ジムに通う時間がないのは、みんな同じ。
ちょっとずつでも意味はある
多くの人と同様、私とワークアウトの関係はスケジュールによって変化するけれど、通常は週1時間のテニス、1日1万歩、ジムで週3x2時間の筋トレをスケジュールに入れている。そうすれば、英国民保険サービス(NHS)が推奨する週150分以上の適度な運動(最大心拍数の60~70%)か、75分以上の激しい運動(最大心拍数の70~90%)を無事にクリアできるから。でも、人生は予定通りにいかないもので、実際はパーソナルトレーナーを予約しているにもかかわらず、ジムに1回しか行けない週がたくさんある。
その理由は忙しさだけじゃない。実を言うと、これまでの私には、30~45分は時間があるのに「それでは短すぎて意味がない」と言ってワークアウトをサボることが何度もあった。でも、フィットネス系教育機関The Fitness Groupのパーソナルトレーナーでプロ養成コースインストラクターのアラスデア・ニコル氏いわく、少しずつでも積み重ねれば、大きな成果につながるそう。
「フィットネス・マイクロドージングの人気は、この数年でさらに高まっています」とニコル氏。「このアプローチなら、多忙な人でも長期的な目標から逸れることなく超短時間のエクササイズをスケジュールに組み込めます」。私の長期的な目標は心血管系と筋力を強化して長生きすることなので、10分であろうとなかろうと、何らかの形で運動量を増やすことがマイナスになるとは思えない。
家で短時間の効果的なワークアウトをするだけでも、全くしないよりはいい。
専門家いわく、フィットネス・マイクロドージングの頻度は完全にあなた次第。1回のワークアウトを分割し、いまより負担の少ない長さにしてもいい。「自分のライフスタイルに合っている限り、1回のワークアウトの所要時間を明確に決めておく必要はありません」とニコル氏。「ランチタイムの10分でも、夜に好きなテレビ番組を観ながらの10分でも、朝の通勤前の10分でもOKです。1日10分の運動は、何もしないより間違いなく有益ですから」
「減量を目標としている場合、1日10分の運動だけで体重が大きく減る可能性は低いです。ダイエットでは、食生活などの大事な要素を考慮に入れる必要がありますからね」とニコル氏は続ける。「でも、筋力強化が目標で、適切な器具とトレーニングプランがあれば、それなりの成果が出るかもしれません」
少なくとも週に2回はジムへ行き、午前中のスキマ時間をもっと有効に使うと決めた私は、フィットネス・マイクロドージングを開始した。10分間のワークアウトを週に6回すれば、計1時間になるんだから悪くない。
でも、10分という短時間で効率良く結果を出すには?
フィットネス・マイクロドージングの方法
ニコル氏によると、10分間のインターバルラン、ケトルベルを使ったワークアウト、さらにはダンスもフィットネス・マイクロドージングにカウントされる。「基本的に、心拍数を上げるものなら何でもフィットネス・マイクロドージングの部類に入ります」。もう少し穏やかなルーティンを築くのも◎。例えば、朝と夜に5分間のストレッチをして「筋肉の自然な可動域を維持・拡大すれば、ケガのリスクを軽減し、日常的な生活機能を支えられます」
月曜日の朝に前述の過酷なHIITセッションをしたせいで、火曜日は筋肉痛で動けなかった。明日からは簡単なウォームアップとクールダウンをしたほうがいいかもしれない。その結果、ワークアウトの所要時間が2倍になってしまったけれど、朝食前の20分でプランク、クランチ、スクワットをするというのは、ジムまで歩き、筋トレをして帰って来るより無理がない。短時間でも朝にワークアウトを終えてしまえば、その後1日エクササイズのことを考えずに済む。仕事で忙しいときは、これが特にうれしかった。
ニコル氏の話では、フィットネス・マイクロドージングのための時間を意識的に作るだけでなく、少しでも動く機会を1日の中に散りばめることも大切。「エレベーターやエスカレーターの代わりに階段を使い、全体的な運動量と心拍数を増やしましょう」。短い散歩やストレッチ、スクワットやランジもオススメ。お湯が沸くまでの5分でも「積み重なれば大きな数字になりますし、歩数も増えます」
いつもはアラームが鳴った瞬間に飛び起きてミニワークアウトをするけれど、水曜日の朝はスマホの画面を消して「今日はオフ日にしよう」と思った。昨日2回分したからいいでしょう? でも、ランチタイムに入る頃には「これじゃダメ」という罪悪感に襲われて(なぜか私はいつもそう)ソワソワしてきた。結局、私はトイレに籠り、5分間のスクワット。外で待っている人が何を思ったかは神のみぞ知るところ。でも、体を動かしたらエネルギーが湧いてきて、また5分稼げたことに喜びを感じながらデスクに戻った。
木曜日は天気が良かったので、家の周りを10分間ダッシュすることにした(マイクロドージングによる運動時間は、この時点で45分!)。金曜日はパーソナルトレーナーと1時間のリフティング、週末は1時間のテニスをしたけれど、マイクロドージングは途切れてしまった。でも、短いワークアウトを頻繁にするだけで運動量を増やせたのはかなりうれしい。
その翌週は、寝る前に10分間のヨガをしてマイクロドージングに変化を持たせた(特に、激しい運動をするよりも寝たほうがいいと感じた日)。ノリノリの音楽をかけ、朝食のトーストが焼けるのを待ちながらキッチンで踊った日もある。繰り返しになるけれど、これが全部積み重なれば、1週間の目標運動量がクリアできるだけでなく、心臓を強くするという長期的な目標(ダンスは立派な有酸素運動)にも近づける。そして何より、全体的に健康的な気分になれる。
フィットネス・マイクロドージングは、忙しくてもできることがあることを思い出させてくれるリマインダ。スキマ時間で短時間の運動をすれば、間違いなくエネルギーが湧いてきて、何かを成し遂げたという気持ちになれる。毎回、太ももが震えるようなHIITをする必要がないのもボーナス。
※この記事は当初、イギリス版『Cosmopolitan』に掲載されました。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Jennifer Savin Translation: Ai Igamoto