近年では、ノートパソコンやワイヤレス掃除機など、稼働の際にコンセントを必要としないバッテリー式の機器が多く存在しています。充電の時だけコンセントに接続していれば、稼働させる時にバッテリーから電源が供給されるため持ち運びに便利なのが特徴的です。ですが、専用のバッテリーは長年使っていると性能が低下してしまいます。
「バッテリー交換をしたいけどメーカー公式が販売しているバッテリーは高くて買えない…。だから、他のメーカーが出している安い非純正のバッテリーを使おう!」と考える方もいるでしょう。しかし、他メーカーが販売している非純正バッテリーを利用することは大きなリスクを伴います。安いからといって安易に手を出すと、後悔することになるかもしれません…。
そこで、この記事では非純正バッテリーのリスクについて詳しく解説していきたいと思います!
非清純バッテリーは低価格で高リスク!?
消費者庁は公式Xで、非純正バッテリーについて以下のようなポストを投稿しています。
【「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意!】
— 消費者庁 (@caa_shohishacho) June 27, 2024
リチウムイオン電池搭載製品での非純正バッテリー使用による事故が起きています。中には建物が全焼する火災事故も。
安全対策や品質管理が不十分な製品がある等、非純正バッテリーが抱えるリスクについて理解しましょう。https://t.co/SGgHbXlDhU pic.twitter.com/MNEI6qWFYk
普段使っているパソコンやスマホのバッテリーが劣化した時に、メーカー純正ではなく、他メーカーが販売している「非純正バッテリー」を使用している方もいるかもしれません。非純正バッテリーは低コストで利用できるメリットがありますが、メーカー純正でないため正しい安全対策がされていなかったり、品質の管理が不足している状態だったりする可能性があります。
その結果、事故につながる可能性が大いにあるのです。
実際、平成26年から10年間で情報が集められた製品事故のうち、非純正バッテリーによる事故は235件にのぼります。さらに、その235件中の227件が発火しており、火災事故につながったケースもあるのです。227件のうち、建物が全焼してしまったケースが14件、人が火傷などの怪我を追ってしまったケースが13件発生しています。
非純正バッテリーは純正バッテリーより安く買えてしまうため、手軽に手を出してしまうかもしれませんが火災などの大きな被害につながる恐れがあるため、リスクについて十分理解し、純正のバッテリーで安全に利用する方がいいといえるでしょう。
そもそもリスクの高いバッテリーって?
非純正バッテリーにはどのような特徴があるでしょうか。まず、リスクの高い非純正バッテリーの見分け方について解説していきます。経済産業省がリスクの高い非純正バッテリーの特徴として挙げているのは、以下の4つです。
- 純正品と比較して極端に安い価格で販売されている
- 事業者の連絡先がない、または誤った情報になっている
- 製品の日本語の表記や文章が間違っている
- PSEマークが正しく記載されていない
また、メーカー純正のバッテリーの場合は、製品に合わせてバッテリーの動作を安全に保つための品質管理がされています。しかし、非純正の場合は十分な安全を保つ設計になっていないため、異常時に安全保護装置が作動しない場合もありえるのです。
たとえば、安全対策が十分にされているバッテリーを充電している場合、充電が100%のタイミングで過充電にならないように充電を止めるシステムがついています。しかし、安全対策を十分にしていないバッテリーの場合は充電が100%を超えても、充電をやめないため、過充電状態となり発火する恐れがあります。
さらに、非純正バッテリーの場合だと充電だけでなく通常に使っている場合でも発火する可能性があるのです。価格が安い非純正バッテリーの中には、製造中の管理が手抜きになっている製品があります。たとえば、重要な回路部分に不良品が使われていたり、内部にゴミのような異物が入っていることが考えられます。
不適切な状態のバッテリーを使っていると、製品に異常が発生し使用中に発火したり、充電後に爆発したりするのです。
実際に発生した事故のケース
ここでは、経済産業省が発表している実際に発生してしまった非純正バッテリーによる事故を紹介していきます。
ケース1
こちらは、2019年4月に発生した電動アシスト自転車の事例です。
【事故の内容】
ネット通販で購入した電動アシスト自転車用バッテリーを自転車から取り外して充電していたところ、出火し、床を焼損した。
【事故の原因】
非純正バッテリーの内部で短絡が生じて異常発熱し、焼損したものと考えられる。
ケース2
こちらは、2020年4月に発生した充電式電動工具の事例です。
【事故の内容】
ネット通販で購入した充電式電動工具用バッテリーを、購入後初めて充電器で充電していたところ、異音がして出火し、周辺を焼損し火傷を負った。
【事故の原因】
非純正バッテリーの保護回路基板(安全保護装置)の設計不良により、充電中のすべてのリチウムイオン電池セルの電圧を検知することができない構造であったため、一部のリチウムイオン電池セルが過充電状態となって異常発熱し、焼損したものと考えられる。
非純正バッテリーの危険性を理解して、正規品のバッテリーを使おう!
低価格で魅力的に見えてしまう非純正バッテリーですが、実際に使用すると大きなリスクになってしまう可能性があるとわかりました。もしバッテリーを購入する際は、製品のメーカーが推奨している純正のバッテリーを使うのがおすすめです。少し高価になってしまうかもしれませんが、リスクを抑えられるうえに長期的に利用できるでしょう。
出典:消費者庁公式X(https://x.com/caa_shohishacho/status/1806142014901428650)(参照 2024-08-29)
出典:「低価格・高リスク」の非純正バッテリーに注意 ~建物が全焼に至った火災も〜(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_077/)(消費者庁)(参照 2024-08-29)