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「ポイント集め」を頑張るほどお金は貯まらなくなる…FPが見たポイントで「得する人」と「損する人」の違い

  • 2024.7.31

ポイントは集めるべきなのか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「ポイント集めに熱中しすぎると、無駄遣いをすることになる。ポイント詐欺の事例もあった。自分の生活圏の中で自然と集められるものを見極めたほうがいい」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

小銭を積み上げている男性の手元
※写真はイメージです
楽天ポイント、Pontaポイント、dポイント、Vポイント…

皆さん「ポイ活」、してますか? 集めたポイントを現金のように使って買い物をしたり、サービスなどを受けられるカジュアルな“お小遣い稼ぎ”として人気の「ポイ活」ですが、ハマりすぎてかえって浪費してしまったり、最悪のケースでは詐欺などに巻き込まれることも。私のお客さまの事例から、“上手なポイ活のススメ”をお伝えします。

日頃使うポイントとしては、楽天の「楽天ポイント」、KDDIなどの「Pontaポイント」、ドコモなどの「dポイント」、TSUTAYAなどで貯まる「Tポイント」とSMBCグループのさまざまなサービスで使える「Vポイント」が統合した「新Vポイント」などが有名どころとして知られています。

いま勢いを感じるのは、「Tポイント」と統合したばかりの「Vポイント」。三井住友銀行のデジタル口座アプリ「Olive(オリーブ)」を使ってマクドナルドなどの対象店でスマホタッチ決済をすると、さまざまな条件をクリアすることでVポイントが最大で9%プラスされて還元されます。1万円の買い物をすれば900円分がポイントバックされる計算なので、かなりお得感がありますよね。セブン‐イレブンなどのコンビニチェーン、ドトールコーヒーといった大手飲食店チェーンも対象店に含まれるので、ライフスタイルに合わせて上手に使うといいかもしれません。

ウエルシアでポイントを貯める「ウェル活」

私のお客さまでも、「ウェル活」でVポイントを利用している方がいました。「ウェル活」とは、ドラッグストアのウエルシア薬局が毎月20日に行うお客さま感謝デーで活用できるポイ活の一種です。VポイントまたはWAON POINTを利用して買い物をすると、1.5倍分の買い物ができるというもの。200ポイント以上使うことが条件ではあるものの、「実質、33%オフで買い物ができる」と、私のお客さまは、毎月20日は必ずウエルシアで爆買いをしています。

しかしこの制度、まもなく変更されてしまうのです。イオングループの共通ポイントであるWAON POINT中心のサービスに移行するとのことで、2024年9月からは「毎月20日お客様感謝デー」の対象もWAON POINTのみになります。このように、企業側の方針転換で仕組みが変わることがあるのは、ポイ活の注意点です。自分が利用しているポイントや企業の情報にアンテナを張っておくことが大切ですね。

ウエルシア薬局だけでなく、ポイント利用者に向けたお得なサービス日を設けている小売店はあるので、生活圏に合わせてチェックしてみましょう。

「アンケートには回答しないけれど広告は見る」

また、ポイ活を「仕事」と捉えて取り組んでいる方もいます。轟ゆうみさん(仮名/36歳)は、楽天ポイントにすべてを集中しているのですが、まず、朝起きたら楽天などの広告を1クリック。これを「日課」として組み込んでいるといいます。

買い物はポイントアップデーを狙って行い、楽天モバイルには楽天のキャッシュレスアプリ「楽天ペイ」を搭載。楽天証券を使って投資を行うなど、「楽天経済圏」に生活を集約することで効率的にポイ活を行っているのです。轟さんは徹底した楽天ユーザーゆえ、楽天のサービスが使えない場所でお金を落とすことはありません。翻って言えば、商品やサービスを選ぶ第一基準が、「楽天」ということです。

ポイ活を「仕事」と捉えているだけあって、轟さんは「効率の悪いポイ活はしません」とも言っていました。たとえば、アンケートに答えることで1ポイントが付与されるようなポイ活は、「回答に3分かけて1ポイントしか手に入らないのは費用対効果が悪い」として、手を出さない。その代わり、広告を見て1ポイントを稼ぐことを日課として行う。「日課として取り入れてしまえばストレスもないし、毎日やるかやらないかでポイントが変わってくるんですよ」とのことでした。ポイ活も、継続は力なり、ですね。

ポイントを獲得したことを知らせるスマホの画面にガッツポーズをする女性
※写真はイメージです
「ポイ活詐欺」には要注意

一方で、轟さんのように徹底したポイ活を行う方の中には、のめり込むあまり、浪費をしてしまう方もいます。目先のポイント欲しさに、必要でもないものをつい買ってしまうのです。特に還元率の高いサービスの場合、ハマっている食べ物などを「貯め買い」をする方もいるそうですが、途中で飽きてしまい、使い切れずに捨ててしまうことも。

そんなちょっとした浪費ならまだしも、「ポイ活詐欺」に遭う人も増えています。知り合いの方は、特定の広告をクリックして「1ポイント=1円」を得るポイ活をしていたものの、実際には「1ポイント=0.2円」という還元率だったことがあったそう。まさに詐欺ですよね。

また、URLをクリックしてアンケートに答えることで高いポイントをゲットできるという謳い文句につられ、指定されたURLに飛んだところ、アダルトサイトに接続。自動的に入会させられてしまい、毎日のように請求メールが届くようになってしまった、という話も聞きました。そのまま払わないでいると、「アダルトサイトを閲覧していたことをバラすぞ」といった脅迫めいた通知まで来るようになったというから、恐ろしいです。

「仕組み」さえ作ればポイントは自然と貯まる

夏休みの時期、中高生がバイト感覚でポイ活をはじめる可能性もあり、アダルトサイトといった保護者に相談しづらいサイトに誘導されてしまうと、被害の発見が遅くならないとも限りません。そ「おかしいな」と思ったら、すぐに消費生活センターなどに相談してください。

今やポイントは現金のように使えるもの。そういった意味でも、貯められるのであれば、貯めたほうがいいと思います。このとき大切なのは、ポイントに振り回されるのでなく、自分の生活圏にフィットしたものを選び、ポイントを分散させないよう、集約すること。買い物をする時には、なるべく自分が利用しているポイント経済圏の店を選ぶ、自分がもともと持っている銀行口座やクレジットカードなどのサービスと相性の良いポイントを意識的に貯めるなど、その“仕組み”さえ一度作ってしまえば、能動的にアクションを起こさずとも、自然とポイントは貯まっていくと思います。

スーパーの生鮮食品売り場を笑顔でカートを押しながら歩く女性
※写真はイメージです
ポイントの利用は冷静に見極めたほうがいい

今は企業もユーザーの囲い込みに必死なので、買い物の度に店員さんから、「○○ポイントはよろしいですか?」と聞かれたり、「アプリをダウンロードすればこのお買い物が100円オフになります」といった売り込みを受けることもしばしば。また、サービスがローンチするときには、大々的なキャンペーンが行われ、還元率が高く設定されたり、豪華な特典が用意されることもあります。最近も、JR東日本がスタートさせた「JRE BANK」に申し込みが殺到したことが話題になりました。

こうした情報に触れると、「○○ポイント(アプリ)を使っていない自分」が損をしているように思えてくることもあるでしょう。だからといっていろんなサービスに手を出すと、ポイントの分散につながりかねません。また、複数のポイントカードの携行はかさばりますし、アプリだって、スマホの容量を圧迫します。LINEやメルマガを登録すれば、通知が鬱陶しくなって、ストレスにもなるでしょう。キャンペーンは初回限定だったり、早い段階で還元率が悪くなったりすることも多いので、継続して使うサービスなのかを考えつつ、しばらく様子を見ることをおすすめします。

ポイントに支配されると詐欺にも遭いやすいでしょうし、本当に自分が欲していたものなのか、といった判断も危うくなります。まずはご自身の生活圏の中で、使いやすそうなサービスを見極めてみてくださいね。

構成=小泉なつみ

高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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