日本美のミュージアムホテル、ホテル雅叙園東京では、2024年9月23日(月・休)まで館内に有する東京都指定有形文化財「百段階段」にて「和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~」が開催されています。
過去展示の様子/十畝の間
累計来場者数が52万人の展覧会
「和のあかり×百段階段」は、2015年に第1回目を開催し、2020年を除きこれまでに8回開催されています。累計来場者数が52万人を超える大人気の展覧会です。
文化財建築を舞台に繰り広げられる物語を多彩なアートで演出
毎年テーマを変えて文化財建築にさまざまなジャンルのアート作品や伝統工芸などが集います。本企画の今年のテーマは「妖美なおとぎばなし」。
今年の展示作品は、石川県の九谷焼や、岡山県の希莉光あかり、宮崎県の竹灯籠、山口県のお祭りを彩る民芸品など、日本各地よりさまざまな作品が揃います。
おとぎばなしは、架空の旅亭「雅楼」から古い巻物が発見されるところから始まります。
会場入口からは由緒ある和風旅館の風情が感じられます。
みどころ1.おとぎばなしの世界に没入
竹取物語、 葛の葉伝説、天女の羽衣など、夢か現か、まるでおとぎばなしのような物語の扉が、階段をあがる度に開いていきます。
十畝の間(じっぽのま) エリアテーマ/竹取物語
竹取物語をテーマにしています。60本に及ぶ竹灯籠が展示されています。
竹取物語をイメージした幻想的な竹灯籠(十畝の間)
月の明かりの下で美しく輝く竹の中からかぐや姫が見いだされ、やがて月に帰ってしまう切なさや翁と媼(おうな)の深い愛を竹灯籠の和の明かりで表現しています。
座った目線で月の照明を見上げるように鑑賞すると、竹取物語の世界感がリアルに感じられる展示です。
会場風景
(漁樵の間)(ぎょしょうのま)エリアテーマ葛葉伝説~安倍晴明~誕生奇譚
平安時代の高名な陰陽師、安倍晴明は、稲荷の狐が化身した女性(葛の葉)と、人間の男性との間に生まれた子として伝わります。「葛の葉伝説」と呼ばれ、陰陽師として知られる安倍晴明の母の物語をテーマにしています。
葛の葉伝説(漁樵の間)
衣裳は松竹衣裳株式会社から、舞台演出は歌舞伎座舞台株式会社による本格的な演出です。リアルな舞台演劇を間近で見ているような気分で、臨場感が感じられます。
会場風景
草丘の間 エリアテーマ 鯉の滝登り~登竜門伝説~
川の上流にある竜門を昇った魚だけが龍になる伝説、様々な魚がその荒行に挑みます。唯一登りきったのは魚の長である鯉だけでした。この鯉の滝登りを、クラフトアート、いけばな、水墨画でダイナミックに表現しています。
会場風景
ガラスランプの明かりにも演出効果があり、幻想的な雰囲気が感じられます。
龍と化す前の錦鯉の群れが「紙にしきごい」で表現されています。躍動感が感じられる作品です。
会場風景
静水の間 エリアテーマ おとぎばなしのいきものたち
おとぎばなしに出てくる様々な生き物たち。時には人を助け、時には姿を変えて気持ちを伝えます。
会場風景
多才な技法によるアート作品が展示されています。
会場風景
ひょうたんアートのランプや陶器のランプの作品展示です。
会場風景
星光の間手前には柳井の民芸品である『金魚ちょうちん』が展示されています。『金魚ちょうちん』は山口県柳井市を代表する民芸品で夏の一大イベント、お盆等で帰省された方々をふるさとの民芸品でお迎えするものです。
会場風景
星光の間 エリアテーマ 善悪の物語~本当に怖いものは何?~
鬼、河童、天狗、モノノ怪・・・。本当の悪とは何か、善と悪の境目は何なのか。異界からの声が聞こえます。善悪の物語のテーマに沿った江戸風鈴、陶芸作品、陶人形等が展示されています。
会場風景
清方の間 エリアテーマ 見るなの花座敷~鶯長者~
おとぎばなしには「絶対見ないで」といわれるものがあります。それでも人は見てしまい、悲しい結末を迎えてしまいます。
藤の花をモチーフにしたかんざしです。町の風情を感じ、古き良き美をそのままに継承する伝統工芸から、伝統技術を現代風にアレンジして昇華させる若き芸術家の作品、サステナブルな取組みから生まれた作品まで、様々な作品が展示されています。
会場風景
倉敷光製作所の希莉光あかりです。倉敷切子灯籠をモチーフにした作品です。
会場風景
立体切り絵作家の濱 直史氏の扇子の作品です。
会場風景
「和のことあそび」つまみ細工の作品です。
会場風景
富士山(逆さ富士)をモチーフにした花器です。花器に水を灌ぐと逆さ富士が見える、凝ったデザインの花器です。
会場風景
頂上の間 エリアテーマ 天女の羽衣~終末の章~
天の世界から降りてきた天女が、羽衣を隠されて天に昇る事が出来なくなり、その後羽衣を隠した男と地上界で暮らしますが、衣の在処を知り、天に帰ってしまいます。男は天まで伸びる不思議な植物を育て、天に妻を迎えに行きます。
頂上の間はとても幻想的な空間で、展覧会テーマの妖美なおとぎばなしの世界へいざなう演出が、夏のひとときを幻想的に彩り、五感を潤します。
東京都指定有形文化財「百段階段」の空間に展開されるアートイルミネーションは、オリジナルサウンドトラックの音楽や香りの演出もあり、視覚だけではなく五感が刺激される、没入感溢れる演出の展覧会です。展示されている工芸作品には購入できるものもありますので、是非会場内のミュージアムショップでお気に入りの品物を探してみては如何でしょうか。