魅せた!体操女子メンバーの強い精神力
パリ五輪が開幕しました。連日の熱戦、手に汗握りますよね。 あなたが好きな競技は何ですか? 私は今回、特に体操の女子チームに注目しています。大会直前にキャプテンが出場を辞退した体操女子の日本体表……。エースの不在、初めてのオリンピック、さらに日の丸の重圧など、残された4人のメンバーにはかなりのプレッシャーだったと推測できます。それにもかかわらず、好成績で予選を突破しました。SNSでも《逆境の中での活躍は素晴らしい》と称賛の声が多数寄せられています。印象的なのは4人の選手たちの笑顔。「とても楽しい雰囲気です!」と元気にインタビューに応じ、面白いポーズで日本中を沸かしています。私も、お互いを称え合い演技に集中する彼女たちを見て「すごくメンタル強いな。さすが日本代表のアスリートだ」と実感しました。
このような逆境を乗り越える力を、彼女たちは身につけているのです。みなさんも身につけたくはないですか?日常生活にも活かせる「メンタルを強くする方法」を心理カウンセラーの立場でご紹介します。 ※この記事は07/29の時点で執筆しています。
メンタル強化に必要なポイントは3つ
メンタルの強化というと、気合や根性などの精神論を連想する方も多いかもしれません。 しかし、心理学的に考えた場合、必要なことは次の3つです。
(1)自分のことに集中する(2)変化を受け入れる(3)他者を認める
これだけです。では、順番にみていきましょう。
(1)自分のことに集中する
「隣りの芝生がよく見える」のように、自分と他者を比べていては、メンタルは強くなりません。なぜならば、強くなるためのエネルギーは、自分の内部にあるからです。他者との比較では、結局勝ったり負けたりとなり、100%の安心感には至りません。また、今回のケースであれば、チームメートに起った出来事を、自分のことのように受け止めてしまい、感情がブレてしまう人もいます。仲間を心配することは大切なことです。しかし、「自分は自分」と自分を見失わないことが、メンタル強化につながります。
(2)変化を受け入れる
変化とはチャレンジとも言えます。また、今回のケースのように、突然の変化も起こり得ます。(1)で自分のことに集中することが大事と述べました。これは、変化が求められる場面で、自分は無関係と高みの見物をしたり、逃げ出したりすることではありません。まず、参加者の一人として、状況を受け入れることが大事です。
では、受け入れるためには、どうすれば良いのでしょう? 「最悪な場面も含め、さまざまなことを想定した上で、自分のできることに集中する」です。もちろん、すべてを予測することは不可能です。「人事を尽くして天命を待つ」この心構えで臨むことです。
(3)他者を認める
切磋琢磨という言葉がありますね。これは良きライバルの存在です。スポーツであれば、普段は仲がいいが、競技のときは全力で闘う関係をいいます。これも相手を認め、リスペクトするからこそできることです。似て非なる言葉がマウント。これは、単に相手の揚げ足を取ったり、些細なミスを叱責したりすることをいいます。相手への恐怖心などもあるのでしょう。少なくとも、マウントをする人には、相手へのリスペクトが見られません。4人の選手の笑顔、そしてお互いを励まし合う姿が、本当に印象的で素敵に見えました。
まさに、3つのポイントの実践がうかがえます。
メンタルを弱くしてしまう3つのポイント
では反対に、メンタルを弱くするポイントについても考えてみましょう。上述した3つのポイントを逆に捉えてみました。
(1)他者に意識が向く(自分に集中できない)(2)現状に固執する(変化を受け入れることができない)(3)他者を否定する(認めることができない)
どれも、メンタルが下がってしまいそうですよね。
(3)について補足です。相手のことを無理やり好きになりなさい、とお伝えしているのではありません。好き嫌いではなく、あくまでも「受け入れる」です。では、どうすれば、受容ができるのでしょう?
答えは、「同じところ」を見つけることです。違う点を見つけようとするのか、それとも同じ点を見つけるのか?この違いです。そして、この同じところ見つけることが、「変化を受け入れる」際の大事なポイントにもなります。
変化が苦手な人はどうする?
メンタルの強化に必要な3つのポイントの(2)は「変化を受け入れる」でした。変わることを怖い、不安、心配と捉える傾向の強い人にとっては、ハードルが高くなってしまいます。そこで、「同じところを見つける」です。
今日一日を振り返り、ホッと安心できたことを挙げてください、そして、それを明日も取り組んでください。一週間、一ケ月、半年と続けてみてください。半年後もまったく同じでしょうか?自信のある「あなた自身」と出会えることでしょう。
変わることが苦手な場合、無理やり変わる必要はありません。同じことをコツコツと日々取り組むことでOKです。これが結果的に「変化を受け入れる」ための自信を生みます。
さいごに
画像をご覧ください。竹です。メンタルを強くする3つのポイント、どれも共通することは、竹のような「しなやかさ」です。ガチガチに固まった状態では、ポキッと折れてしまいそうです。体操の選手の演技には、「しなやかさ」がありましたね。まさに、メンタルが強いからこその演技です。
メンタルを強くするための3つのポイント、ぜひ皆様も実践なさってください。そして、ガンバレ日本!
(佐藤城人(さとう・しろと))