自動運転車 / Credit:Toyota Research Institute

車を意図的に横滑りさせてコントロールする「ドリフト走行」は、レースやショーで観客を魅了します。

ゲームや映画などでもよくドリフトする場面がピックアップされており、運転が好きな人であれば、自分の車で試したこともあるでしょう。

最近、「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)」とスタンフォード大学(Stanford University)工学部は、そんな高度なテクニックを必要とするドリフト走行が可能な自動運転システムを発表しました。

しかも2台の車を並走させ、互いに数十センチメートルの距離を保ちながら、ぶつからないようにドリフトすることが可能です。

目次

  • トヨタの自動運転車2台がドリフト走行に成功
  • 「ドリフト走行可能な自動運転システム」がドライバーの命を守る

トヨタの自動運転車2台がドリフト走行に成功

ドリフト走行の連続写真
ドリフト走行の連続写真 / Credit:Wikipedia Commons_ドリフト走行

ドリフト走行とは、自動車や二輪車における走行方法の1つであり、タイヤを横滑りさせながら走行させるテクニックです。

ステアリングのみに頼らず、アクセル、ブレーキ、サイドブレーキ、クラッチなどの積極的な使用により、スライド状態を維持したまま進行方向を調整する複合的で高度な操作が求められます。

そのように高度なテクニックが必要なことや、見た目が派手なことから、ドリフト走行を好む人は少なくありません。

また、競技種目やコースによっては、ドリフト走行を積極的に用いることでタイムを縮めることもできるようです。

一方で、ドリフト走行には熟練が必要であり、未熟なドライバーが安易にドリフトを行うことで大事故に繋がるケースもあります。

そんな「人間でも難しいドリフト走行」を自動運転車が行える時代が到来したようです。

トヨタが公開したドリフト走行する自動運転車
トヨタが公開したドリフト走行する自動運転車 / Credit:Toyota Research Institute

2024年7月23日、トヨタ自動車株式会社の研究所「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)」が、アメリカのスタンフォード大学(Stanford University)工学部と共同で、自律的にドリフト走行させる自動運転技術を発表したのです。

しかも、2台の車を連携させて、わずか数十センチメートルの距離を保ちながら綺麗にドリフトさせることに成功しています。

ちなみに動画では自動車の中にドライバーが乗っていますが、彼らはハンドルに触れておらず、全ての操縦が自動で行われていることが分かります。

これほどの成果は世界でも初めてであり、ドリフト好きなドライバーだけでなく、自動運転技術に関心を持つ多くの人々の注目を集めています。

「ドリフト走行可能な自動運転システム」がドライバーの命を守る

2台の改造「GR SUPRA」を採用
2台の改造「GR SUPRA」を採用 / Credit:Toyota Research Institute

今回の実験には、改造されたトヨタのスポーツカー「GR SUPRA」が2台使用されました。

先導車のアルゴリズムはTRIで開発され、安全に先頭を走行できるよう堅牢かつ安定した制御メカニズムを生み出しています。

一方、追跡車はスタンフォード大学によって開発され、先頭車の動きに適応し、衝突することなく並走できるAI車両モデルとアルゴリズムを採用しました。

どちらにもコンピュータとセンサーが搭載されており、ステアリング、スロットル、ブレーキを制御しながら、動き(位置、速度、回転率など)を感知できます。

1秒あたり最大50回もの最適化を繰り返す
1秒あたり最大50回もの最適化を繰り返す / Credit:Toyota Research Institute

また2台の車両はお互いに専用のWiFiネットワークで繋がっており、相対的な位置や予想される軌道など、様々な情報をリアルタイムで共有しています。

そして各車両は、急速に変化する状況に対応しながら、どのようなステアリング、スロットル、ブレーキのコマンドが最適かを決定するために、1秒あたり最大50回もの最適化を繰り返すのだとか。

加えて、AIを活用することで以前のテストデータから継続的にトレーニングされ、走るたびに走行の精度が改善されていきます。

実験では、このような最新の自動運転技術により、ドライバーがハンドルに触れずとも、プロレベルのドリフト走行を実証できました。

2台が衝突することなく、ドリフト走行を制御し続けることに成功
2台が衝突することなく、ドリフト走行を制御し続けることに成功 / Credit:Toyota Research Institute

そして研究チームによると、このドリフト走行技術は、雪や氷上でのスリップからの回復に応用できるようです。

TRIに所属するアヴィナシュ・バラチャンドラン氏は、この点を次のように説明しています。

「車が横滑りし始めると、ドライバーは他の車や木、障害物との衝突を避けるために、自分の運転技術に頼らなければいけません。

平均的なドライバーは、このような難しい状況に対処するのに苦労します。

ほんの一瞬の判断が生死を分けることもあるでしょう」

そんな時、自動運転装置がタイミングよく作動して、ドライバーをサポートするなら、ドライバーや同乗者の生存率は大幅に向上するはずです。

今回のドリフト実験は、単なるパフォーマンスではなく、私たちの命を守るための研究とその技術の実証だったのです。

参考文献

Toyota Research Institute and Stanford Engineering Achieve World’s First Fully Autonomous Tandem Drift Sequence
https://pressroom.toyota.com/toyota-research-institute-and-stanford-engineering-achieve-worlds-first-fully-autonomous-tandem-drift-sequence/

Inches apart: Self-driving cars master extreme sideways driving skills
https://newatlas.com/automotive/toyota-stanford-tandem-autonomous-ai-drifting/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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