父チャールズ国王や兄ウィリアム皇太子との確執が伝えられているヘンリー王子。チャールズ国王ががんであることを公表した際は、ヘンリー王子はすぐにロンドンに飛び、見舞ったことが報じられたが、5月にイギリスでインビクタス・ゲームの10周年を祝う式典を行った際には、王室からの出席者はなし、滞在中に父と面会することもなかった。王子の広報担当者は国王の予定が詰まっているためだと説明していたが、『ピープル』によると、王子は今、国王に電話すら無視される状態だという。その根底には警護問題があるようだ。
2020年に王室を離脱した際、家族の安全性に懸念があったために決断を「強いられたと感じた」と語っていたヘンリー王子だが、公務を行う主要メンバーを退いたことで、一家はイギリス国内で王族・要人警備執行委員会(RAVEC)の警護を受けることができなくなった。これを受け、王子は費用を負担する代わりに警護を続けてほしいと裁判所に訴えたが、昨年5月に高等法院の判断により却下された。控訴するとみられているが、その一方で王子は、チャールズ国王にこそ警護問題を解決する権限があり、父に介入してほしいと考えているそうだ。ところが、王子は国王と話し合いを求めているものの、国王に連絡がつかない状態が続いているという。
「『只今対応できません』と言われています。王子が連絡をしても、出てもらえません。国王の健康状態を聞こうと連絡しましたが、それにも出てもらえませんでした」とヘンリー王子に近い筋は語る。 国王は王子からの電話に出ず、手紙にも返事をしていないそうだ。この問題は父子の間の大きな壁となり、今や2人の間には沈黙しかないという。
なお、ヘンリー王子が王室を離脱した際、存命だったエリザベス女王は、王子の警護は不可欠であると考えていたことが裁判で明らかになっている。先日イギリスで公開されたドキュメンタリー「Tabloids on Trial(原題)」でも、ヘンリー王子は「たった一人が自分が読んだものをもとに単独行動を起こすだけで、家族が危険に晒されます。ナイフの可能性もあるし、酸の可能性もある。僕にとっては本当に憂慮すべきことです。僕が妻をこの国(イギリス)に連れて帰らない理由の一つです」とコメント。家族へ危険が及ぶことを恐れ、移住先にアメリカを選んだのも、武装した民間のセキュリティを雇うことができるためだと関係者が明かしている。
ヘンリー王子が王室の内情について暴露する回顧録やドキュメンタリーを発表したことで、家族との関係が悪化したとみられているが、警護費用を捻出するためだったという見方もある。王子の友人はこう話しているそうだ。「彼は父親に良い家や良い車を求めているわけではありません。実情を鑑みて、助けを求めているのです。彼は危険な状況にあるのです」
Text: Tae Terai