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「都落ちした、と思われたくない」と考えていたが…港区女子が千葉県在住の男性と結婚した意外な結果

  • 2024.7.30

結婚したいができないと悩むアラフォー・アラフィフは少なくない。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんは「婚活では、自分が結婚相手にどのような条件や人物像を望んでいるかを明らかにすることが必要だ。しかし、その中には『年下』『居住地しばり』といった、出会いの可能性を狭めてしまうNG条件もある。強いこだわりのその背後にある思いを掘り下げることこそが重要だ」という――。

庭でおしゃべりするカップル
※写真はイメージです
「理想の人リスト」にいれてはいけないもの

婚活沼とは、結婚する決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。

婚活沼にハマってしまう理由は人によってさまざまだが、そのひとつが「出会いの可能性を狭めてしまう条件をかたくなに掲げていること」だ。

婚活をする際に、わたしは、理想の結婚相手に求める条件をまとめた「理想の人リスト」を作ることをおすすめしている。自分にとっての理想の人を言語化することで気づけることや、引き寄せる縁が確実にあることを、自身、多くの受講生の体験を通して実感してきたからだ。しかし、NG条件をリストに入れてしまうと、むしろ縁を遠ざけてしまうことになる。

今回は、条件にこだわり過ぎて婚活がうまくいかなかった2人の女性の事例を紹介する。

※プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

「年下じゃないとイヤ」と語った38歳キャリア女性

38歳のF絵さんは、化学メーカーの営業職。すらりとしたスタイルのキレイ系の女性で、いつも「年齢よりも若く見える」といわれるという。そんなF絵さんが、結婚相手に譲れない条件のひとつが「年下」であること。その理由は、彼女いわく次のようなものだった。

「これまでも年下の人としかつきあったことがない」 「上から目線でものをいわれるのがイヤ」 「年上の男性の匂いや外見が苦手……」

F絵さんは、高校を卒業してすぐにいま務めている会社に入った。勤続20年になる現在は、営業チームのリーダーとして、社内外から頼りにされる存在だ。

F絵さんが婚活アプリに登録しているプロフィールには、最初に「高卒ですが、仕事をがんばっています」という一文があった。「大学は出ていなくても、会社で努力してキャリアを積んできた」という事実が、F絵さんのプライドを支えているのだろう。

しかし、婚活市場で女性が「年下」の男性を希望することはおすすめしない。むしろ「年下」はNGワードといっていい。

婚活では、男性は基本的に自分よりも年下の女性を希望する。そのことの是非はともかく……、年下の男性を希望すると、それだけでマッチングのチャンスが激減してしまうのだ。

もちろん、一般社会ではそのようなことはない。職場や飲み会の席で出会った相手が「たまたま年下だった」というのはよくあるケースだ。初対面の人にいきなり年齢をきくことはないから、実年齢よりも若く見える人は、それだけ多くの出会いに恵まれる。

けれど、婚活ではまず年齢で判断される。たとえどんなに若く見える人でも、年齢という数字を基準にターゲットから外されてしまうのが現実だ。くりかえすようだけれど、その是非はともかく、だ。

私は基本的には「理想の人リスト」には、妥協をしないでどんなことでも書くといい、とお伝えしている。「年下」という条件をNGにするということは、そのことと矛盾するように思われるかもしれない。けれど、そうではない。

大事なのは、「年下がいい」という自分の思いを掘り下げることで、自分がパートナーに望む人物像をより鮮明に浮かび上がらせることだ。

強いこだわりの背後に隠れていた本音

F絵さんの場合も、譲れないのは年齢そのものではなかった。年下だって上から目線の人や、年齢よりも上に見える人だっている。「年下」にこだわる思いを掘り下げて聞いてみると、本音がこぼれた。

「これまでに付き合ったことがある唯一の彼が年下で……。その彼の前では肩肘張らずに、素直でいられたんです」

つまり、F絵さんは「年下の元カレ」といるときの「自分」のことが好きだったのだ。

そこで、「肩肘張らずにいられた相手が、たまたま年下だったのかもしれませんよ」とお伝えした。その上で「彼といるとなぜ素直になれたのかを思い出して、理想の人リストに反映させてはどうですか」と提案したところ、F絵さんは、「理想の人リスト」から「年下」を外し、その代わりに、出会いたい相手の人物像をより具体的に思い描いて、リストに書き加えた。

「学歴に対してフラットな感覚の人」 「体形をキープするために努力している人」 「清潔感があり、ファッションにも気を使っている人」

と同時に、プロフィールから「高卒でもがんばっている」という文を消したという。

F絵さんはリストを再考する中で、長年、自分の中で「高卒」ということに強いコンプレックスを抱いてきたことに気づいたのだという。

「学歴のない自分を見下していたのは、自分自身でした」とF絵さんは自分自身をねぎらうように話してくれた。

そして今、新しいプロフィールと、より深掘りした理想の人リストを元に、F絵さんは新しいスタート地点に立っている。

携帯電話を触る女性
※写真はイメージです
「港区在住」にこだわっていた42歳女性

もうひとつのNG条件を掲げていた女性の例も紹介しよう。

42歳T子さんは、貿易会社に勤務するアクティブな女性だった。彼女が結婚相手に譲れない条件として挙げていたのは、「港区に住んでいる」こと。そのせいで、婚活がうまくいかない。そもそも出会いがほとんど生まれなかった。

T子さんが掲げる「港区在住」という条件も、婚活ではNGといえる。「東京に住んでいる人」ならまだしも、港区に限定することでターゲットが激減するからだ。港区だからNGなのではない。千代田区でも墨田区でも同じことだ。

ではT子さんは、なぜ港区在住にこだわるのか。まずは、その背後にある思いを掘り下げてみることにした。

中部地方で生まれ育ったT子さんは、地元の大学を卒業後、東京で就職をした。都内で何度か引っ越しをして、いまは念願の港区に住んでいる。

結婚をしても仕事は続けたいと思っているし、港区からも出たくない。

というのも、実家のある場所は交通の便がよくない。最寄りの電車の駅までは、歩くと30分以上かかる。かつてはバス便があったが、それも1時間に1本だけ。そのバスも、T子さんが大学生の頃に廃線になってしまった。

地元の人たちは車で移動していたが、T子さんは車の運転が苦手だ。普段は自転車で駅まで通っていたが、雨の日は両親に車で送迎をしてもらわなければならなかった。

そのため、「交通の便の悪いところでは、ぜったいに暮らせない」というT子さんの意思は固かった。

とはいえ、交通の便がいい街なら、港区の外にもいくらでもある。

T子さんが港区にこだわるのには、別の理由もあった。

「結婚して都落ちした、と思われたくない」

それが、「せっかくここまでがんばって手に入れた生活を手放したくない」という思いだ。

婚活中のキャリア女性の多くが、「結婚をしても、生活レベルを変えたくない」あるいは「生活レベルを下げたくない」と考えるのは無理もない。住む場所もキャリアも、自分で努力して手に入れたものだ。結婚したからといって、簡単に手放せるものではない。

しかし、職場へのアクセスがよく、いまの生活スタイルをキープできる住まいは、港区以外にもあるはずだ。

そういうと、T子さんの口から「結婚して都落ちした、と思われたくないのかもしれません」という本音がぽろりとこぼれた。

「誰がそんなことをいうのですか」と問うと、具体的な人物は浮かばない。それもそのはず。T子さんにそんな言葉を投げる人物は、T子さん自身しかいない。

T子さんは、同じような境遇の相手に心の中で「都落ち」とつぶやいてきたのだろう。自分では意識しないうちに。

「港区在住」のかわりにリストに加えたもの

ちょうどその頃、T子さんの婚活仲間のひとりから、「結婚を決めた」と報告があったという。話を聞くと、「こだわりを捨てたら、理想の人と出会えた」とのことだった。「どんなこだわりを捨てたの?」というT子さんの質問に、返ってきたのは「年齢と住所」という答えだった。T子さんと同じく「港区在住」にこだわっていた彼女がパートナーと暮らすことになるのは、港区ではない東京近郊の街。会社へのアクセスも便利で、緑の多い住宅地だという。

その後、T子さんは「理想の人リスト」から「港区在住」という条件を消した。

「それよりも大事なことがあると気づきました」とT子さんはいう。T子さんが新たに挙げた条件は、「年収」「仕事の向き合い方」それに「趣味を一緒に楽しめること」「食の好みが合うこと」だった。住んでいる場所は、条件には入れなかった。その代わりに、「どこに住むかを一緒に相談できること」をリストに入れた。

自分に向き合い、より深まった理想の人をひたすらイメージングしたT子さんは、その3カ月後に理想どおりの人と出会い、その半年後に結婚をした。彼は千葉県に住んでいたが、T子さんはもう気にしていなかった。彼が暮らすマンションは、最寄り駅から徒歩10分以内の立地にあり、スーパーも近い。T子さんの職場へのアクセスもいい。広さにも余裕があるので、T子さんは迷わず彼のマンションに引っ越した。

「むしろ、港区に住んでいた頃より便利ですし幸せです」とT子さんは嬉しそうに語ってくれた。

どうしてそう思うのだろう? と自分に問いかけてみる

婚活には、「理想の人リスト」が欠かせない。けれど、その「理想の人リスト」が、ほんとうに望んでいる相手に出会わせてくれるものになっているか、自問することは大切だ。

今回は、「年下」と「港区」というわかりやすい例を挙げたが、そのほかにも、強いこだわりの背後には思いもよらない自分の心理が隠れていることがある。「年下という条件の背景に、どんな思いがあるのか」を掘り下げることは、自分がどんな結婚をしたいのか、結婚生活をしたいのかを知ることにつながる。

自分の思いを否定するのではなく、客観的に深堀りしてみることで「私ってそんなことを思っていたんだ」と受け入れられるだけでなく、結婚を遠ざけていたこだわりから解放されてスッキリする人は少なくない。

「こういう人じゃなきゃいや!」「こんな人はぜったいにいや!」

そんなふうに感じたときは、「どうしてそう思うのだろう」と、もう一度、二度、自分自身に問いかけてみてほしい。

伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げない女ひとが選ばれる』(フォレスト出版)。

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