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大人の「いい子症候群」そのサインとは? 燃え尽きを防ぐ3つの方法

  • 2024.7.31

新しいプロジェクトを担当してほしいと上司に頼まれると、すでに手一杯の状態でも引き受ける。

その後、パートナーと別れ話をしている妹から来た「ランチタイムに電話して」というメッセージにも、「もちろん」と返信する。

会社を出たら出たで、ピラティス教室に通いたいという気持ちと、子どもを託児所に預けたくないという気持ちの間で板挟み。

いまにも燃え尽きそうなのに、罪悪感に苛まれてセルフケアを後回しにしてしまう。あなたにも思い当る節がある?

カウンセラーとして燃え尽きた女性たちと接し、現在の問題の発端を幼少期の体験の中に探す過程で、1つ気付いたことがある。バーンアウトが近づくと、自分のニーズ、願望、感情から切り離されることが多い。でも、これは突然生じることではなく、幼い頃に学習されて、深層心理の奥深くに埋め込まれているパターンの1つ。もう少し無理のない生活を望みながらも燃え尽きた女性たちは、大人になっても“いい子”のままであることが多いのだ。

大人の“いい子症候群”とは?

ここで言う“いい子”とは、聞き分けがよく、責任感があって大人しいと、保護者や社会から褒められて育った子たち。フラストレーションや怒りなどの強い感情を上手く抑え、周囲から「手のかからない子」と言われていた。また、“いい子”は親の感情に付き合ったり、弟や妹の面倒を見たり、家族のために親の別居や離婚を受け入れたりと、幼い頃から大きな責任を負わされることが多い。「年の割に大人びている」と言われるのも“いい子”の特徴。

でも、この“いい子”として育ってきた経験は数十年後のバーンアウトのもとになる。“いい子”のまま大人になった女性たちは、次のような問題に悩まされがち。

自分のニーズを優先できず、自分の幸せを犠牲にしてまで人のニーズを優先する。

人の感情に責任を感じ、人の機嫌を取るために多くのエネルギーを費やす。

人を怒らせることを恐れて、自分に必要な境界線が引けない。

忙しさや人のことで怒りなどの感情を無意識のうちに抑制しているため、急に感情が爆発し、強烈な罪悪感に襲われることが多い。

他者から認められないと、パートナー/親/従業員/経営者としての自分が“十分”と思えない。

率直なコミュニケーションが苦手で、意見の衝突や不一致を避ける。

完璧主義で、間違いを犯すことを極度に恐れる。

でも、大人のいい子だからといって、バーンアウトから逃れられないわけじゃない。自分の運命は自分の手で変えられる。次の3つのアクションで“いい子”の縛りを取り外し、もう少し持続可能な人生を築き上げよう。

自分のパターンを自覚する

子どもの頃に定着した根深いパターンを変えるためには、まず、それを自覚することが必要。自覚なくしてなにかを癒すことはできない。ピラティス教室をキャンセルしたり、勤務時間中にプライベートの電話をしたりする前に、一度止まって自分のパターンに気付く練習を。「頭の中には、どのような考えが浮かんでいるのか」「いつもと違う行動を取った場合、なにが起こるのを恐れているのか」「その状況について考えると、体にどんな感覚が生じるか」を自問自答してみよう。

思いやりを持って自分の中の“いい子”とつながる

子どもの頃にしなかった方法で自分の中の“いい子”とつながれば、その子の変化を促してあげられる。幼い頃の自分自身を思い浮かべて、その子が当時必要としていたものを心の中で与えてあげよう。それは、間違いを犯すのは学習の大事な一部という励ましの言葉かもしれないし、子どものうちから親の感情に責任を持つ必要はないという情報かもしれない。ただ横に座って、彼女の話を聞くだけでいいときもあるだろう。ここでのポイントは、幼い頃の自分が望んでいた養育者をいまの自分が体現すること。

境界線を引く

境界線は「ここまではいいけれど、これ以上は無理」であることを相手に伝えるためのもの。でも、人を怒らせることが苦手な“いい子”にとって、思い切って新しい境界線を引くのは恐ろしいことかもしれないので、最初のうちは小さなリクエストをすることから始めてみよう。例えば、「ねえ、お母さん、平日は仕事が忙しくて電話に出られないから、週末にビデオ通話しよう」と言ってみる。ここで相手が失望した様子を見せても、あなたの引いた境界線が“間違っている”わけじゃない。相手が慣れている行動パターンを変えれば、まず確実に失望される。でも、その失望から相手を救うのは、あなたの仕事ではことを覚えておこう。

一度意識し始めると、自分の中の“いい子”の声が自分のあらゆる行動を支配しているように思えるかもしれないけれど、そうした根深い行動パターンを認識するのは、自分の価値と力を取り戻すための第一歩。自覚を促し、自分の中の“いい子”を思いやり、勇気を出して境界線を引くことで、私たちは少しずつバーンアウトのサイクルから抜け出せる。もっと自分に正直で持続可能な生活に私たちを近づけるのは、小さな一歩の積み重ね。

著者のマデリン・マッケンジーは、パートナーと子どもと共に豪メルボルンで暮らす認定メンタルヘルスソーシャルワーカー。他者と深くつながるためには内なる自分と打ち解けなければならないという考えのもと、カウンセリングサービスSit With Selfを運営している。 ※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Madeline Mckenzie Translation: Ai Igamoto

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