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トップオブリゾート、カプリ 大観光地の喧騒を離れて過ごす新しい旅のスタイル

  • 2024.7.31

古代ローマ皇帝アウグストゥスが“甘美なる快楽の地”と称えたカプリ島。風光明媚で気候も温暖、地中海に浮かぶ宝石のようなその魅力は、セレブリティを虜にする華やかなリゾートや青の洞窟だけに止まらない。

緩やかに流れる時間に憩い、知られざるストーリーに心躍らせる憧れの島のもう一つの顔を知る、とっておきの旅へ。

街歩きやグルメなど、選りすぐりのお店をご紹介。


20世紀初頭のセレブが愛したアナカプリで幸せヴァカンス

“カプリブルー”といわれる、カプリ島の透き通った海の美しさは、胸に刻まれる情景だ。

優雅で洗練されたリゾート。そんなイメージがあるカプリ島には、実は二つの町がある。

よく知られているのは「カプリ地区」。高級ブティックと華麗なホテルが立ち並ぶ中心地は、いかにもカプリだが、有名な観光地だけに、シーズン中の混雑は推して知るべし。

シーズン中、観光客でぎっしりになるピアッツェッタ。

特に、日帰り客が押し寄せる日中は、島が沈みそうなほどの賑わいを見せる。

アナカプリにて。目抜き通りのカフェで、のんびりひと休み。

そして、もう一つが、「アナカプリ地区」だ。昔ながらのこじんまりした素朴な町並みに、思わずホッとする。

地元の人がミサに通うサンタ・ソフィア教会。

「アナ」とは、古代ギリシャ語で「上」のこと。つまり上のカプリは、島の高台にあり、かつて外界と繋がる唯一の接点は、断崖絶壁に古代からある921段の「フェニキア人の階段」のみだった。

19世紀後半に両町を結ぶ道路ができるまで、互いの交流もほとんどなかったという。そのため、同じ島にありながら異なる趣の町が形成されたのだ。

旧市街のサンタ・ソフィア教会前は、市民の憩いの場。

20世紀初頭、アナカプリを訪れた貴族や知識人は、隔絶された静寂の地に魅了され、別荘を建て、暮らしの中で村人たちと交流した。

白壁の家々と細い路地が続く、可愛らしい小さな町。目抜き通りをそぞろ歩けば、お土産屋さんの隣に、のんきに野菜を並べる八百屋がある。

カプリ島の中心地、カプリ地区のウンベルト1世広場、通称ピアッツェッタに建つカプリ市庁舎。

島の暮らしとツーリズムが程よく混ざり合った小さな町には、かつてのセレブリティが慈しんだ、穏やかな日常が息づいている。

レモンが実る楽園のようなレストランで、至福のときを。

とはいえ、ここもカプリ島。素朴ながらも美しく、センスが光るレストランやショップも多い。

町のあちこちにちりばめられた、心ときめくビジューを集めて、自分だけのヴァカンスを紡ごう。

カプリ島で最も高いソラーロ山リフトから、アナカプリとイスキア島を一望。

文=岩田デノーラ砂和子
写真=鈴木七絵

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