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倫子と明子の怖~いバトルと純情まひろ。道長がまひろに走るのも分るような気が……。

  • 2024.7.31

「光る君へ」言いたい放題レヴュー

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「光る君へ 第28回 一帝二后」あらすじ&今週も言いたい放題本妻と妾妻のバトル。道長、思わず「まひろォ」と口走り、針のムシロ?

今週のお当番M男です。第28回は長保2年、西暦でいえばちょうど1000年、ミレニアムの年です。道長34歳、そろそろ中年に差し掛かるお年頃で、体調も思わしくありません。当時の34歳といえば、今でいえば50歳くらいのイメージでしょうか。中年どころか初老といってもよいかも。

 

 

 

正妻と妾妻の壮絶バトル。怖~い!

そんな道長、2回も倒れてしまいました。2度目は明子の屋敷。夢うつつの道長に現れたまひろに、思わず「まひろ」と呼びかけ、ふと気づいたら明子さまが目の前に。怖いですねぇ。

 

ドラマでは明らかにしていませんでしたが、あれは絶対に明子に聞かれてるはず。

 

そして乗り込んでくる倫子。「うちでお倒れになればよかったのに」と言い放ちます。これも相当怖い。

 

このシーンであれれ? と思ったのは二人が着ている打掛が、ほとんど一緒の柄だったこと。どうして?

 

倫子が乗り込んで来ることを知った明子は、見栄からワードローブのなかで最上の打掛を纏って待ち受け、倫子は倫子で、明子宅に乗り込むにあたり、正妻としてやはり最上の打掛を纏った。正妻と妾妻のバトル?

 

でもそれは、結局は道長が二人に同じ反物を渡していた、ということでしょうか?

 

と書いた後に、いろいろネットで調べていたら、そんなんではなく、上流貴族になればなるほど、当時は妻の実家の方が圧倒的に裕福であり、夫から妻に反物を送るなんて、かえって失礼にあたる行為になってしまうとか。で、二人の打掛は見る人が見れば、織りの文様は違ってるらしいとのこと。

わかんないよな、そんなこと。紛らわしいことしないでくださいよ、NHKさま。

 

制度として固持されてきた一夫一婦制が、なし崩しに

さて今回のタイトルの「一帝二后」。改めて思い知ったのは、母系制で、妾も作り放題の平安時代でも、とくに天皇にあっては正妻はただ一人、ということに制度的にはなっていたというか、そういう見え方にしたかったということ。

 

一夫多妻ではない、ということですね。実質は一夫多妻のようなものであったとしても。

 

思い返せば、兄の道隆が無理やり中宮職を定子に付置したことから、「一帝二后」の流れは始まっているわけであり、結局は道長も同じことをしただけ、ということ。

 

ドラマでは安部清明が知恵を授けたことにして、道長のダーティぶりを薄めてましたが。

 

安部清明、どんどん悪役になり、人相にも迫力が出てきました。なかなか面白い!

藤原一族は、じつは源一族と深い婚姻関係があったみたい

ここまで書いて、ふと気が付いたのは、倫子にしても明子にしても、「源」姓であるということ。

 

調べてみると、道長は倫子と明子の他に二人に源姓の妾を持っていたみたい。藤原一族一辺倒ではないんですね。

 

天皇の子や孫が臣籍降下した際に賜る性が「源」ですから、自身が摂関政治を始める前から、道長は用意周到に、たとえ臣籍降下であろうと、天皇家との結びつきを深めようとしていたのかも。

 

定子さま、あまりにも可哀そう。泣けてきます

それにしても定子様可哀そう。泣けてきます。

 

一説によると、定子の死も、道長一派の呪詛だと、伊周は思っていたみたいです。だからこそ、伊周は定子の骸を抱きかかえ、嗚咽しながら道長に対する恨みを叫んでいたのでしょう。

 

そして、あれだけ定子との日を綴った「枕草子」には、定子の死に関しては、まったく触れていないとか。あまりにも悲しくて、描けなかったのでしょうね。

 

そのあたりのことを踏まえた演出、つまり、定子が息を引き取る様をあえて出さなかった、ある意味での控え面の演出は、なかなか素晴らしいなと思います。

 

辞世の歌が几帳に結びつけてあったのも、泣けてきます。

 

ここでわが身が悲しいのは、画面でちらっとその歌が写っても、まったく読めないこと。放映後に、いろいろネットで検索してようやく意味がわかり、その悲しさが倍増する、という次第。でも、大半の人がそうでないのかなぁ……。

 

ちなみに、N子さんは「X」のリアルタイム投稿をチェックしつつ観てるとか。「X」には、即座に「今出ていたのはこの歌です」とのアップがあるそうです。凄いですね。でも、そこまでする気力はないし……。なんとかうまい方法はないものでしょうか。

さすがNHK大河ドラマ。 お金かかってるなぁ

「笛は聴くもので見るものではありません」。彰子は実は聡明とも思われるような、一言を漏らしました。

 

このあたり、本当にうまいなぁと思います。今後、まひろを女房に迎えてどのように変わっていくのでしょうか。楽しみです。

 

それにしても、彰子の立后の儀の場面の素晴らしさよ。映画「ラストエンペラー」とまではいかないにしても、かなり壮麗な雰囲気が出ていました。

 

倒れた明子宅から本宅へ、道長が気恥ずかしそうに戻ってきたシーンでも、ほんの短いカットなのに、倫子を中心に「お帰りなさいませ!」と、本宅にずらりと人を並べるなど、お金かけてるなぁ。さすがNHKと思いました。

『御堂関白記』を書く道長。芸の細かいシーンに感心

面白かったのは、道長が自分で書いた文章を,墨で黒々を塗り潰しているシーン。

 

以前にも触れましたが、道長がのこした『御堂関白記』は、誤字の上にそのまま正しい字を書いたり、墨で塗りつぶされている箇所が多く、現代の技術でそこに何が書いてあったかを読み解くと、道長のホンネを伺い知ることができるそうです。

 

そんなディテールをちらりと見せて、これもうまいあぁNHKと感心した次第です。

 

第8次出演者発表!! 成人した娘も、そして和泉式部も登場!!

娘の賢子がすくすくと育ち、幸せそうなまひろ。この娘が、やがて大弐三位(だいにのさんみ)と呼ばれ、百人一首にも名を残すと思うと感慨深いものがあります。

 

放映はまだ4か月以上あるので、成長した賢子は登場するのでしょうか? だとしたら演じる女優は誰?

 

そして、くどいようですが、清少納言に次いで和泉式部も登場してくれないかなぁ、吉岡里帆さんで、としつこく思うM男であります。

 

と書いていた矢先に、第8弾の出演者発表が!! 賢子は南沙良さん、和泉式部は泉里香さんだそうです。そして、おお敦康親王には、片岡千之助さまではありませんか。仁左衛門さまのお孫さん。一度舞台を拝見したことがありますが、とにかくイケメン。

敦康親王は、母代わりとなった彰子を密かに慕うようになり、彰子も彰子で、やがて生まれる我が子よりも、敦安親王を皇太子にすることを望み、道長との間に軋轢が生まれます。あの、ぼーとした彰子が、父親に反旗を翻すなんて。

 

和泉式部が吉岡里帆さんでなかったことはちょっと残念でしたが、今後の展開に目が離せません。

「光る君へ」言いたい放題レヴューとは……

Premium Japan編集部内に文学を愛する者が結成した「Premium Japan文学部」(大げさ)。文学好きにとっては、2024年度の大河ドラマ「光る君へ」はああだこうだ言い合う、恰好の機会となりました。今後も編集部有志が自由にレヴューいたします。編集S氏と編集Nが、史実とドラマの違い、伏線の深読みなどをレビューいたしました!

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