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心を打たれる“3つの理由” 地動説の継承がテーマ!難しい内容でも『チ。』はナゼ人気なのか

  • 2024.11.21

現在放送中のTVアニメ『チ。 ―地球の運動について―』が、「アツい」「心を動かされる」とSNS上で話題だ。魚豊による漫画を原作としており、第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞するなど、多数の賞を受賞している本作。いったいなぜ『チ。』は私たちの心を揺さぶるのだろうか。その理由は大きくわけて3つあるように思う。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

1つ目の理由は、静かにアツいセリフの数々だ。たとえば、第1章にて主人公・ラファウが地動説を研究していることを異端審問官・ノヴァクに知られてしまい、牢獄に入れられるシーン。ラファウは自ら毒を飲んだ後「僕の命にかえてでも、この感動を生き残らせる」とノヴァクに語る。地動説に命を懸けた揺るぎない信念がこのセリフに詰まっているのだ。

そんなラファウを見て、正気ではないと動揺するノヴァク。訳のわからないものに熱中して命すら投げ出す行為を“狂気”だと言うノヴァクに対し、ラファウは「でもそんなのを、“愛”とも言えそうです」と穏やかに言う。まるで悟りを開いたかのようなラファウの口から出る言葉は、どれも格言のような重みと真実味があるのだ。

第2章にてオクジーとグラスの前に登場する異端者は、「この地球は、天国なんかよりも美しい」と言う。この言葉にグラスは心を動かされ、異端者を縛る縄を切り物語が動き出した。異端者の思わず信じてみたくなるような言葉に心を動かされたのは、グラスだけでなく多くの視聴者も同じだったのではないだろうか。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

2つ目の理由は、作品内で取り扱う深いテーマだ。『チ。』は主人公が移り変わるリレースタイルの作品であり、ラファウのときは彼が自殺し10年後に時が進んだことで主人公が交代した。そして、新たな主人公・オクジーや修道士・バデーニも地動説を研究する。本作は地動説の継承の物語というわけだ。

“継承”は私たちの身近でも行われている。親から子に、先生から生徒に……といったように、誰しもなにかを引き継いだ経験があるだろう。そして、“継承”には人の想いや信念も引き継がれる。未来のための橋渡しともいえる“継承”の重要さと尊さを『チ。』は説いてくれているように思う。

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(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会

また、女性だからという理由で差別を受けている研究者・ヨレンタが第7話で登場する。女性蔑視の考え方は現実でも根深く存在する大きな問題。そういった社会的なテーマも取り扱う『チ。』は、私たちにクエスチョンを投げかけるような作品だといえる。考えさせられるという点も、心を動かされる理由のひとつだ。

そして3つ目の理由が、物語の世界観に寄り添う音楽だ。『チ。』はオープニングテーマをサカナクションの「怪獣」、エンディングテーマをヨルシカの「アポリア」が担当。どちらも凛としたピアノの音が印象的で、静かだが宇宙のようなスケール感を感じる楽曲だ。

この2曲が始まりと終わりに流れることで、物語にグッと没入できる。そして、『チ。』の世界とマッチした歌詞やメロディが、作品の解像度をさらに上げている。音楽が作品を彩り、本編の感動を味わい深いものにさせているのだ。

本作にハマっている大人は多い。心を揺さぶる深いセリフやテーマ、音楽が、大人にも刺さっているのだ。『チ。』は世代関係なく、魂に響く作品といっても過言ではないだろう。

チ。 ―地球の運動について―
ABEMAにて毎週土曜日夜24時10分より無料独占・見放題最速配信
放送後1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/568-32
【(C)魚豊/小学館/チ。 -地球の運動について-製作委員会】


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari