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なぜ、10月は疲労感が溜まりやすい?現役医師が明かす「秋バテ」思わぬ“危険信号”にゾッ…

  • 2024.10.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

10月に突入し、一気に涼しくなりましたよね。8月は「夏バテ」でぐったりしていた…という方々も、「ようやくひと安心…」と思っているかもしれません。

…ちょっと待って!実は、9月・10月は「秋バテ」になるリスクがあるそうなんです。今回は、これからの時期に気をつけたい秋バテについて、現役医師の方にインタビューしてきました。詳しい症状や対策について、詳しくご紹介させていただきます!

秋バテの原因は?

秋バテになってしまう原因はいくつかあるそうですが、大別して4つ挙げられるそうです。それぞれ詳しく解説していただきました。

(1)夏バテの長期化

夏の疲れがなかなか抜けなくて、そのまま秋バテに突入してしまうパターンです。昔の夏バテは単純に暑さによるエネルギーの過剰な消費によるものでしたが、今の夏バテは冷房で身体を冷やしすぎたり、冷たい飲み物や食べ物をとりすぎて内臓を冷やしすぎたりすることによって「自律神経」が乱れ、全身の血液の巡りが悪くなることにより起こります。

(2)急な冷え込み

暑い夏から涼しい秋になると、身体が気温の変化についていけなくなることがあります。また、同じ週の中でも真夏日があったり冬を思わせるような冷え込みがあったりと気温が安定しません。さらに、一日の中でも朝晩の寒暖差が大きいのもこの時期の特徴です。このような急激な気温の変化に対して、自律神経が一生懸命に体中の器官をコントロールしようと頑張ります。このコントロールが追い付かないのが、秋バテの原因の一つです。

(3)急な天候変化

9月は8月に引き続いて台風の発生数が多く、近年は接近数・上陸数ともに増えてきています。また、一般的に9月に上陸する台風は勢力が強いことも特徴です。さらに、台風の数が減り始める9月の後半には秋雨前線が発生し、そこに上空からの寒気が流れ込むと前線の活動が活発になり、各地で大雨を降らせます。

この不安定な気圧の影響が、耳の奥にあって体のバランスをとる働きをしている「内耳」に作用し、めまいや頭痛といったいわゆる「気象病」を起こしやすくなります。慢性的なめまいや頭痛は、結果的に自律神経のバランスも乱してしまいます

(4)日照時間の減少

秋は他の季節に比べて急速に日が暮れる時間が早くなります。日照時間が短くなり、太陽の光に当たる時間が少なくなると、脳内の神経伝達物質の一つである「セロトニン」の分泌が減ってしまいます

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ、脳の興奮を鎮め、精神を安定させる作用をもっています。これが減ることにより不安感や意欲の低下をきたし、体調不調につながります。

秋バテの症状は?

原因のところで述べたように、秋バテの症状は寒暖差や気圧変化による「自律神経の乱れ」と、日照時間の減少による「セロトニンの低下」により引き起こされます。

(1)自律神経の乱れ

「自律神経の乱れ」は頭痛、めまい、ほてり、汗、口の渇き、喉のつまり、動悸、息苦しさ、お腹の張り、節々の痛みなど、とにかく多彩ですが、ポイントは「一つの臓器の症状では説明がつかない」ということです。

これは、自律神経が多種の臓器を支配しているためです。ある意味「あれもこれも症状があって原因がよくわからない」といった症状が、自律神経が乱れた時の典型的な症状であり、秋バテの特徴と言えます。

(2)セロトニンの低下

セロトニンの主な役目は、ドパミンなど脳を興奮させるホルモンを抑制し、脳を鎮静化させる働きです。また、偏桃体という不安や恐怖に関わる器官の活動を調整することにより、恐怖・不安によるストレスをコントロールします。セロトニンが減るとイライラ感や落ち着かない感じが強くなったり、恐怖感や不安感が強くなったりします。

(3)あなたは秋バテ?チェックリストで確認しよう!

以上を踏まえて、秋バテのチェックリストを作ってみました。一つでも当てはまる方で、秋になって症状が増悪したという自覚のある方は、秋バテの可能性が高いと思います。

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自分できる秋バテ対策はあるの?

本来ならば自律神経を整えることが重要ですが、これは短期間ではなかなか行えません。

秋バテの症状を感じた際は、まず「体を温めること」を意識してください。朝1杯の白湯を飲んだり、朝食に温かい野菜スープなどを飲むと、冷えて働きの落ちた胃腸に効果的です。38~39℃のぬるめの湯船にゆっくり浸かるのもいいですし、足湯を併用するのもいいでしょう。

朝晩に冷え込むことも増えてきますので、季節にあったパジャマや布団を利用してください。

疲労回復という点では、胃腸を整えて免疫力をアップしてくれる山芋やさつまいも、消化を助けて身体に潤いをもたらす人参やカブ、筋肉や臓器を強くするために必要なたんぱく質を多く含む乳製品や魚肉、エネルギー代謝を高めてくれるビタミンB群を多く含んだ豚肉のヒレやモモ肉、大豆製品、抵抗力を高めてくれるビタミンCを多く含んだ柑橘系の果物などを積極的に摂るようにして下さい。

 日常生活での注意事項は?

ここまで述べたように、秋バテに伴う体調不良の根幹は「自律神経の乱れ」といって過言ではありません。自律神経を整えるコツは、一にも二にも「規則正しい生活をすること」です。一日の流れに沿って抑えてみてください。

【朝】

起きたらまず日光浴で体内時計をリセット。セロトニンも増えます。時間がなければ15秒でもOK。

15分の早起きで時間に余裕をもって行動を。余裕がないと副交感神経の働きが低下します。

・余裕があればウォーキングなどのリズミカルな運動を。自律神経も整い、セロトニンの分泌も促します

少し熱めのシャワーを浴びて体温を上げると、交感神経が活性化しスタートモードに。

朝食をしっかりとって、脳の自律神経を活性化。食べる前に白湯を飲むと効果アップ。

朝1杯の牛乳やトマトジュース。セロトニンを増やしたり、セロトニンの働きを助ける効果があります。

・慌ただしい朝こそ、鏡の前で笑顔。ゆっくり深呼吸して副交感神経を優位に。

【昼】

・お出かけの際は視線を上に。空や木々の緑でリラックス。胸張り姿勢になり質の良い呼吸に。

連続した作業は90分まで。交感神経を定期的に休ませてあげましょう。

笑顔でいるとストレスホルモンが減少!作り笑いでも効果あり。

・喫煙すると血管がしまり血圧上昇や脈拍上昇のリスクに。できれば禁煙を。

夕方頃にストレッチや軽い運動をして、昼間の疲れをリセットしましょう。

【夜】

夕食は寝る3時間前まで。ゆっくり休養モードに切り替える余裕を持ちましょう。

日が落ちてからのカフェインは睡眠の質を悪くするのでほどほどに

就寝前のアルコールは、かえって睡眠の質を下げる。ダラダラ飲みもやめましょう。

38~39℃のぬるめのお風呂で一日の疲れをとりましょう

パソコンやスマートフォンは控えめに。ゆったりした音楽やアロマの香りでリラックス。

規則正しい生活を心がけよう!

これからの時期に気をつけたい秋バテ。チェックリストを確認し、「実は自分もそうだった…」と気づいた方もいらっしゃるかもしれません。

今回教えていただいたアドバイスを参考に、まずは規則正しい生活を心がけましょう!そうすれば、秋バテによって引き起こされていた体調不良が改善されるかもしれませんよ?


監修者:安藤大樹
内科医/プライマリケア学会指導医/心療内科学会登録医
医療法人社団藤和会あんどう内科クリニック院長。『医療よろず相談所』をクリニックのコンセプトに掲げ、医療に関わるあらゆる問題に向き合う生粋のプライマリケア医。「プライマリケアは日本の医療を救う」と信じ、若手医師の教育も積極的に行っている。
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