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夏休みランチ問題どうするよ。3食作って仕事捗らず。【馬田草織さんのエッセイとレシピ】

  • 2024.7.30

いよいよ夏休みスタート。子どもにとっては楽しい楽しい期間ですが、親にとって悩ましいのが、休み中のランチ問題。娘さんとの日常ごはんを綴ったインスタグラムが人気の馬田草織さんが、夏のランチ問題について、おすすめレシピ「納豆素麺炒め」とともに語ります。

 

夏休みランチ問題どうするよ。3食作って仕事捗らず

 
夏休み、親はぜんぜん休めない。これ、私の実感。なぜなら毎日お昼ごはんやお弁当を作るから。ふだん家で仕事をしている私の場合、自分だけのお昼なら納豆ご飯でささっとすませることも多いが、子どもがいるといつも納豆ご飯というわけにもいかない。

しかも、大人と違って規則正しくおなかがすくのが子どもだ。12時を少し過ぎると「お母さんおなかすいたー、今日なにー」が始まる。こちらの仕事の進捗ぐあいなどいっさい関係ない。そしてこれが毎日続くのだ。今日のお昼ごはんが何か。それはお母さんも知りたいです。だれか教えて。

何年も経験してわかったことだが、昼食作りは料理そのものが負担なのではなく、仕事をいったん中断して家事モードに切り替えること自体にパワーがいるのだ。仕事の頭と手をいったん止め、料理というまったく違うことを始めることで、自分の仕事の流れは無視せざるをえない。そして仕事を再開するときにも、またエンジンをかけ夏休み、ランチ問題どうするよ。3食作って仕事捗らずなおす必要がある。エアコンのスイッチを日に何度もつけたり消したりすると電気代が余計にかかるように、日に何度も仕事のスイッチをつけたり消したりしていると、人間にも負荷がかかるのだ。

朝は8時に食べ終わって次は12時、その次は夕方6時と料理の時間がやってくる。夏休みはずっとだ。これでは仕事にならない。何かいい方法はないか。で、ある日朝ごはんの片づけついでにお昼用のおにぎりをにぎっておいて、おなかすいたらどうぞ方式にしてみた。「お母さん今日のお昼なにー」がきたら「おにぎりをどうぞー」と答えればいい。これで夕方まで、ごはんのことを考えないでいい。それだけでずいぶんと負荷が減った。

ある日のおにぎりは、しそわかめじゃこと小梅入りの梅酢の2種類。おにぎりのほかにもとうもろこしやオクラ、枝豆を朝からゆでておき、おなかがすいたらご自由にシステムも導入した。とくに昼から枝豆は変化球だったらしく、JC 娘もおもしろがってキッチンでつまんでいた。いずれも、朝ごはんの片づけついでに作る。ゆでじゃがいもを用意して、食べる直前にバターやチーズをのせてグリルで焼くのもいい。塩辛や明太子と合わせるとビールが呑みたくなるから、そこだけご注意を。

 

朝から米炊いて朝ごはんのついでにおにぎりスタンバイ。昼ごはんと塾弁当、私のお昼の分にも。
「ゆでた夏野菜もご自由にどうぞ」システムも、娘に好評。



 

素麺における、家族内温度差問題

 
真夏の夕方、きりりと冷たい素麺が食べたい私。でもきっと、子どもの反応は鈍い。
「今日なに?」
「素麺」
「……」
というやりとりは、もはやわが家の夏の風物詩。どうしてそんなに素麺に冷たいの。大人の階段と素麺好きの階段は、同じような勾配で上がっていくのだろうか。ただし、例外もある。娘が喜ぶ素麺、それは納豆素麺炒め。炒めれば問題解決だ。香ばしい納豆がフレークのようになって、爽やかな大葉がアクセント。素麺は毎回ゆでず、まとめてゆでて小分け冷凍しておくと便利。いっそ冷たい素麺と炒め素麺、いっしょに出そうかな。


 

カリカリ納豆素麺炒め



 

材料(1人分)

豚バラ薄切り肉 …… 30g
素麺(ゆでて小分け冷凍したもの) …… 1 束分(約130g)
ひき割り納豆 …… 2 パック(約80g)
青じその葉のせん切り …… 5 枚分
ねぎ …… 10㎝
にんにく …… 1 かけ分
しょうがのみじん切り …… 1 かけ分
好みで黒七味 …… 適宜
ごま油…… 適宜
塩 …… 適宜
 

〈ゆずこしょう酒〉
ゆずこしょう …… 小さじ1/2
酒 …… 大さじ1

 
POINT
そうめんはまとめてゆでて冷水でしめ、しっかり水きりしたら、1 束分を目安にラップに包み、冷凍する。わが家では炒める前提なので、ごま油少々をからめておく。ほぐれやすくて便利。

 

作り方

(1)ねぎはみじん切りにする。豚バラ肉は一口大に切る。ゆずこしょう酒の材料を混ぜる。納豆に付属のたれを加え、かるく混ぜる。素麺を電子レンジ(600W)に30秒ほどかけ、半解凍する。
(2)フライパンにごま油を中火で熱し、ねぎ、にんにく、しょうが、豚バラ肉を入れて炒める。肉が焼けたら納豆を加える。あまりさわらず香ばしく焼きつける。
(3)香りが立ったら素麺を加えてゆずこしょう酒をふり、ほぐしながらさらに炒める。味をみて塩でととのえる。
(4)青じそを加えて器に盛る。好みで黒七味をふる。
 

ゆずこしょうを酒に溶かしたゆずこしょう酒(小びんに用意しておくと炒めもの全般に便利)

 

馬田草織さん

 
文筆家・編集者・ポルトガル料理研究家。出版社で雑誌編集を経て独立。ポルトガルの食や文化に魅了され、家庭料理からレストラン、ワイナリーなど幅広く取材している。ポルトガル料理とワインを楽しむ教室「ポルトガル食堂」を主宰。著書に『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』(産業編集センター)、『ホルモン大航海時代』(TAC出版)などがある。一児の母。
インスタグラム@badasaori

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